再建完了したクヴァッチ ~帝国第二の都市?~
クヴァッチの伝令イグナーの報告により、クヴァッチの再建が完了したことを知った。
また、再びそこにデイドラが侵攻してきたかも? という話も同時に知った。
そこで、様子見がてら、ちょっとクヴァッチへ行ってみようと思ったわけだ。
おお、なんだか馬小屋が完成している。何故か馬は門の前に放置されているけどね。
そして、門の前に衛兵が配置されているようになった。
木が一本も生えていないのが、ちょっと殺風景で残念。
町の中へ入ると、なんだかものすごく賑わっている。
結構広々としているし、スケールのでかい町だったのだな、と改めて実感。
何故か通りにキャンバスが置かれている。
誰かが絵を描こうとして、そのまま放置しているといった感じだ。
エルスウェアのダーカーン邸に居たリビアでも来ているのかな?
そしてキャンバスの前には、絨毯が敷かれている。
行商でもしていそうな感じだが、誰も居ないのだ。
「それで、あなたは何をしようとしているのかしら?」
「空飛ぶ絨毯飛び上がれーっ!」
「飛ばないね。呪文が違うんじゃないかしら?」
「アブラカタブラ! エロイムエッサイム! 飛べよ! 飛んでくださいお願いします! アーメン!」
「もう行きましょうよ」
結局、何のための絨毯なのかは不明なままであった。
なんとなく、魔術師ギルドに立ち寄ってみた。
ごちゃごちゃしていた樽や箱が片付けられていて、いつの間にか錬金術で使うテーブルや、青白い炎で輝く暖炉が出来上がっていた。
青い炎とか珍しいな、下にソウルソイルでも敷いているのかな?
隣にある戦士ギルドの支部は、こんな感じになっていた。
入り口が二階で、談話室は一階にある。
二階から入るだなんて、ここが豪雪地帯だと勘違いしているのかな?
そして、闘技場建設予定地域に行ってみると、手紙の通り完成していたりする。
中も帝都のと同じになっているのかな?
「やあ、クヴァッチの英雄殿、俺は凍てつく心臓のコルフェってもんだ、へへへ」
「不可解な二つ名を名乗るな」
「ここも帝都の闘技場と同じように、試合にも出られるし、観客として賭けもできるぜ、へへへ」
「それじゃあとりあえず今日の所は観戦で」
「よっしゃ、パープルチームの勇猛たる闘士か、それとも俺の可愛い獣達、どっちにかけるかな? へへへ」
「いちいち下品な笑いをするな。パープルチームに100G賭ける」
「なんだと? 俺の獣達じゃ敵わないっていうのか? まあいい、すぐに結果は分かるからな!」
そんなわけで、俺は闘士側に賭けて観客席へと向かった。
獣が勝つより人間に勝ってもらいたいからな。
ん――? なんかやたらと狼の数が多くないか? タイマンじゃないのか?
ひょっとしてコルフェってやつにハメられた?
そして戦いが始まった。
闘士はマジで狼の大群と戦うことになるようだ。
しかしこの発想は無かった。
ネズミやカニの魂を集めて、そんなのが闘技場に出てきて何がおもしろいのかと思っていた。
しかしネズミやカニが百匹ぐらい大群で出てきたら、それなりに凄惨な光景が期待できるというものだ。
考えたな、クヴァッチの闘技場管理人。
どうせなら話題を独占して、臣民の関心をグレイプリンス戦から塗り替えてもらいたいものだ。
そして、闘士は狼の大群を一人で片付けてしまったのだ。
やるじゃないか、見直したぜ。
「こらコルフェ、どうだ俺の予想が当たったぞ」
「さすが英雄殿は勝者を見抜く才能がある。だが次はそうはいかんぞーっ!」
「熊十匹とかですか?」
「勝つためならそれも止むを得んな、へへへ」
こうして、クヴァッチの闘技場の完成を見届けたのであった。
次に、手紙では城も修復が終わったと書いてあった。
そういえば新しい領主になったアリナーも、ずっと町をぶらぶらしていたようだね。
城の方も見ていくか。
門番は、鍵担当のベリヒ・イニアンだった。
なるほどそういうことね、ずっと最後の施錠を仕事としていたから、クヴァッチ奪還戦でも鍵担当だったんだ。
城の内部も、若干薄暗いが整然とされているものとなっていた。
ここでデイドラと戦ったことが、まるで嘘のような修復振りだね。
そして普通の普段着のまま玉座に座るアリナー・ゴールドワイン伯爵。
どこの領主である伯爵も、奇麗なローブで着飾っているのに対して、彼は地味なまんま。
まだ隠居人の習性が抜け切らないのか、それとも民衆と目線を近くした領主でありたいと思っているのか。
「おお、英雄殿。領主として私はしっかりやっていけているかな?」
「領主の仕事がいまいちわからんので、できてるかできてないか評価し辛いです」
「そうか、それは残念だ。それよりもだ!」
そういえば地下牢で問題が発生したのだっけな、その話ならもう聞いているから安心したまへ。
「ひゃっ! えっ、英雄殿っ?!」
「領主としてしっかりやりたいのなら、常に新しい情報を発信しろ……(。-`ω´-)」
「はっ、はいっ!」
まったくいつまでグレイ・プリンスの話をしているのだ。
というか、俺はアリナーからこの台詞を二回聞いた。こいつ以前俺に言ったことを既に忘れている。
だめだな、領主としての自覚が足らんぞ……、と。
そして、城には設計責任者であるプロキス・ドゥアラスも勤めていた。
街創りは終わらない、よりよい街を目指して、これからも補修、修復と頑張ってもらうのだ。
「英雄殿、闘技場を見てくれましたか?」
「うむ、帝都の闘技場に勝らぬとも劣らぬ良い出来であったぞ。とくに獣の使い方が斬新だ」
「ありがとうございます! そして英雄殿!」
「なんだね?」
「嘘をつくな! こないだ帝都に視察に行った時が初めての観戦だと言ったじゃないか!」
「ひょえ~っ、すみません~っ!」
お前見たこと無いけど、周りがそういっているから真似して言っているだけだろうが。
例えばE.T.というゲームだが、とあるゲームの講演会で参加者は「史上最悪のゲームだ」と答えたが、実際にプレイした者は一人も居なかったという話があったことがある。
要するに風評のみで人を評価するなということだ。
こういう奴が居るから、風聞だけで逮捕される提督とかが生まれるのだ。
「俺は決めた、決めたんです!」
「まぶしい恋人はあたしだけかしら?」
「違う! 君に命じる。ここの闘技場に参加して、チャンピオンになれ」
「いやよめんどくさい。というか、恋人はあたしだけというのが違うの? 他に誰が居るのよ!」
「話を逸らすな! 帝都の闘技場、クヴァッチの闘技場を二人で牛耳る事が出来るぞ」
「あ、それいいかも。それで、いつ参加すればいいのかしら?」
「そうだな、俺はここの地下牢からデイドラが出てくるという問題を解決したら、マーティンの所へ向かって恐らく楽園へと乗り込むことになる。その間に君は、ここの闘技場で戦うんだ」
「わかったわ」
こうして、緑娘をクヴァッチのグランド・チャンピオンに据えることで、グレイプリンス戦から進まない民衆の話題を上書きさせることに決めたのであった。
「もしもし、クヴァッチの英雄殿」
「なんだね、クヴァッチの市民殿」
城から出てぶらぶらしていると、教会前でレンカ・ヴァルスというおばさんに話しかけられたぞ。
何やら彫刻がどうのこうのと言っているが?
要点を言えば、クヴァッチの再建に貢献してくれた俺の彫像を作りたいのだとさ。
俺の絵を描いて、それを元に彫刻家が石像を作るという流れらしい。
「その為に絨毯などを用意して待っていたのです」
「なるほど、その為の絨毯か」
これで謎の絨毯の存在理由がわかった。
画家のレンカが、俺の絵を描くために用意したものだったのだ。
「そうそう、大事なことを聞くのを忘れていました」
「なんぞ?」
「彫刻に何かご希望のポーズはありますか? 膝立ちとか祈る姿とか、英雄の姿とかありますが、英雄殿はやはり英雄の姿が相応しいかと」
「ん、それでいいよ。任せる」
「それでは完成を楽しみにしておいてください」
そう言い残すと、画家のレンカはキャンバスと絨毯を抱えてどこかへ向かっていったのであった。
「巨大な像とか、まともな人間に耐えられるものではないものではないのかしら?」
「俺は誇らしいと思うぞ。ロドス島の巨像並にでかいものを期待している」
「大きすぎると、地震であっけなく崩れてしまうわよ」
「鉄で作ればいい、それなら壊れない」
「鉄じゃ曲がるわ」
「曲がるって何や、それなら金と銀で作ればいい」
「金と銀は盗まれるわ」
「そりゃそうだな、では材木で作ったらよかろう」
「材木は流されるわ」
「どこに川があるんだよ、それじゃあ結局石像か?」
「そうね、それでいいわ」
鉄が曲がる理由がわからんが、彫刻家というぐらいだから石なのだろうな。
そんなことをやっているうちに、日が傾いてきたりするのだ。
さて、今日はもう一休みして、また明日に城の地下牢でも探索しよう。
そう考えて、マティウスからの手紙にあった「狼頭亭」へ向かうことにした。
その名の通り、看板が狼の生首だね。
酒場の造りは、戦士ギルドと同じものだった。
やはりここの住民は、ここが豪雪地帯だと勘違いしているようだ。
これは設計責任者であるプロキスの責任かな? プロキスはブルーマ、いや雪国だと聞くスカイリム出身なのだろうか。
「おお、友よ!」
「マーティンと君だけが友だよ」
「宗麟よ!」
「なんやそれ」
「知らないのか? おおともそうりん」
「知らんな」
マティウスは、手紙に書いてあったとおり、衛兵を引退してここで酒場を開いていた。
飲んでよし、食ってよし、泊まってよし、見事な三拍子の酒場である。
ん、あたりまえか。スターク島がおかしかっただけだ。
以上、再建完了したクヴァッチ巡りはおしまい。
明日はデイドラの湧き出す城の地下牢探索をやることにする。
前の話へ/目次に戻る/次の話へ