執着の分類法4 ~動物総覧4 スケイロン~
サイラーンの砦でアグノンの炎を入手して、ニュー・シェオスへ戻る途中だ。
マニアの街道を通って帰ると、途中ハイクロスの村を通過することとなる。
ここまでにもいろいろと錬金素材を手に入れてきたので、ついでにミリリに預けていくか。
「え~と、なんしょん?」
「待ってたわ、遅かったじゃないのよ」
「ナールの研究は?」
「もうとっくの昔に終わったわ」
ミリリは村はずれにあるキノコ樹の根元に腰かけて、なにやら書類を見ている最中だった。
飽きやすいのか研究が早いのか……
最初はそっけない態度だったミリリも、今では俺の手伝いの重要性に気がついたってのだな。
「それよりも!」
「ゲートキーパー禁止!」
「違います。それはアグノンの聖なる炎! ニュー・シェオスの偉大なるかがり火を灯すために戻ってきたのですね!」
「そうなんだよ。急いでニュー・シェオスに戻らなくちゃね。あとこれ錬金素材」
「おつかれさま! シェオゴラスの祝福あれ!」
よし、これで集めた素材も届けたことだし、再びニュー・シェオスに向かって――
「――じゃないわ! スケイロンよ、奴なら少しは小奇麗にしてくれるとは思わない?」
「思いません、さようなら」
「待って! スケイロンを連れてくるのよ」
「またぁ? やれやれだ……」
そんなわけで、今度はスケイロンを連れてくることとなった。
バリウォグから始まって、エリトラ、ナールと続いて、今度はスケイロンか。
これが終わったら、あとはグラマイトぐらいだね。
オーダーの騎士も研究してみるかい?
犬のチロジャルが居たら収集にならんので、ここは緑娘と留守番をしてもらい、一人でスケイロンを連れてくることにした。
アルゴニーニーアンのランズ・イン・サークルが、今日も元気に走り回っているねー。
ワ=マワーレ、ワ=マワーレ、死ぬまで回ってろ。
スケイロンも、基本的に水辺に生息している。
そこで、ハイクロスの村から北に向かい、水辺沿いにぐるりと回ってみることにした。
この近辺でバリウォグを捕まえたけど、今は他に何も居ないみたいだね。
次は、ナールを捕まえた暴熱キャンプ――すなわちブレイクネック・キャンプ付近へ向かい、そのまま北東の果てへと向かう。
すると、スケイロンはスケイロンでも、巨大な石像として祀られているスケイロンに遭遇した。
なんでこの世界の住民は、グラマイトとかスケイロンとか、モンスターばかり祀るかね?
おかしな連中だ――って、狂気の世界だったか……(。-`ω´-)
いずれ俺が世界を引き継いだら、狂気を追い払って理性を取り戻してやろう。
しかし他に島一つない、一面の水平線だな。
ずっと泳いでいったら、どこに行きつくものやら。
そのまま海岸沿いに南下してみると、橋のかかった小島に辿り着いた。
元々何かがあったのだろうか?
意味もなく橋をかけるとは思えないからね。
橋を渡って小島に行ってみると、そこにはスケイロンが住み着いていた。
「こんにちは!」
「がう!」
「お前もオーガ同様なのな」
ま、モンスターに理性を期待してはいけない。
ここは慌てずに、落ち着いて生物操作だ。
「ほれ、大人しくなーれ」
「クーン……」
「犬みたいな真似してもいかん」
「クンテ……」
「は?」
なんだろう?
オークやゴブリンを一掃しそうな雰囲気になったが、生物操作を使ったところ、スケイロンも同じように大人しくなったのである。
あとは、生物操作の魔法を適度に使用しつつ、村まで連れて帰るだけの簡単なお仕事だ。
ただしスケイロンは、飛び掛かってくるときは素早いくせに、操って歩かせるとものすごく遅い。
たぶん、水生生物向きなのだろう。
………
……
…
再びハイクロスの村にて――
「遅かったじゃないのよ!」
「退治してしまったら、また後回しになるぞ」
「そんなことはしません、えいっ」
こうして、スケイロンーもミリリに引き取られたのであった。
薄汚いスケイロンとか言っているけど、最初は「小奇麗にしてくれるとは思わない?」って聞いてきたのにね。
報酬は570G、前回よりも昇給したか? と思ったけど、前々回と同じ額だったとさ。
一度下げることで、元に戻した時に昇給できたと勘違いさせる作戦だろう。
しかし残念ながら、俺は「朝三暮四」に引っかかるような猿ではないのだ。
ま、別に報酬目当てじゃないから、気にしないけどね。
それよりも、ミリリと親密になれた。こっちの方が大事なのだ。
俺が王になった暁には、宮廷学者にでも任命してやろう。
宮廷画家は――、ヘイルの村から誰かを連れてくればいいか。オレイン以外なら、誰でも一緒だ。欲を言えば、凄腕軍師も兼ねてくれたら――、オレインか……(。-`ω´-)
こうして、スケイロンも連れてきて、ミリリを満足させてあげ――
「あの……、自分に火がついているの、気づいてる?」
「おー、俺燃えてる。すげーなー」
「すごいねー。それよりも、足がすごく痛むの。新しい靴が欲しいんだけど、どうかあたしを助けて」
「じっとしてろ。走り回るから足が痛むんだ。――というか、靴履いとるやん」
もー、こいつわ!
最初に見たときは裸足だったから痛むのかなと思っていたけど、今見ると普通に走り回っているからだろうね。
「何か頂戴! 何か頂戴!」
「知らんわ! 失せろ!」
「にーにーにーにーにーにーにーにーにー!!」
ダメだこりゃ……(。-`ω´-)
でも王になった暁には、こいつでも伝令ぐらいには最適かも。
ここからパスウォールまでこの文章を届けろとか、そんな仕事を平気でこなしそうだ。
ただし命令を理解できるかどうかは置いといて――いや、それなら伝書鳩でいいか……
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