ハンターギルド物語 その二 ~老いしイノシシ~
「オオカミの勝者よ、新しい仕事があるぞ」
「ふっふっふっ、夜盗なんかよりもオオカミの勝者の方がかっこいいぜ」
「アークメイジとオオカミの勝者はどうかしら?」
「う~む……(。-`ω´-)」
ハンターギルドにて、オグラから新たな仕事として言い渡されたのは、獰猛な老イノシシがザーラジの農園を荒らし回っているので退治して来いというものだった。
荒らし回る老イノシシねぇ……、祟り神に変貌してしまった乙事主か?
ザーラジの農園はここ、コリントの町よりもさらに南にあるようだ。
それでは行ってみますかー!
エルスウェア南端は近い、南の海が遠くに見え始めている。
シロディールでは見たことのない木がたくさん生えていて、なんというか、トロピカル?
高い位置に実を付ける木は、ココヤシと言い、その実はココナッツだそうだ。たまに落ちてきた実が頭に当たって、酷い時には死亡事故になることがあるらしいので、気をつけなければならない。
例えばココヤシの木の下に対象を呼び出して、実が落ちて頭に当たって死ぬ間に他の場所でアリバイを作るといった「ココヤシ殺人事件」というものも可能だが、良い子はやっちゃいけないよ。
池に木の板を敷いただけの橋、その奥に白い建物がある。
ザーラジの農園は、どうやらここのようだ。
農園というぐらいだからどんなのだろうと期待していたが、小ぢんまりとした農園で、見たこと無い植物を栽培しているだけのようだ。
相変わらず日差しはするどい。次にシロディールに戻った時には、日焼けをしてレッドガードの様な風貌になっているかもしれんな。
ここの主産物はパイナップルと言う南国の果物のようだ。
暖かいというより、暑い地方でよく育つ植物で、シロディールで栽培されているのを見たことがない。
「で、老イノシシの件だが、祟り神だったら俺の手には負えんぞ?」
「おわあ、びっくりした!」
小柄な人かと思ってたけど、顔を上げてみると獣と人間の間の顔つきでびっくりした!
ジ=スカール先輩は獣色が濃いが、このカジートは人間成分が少し多いようだ。
カジートにはいろいろな種類がいて、虎みたいなのから黒っぽいのから様々だ。なにやら生まれた時の月の満ち欠けによって異なる要望になるようだ。
つまり先輩が子供を作った時、虎みたいなのが産まれる可能性もあるわけなのである。
深く考えたらめんどくさい種族だな、カジート……(。-`ω´-)
「どうしましたか? ハンターの方ではないのでしょうか?」
「アークメイジです――、いやハンターです。夜盗は黒歴史」
「黒歴史真っ只中ね」
「黙れ緑娘。というわけで、イノシシ退治するぞ」
「ありがたい! 問題のイノシシは、ここから南に向かって丘を降りていくといい。日がな下で潜んでいるから」
「任せておきなさい」
というわけで、ザーラジから現状を聞き、老イノシシが潜む場所へと向かうことになった。
丘を見下ろせば、遠くにイノシシの姿が見えたりする。
うん、多少でかいが普通のイノシシだ、問題ない。
「そーら、ジ=スカールさんテフラさん、懲らしめてやりなさい」
「争いになる前に、最初から印籠見せなさいよ」
「イノシシに印籠見せて解決するか――って印籠って何だよ!」
老イノシシ、非現実的ではないがそれなりに大きい。
体当たりを食らったら大怪我をしそうだな。
飛び掛ってくるところをカウンターで魔法を放つ先輩。
よくわかんないけど、先輩もハンターとして楽しんでいるのだろうかな?
なんか先輩の魔法で跳ね返された大きいのが、こっちに向かってきたので元祖霊峰の指で始末しておく。
あ、緑娘がイノシシ相手にもヘッドプレスを仕掛けているな。蹴り技は隠しても、踏み技は使うのな。
そんな感じにイノシシの群れは全て始末した。
緑娘が一番大きなのを退治して、二番目に大きなのは俺の霊峰の指を食らってすっ飛んだ。そして先輩は小さいのをまとめて始末したらしい。
ん、皆の衆よくがんばった。
老イノシシの牙と、普通のイノシシの牙がどう区別付くのかわからんが、たぶん大きいのだろうな。
ついでに猪肉も手に入った。今夜はぼたん鍋かな?
ちなみに農場の主ザーラジからは、お礼に作物のおすそ分けを頂いた。
とまぁパイナップルなわけで、スタミナ回復と敏捷性の持続的低下が錬金術の素材としての効果らしい。
ミーシャへの土産にでもしてやるか、このまま食べても甘酸っぱくて美味しい。
仕事も終わったことだし、少し水辺で休憩してからコリントの町へと戻ることにした。
「暑いねー」
「ジ=スカールはこのぐらいが丁度いい」
「水着を持ってくればよかったわぁ」
「裸で泳げばよかろう」
「あなたと二人きりなら別にそれでも良いんだけどねぇ」
「……(。-`ω´-)」
緑娘はそんな娘である。
普段から扇情的な格好をしているからなぁ……
………
……
…
「さあ、老イノシシの牙を取ってきたよ!」
「ほう! 実に見事な牙だ。こいつの持ち主は、さぞやデカブツだったんだろうな」
「退治した後に言うのもなんだけど、生け捕りにしてボアー・ザ・ジャイアントとしてアリーナに送りつけてもよかったんじゃないかな?」
「よし、次に見つけたらそうしよう。さあ報酬だ。それとイノシシの勝者の称号もやろう」
「次は熊の勝者ですか?」
「また仕事ができたら呼んでやる。次の相手が熊だったらそうなるな」
「ネズミだったら?」
「ネズミの勝者だ」
「あまり強そうに聞こえないな……(。-`ω´-)」
そんなわけで、オオカミの勝者からイノシシの勝者へと昇進し、ハンターギルドでの名声がさらに高まったのであった。
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