手に入らぬものはなし ~アイレイドの彫刻~
「あ、そうだ」
「何かね?」
「もう一個アイレイドの彫像持ってた。折角だから全部譲るよ」
「美しい、見事だ。君のような才能を持つ者の興味を惹きそうな仕事がもう一つあるのだ。君なら任せられる、ぜひとも引き受けて頂きたい」
「聞いたかいテフラ、俺は非常に有能な人物だとさ」
「この国のレベル、割と低いからねぇ……」
「こほん、伺いましょう」
そう、シロディールの国レベルだと、俺程度の人でもアークメイジになれたりグランドチャンピオンになれたりするのだ。
緑娘が言うには、故郷での俺は目立たない平凡で埋もれた人間だったそうな……
俺はこの国に来るときに、何かチート能力を授かったのだろうか? その代償として記憶を失ったのだろうか?
さてウンバカノの依頼してきたものだが、なにやら古文書の中で「高地神殿」という名で登場する場所があるらしい。
高地神殿とは、ホワイト・ゴールドタワーの陥落に始まる後期アイレイド時代の遺跡の一つということだ。
ウンバカノは、このスケッチを見てくれと言って、一枚の絵を差し出してきた。
ん? この左に描かれた柱に見覚えがあるな……
「なぁ、この柱どこかで見たこと無いか?」
「あれじゃないの? 東部連峰から戻ってくる時に見た、大きなキノコの生えていた奥にあった遺跡」
「そうだ、確かマラーダってやつだな」
それがこれだ。
水に囲まれた中央に、この古文書のスケッチに描かれている柱のようなものがあった。
ウンバカノもマラーダについては心当たりがあったようで、「筋が通る」などと言っている。
「で、何を探せばいいのかな?」
「先ほどの古文書に描かれていた、彫刻が施されたパネルを探してきて欲しいのだ。高地神殿の中央広間の鍵も預けておく」
なんだかとんとん拍子で仕事を依頼されたが、報酬として2500G出すと言ってきたので快く引き受けることにした。
戦士ギルドの仕事が600G、盗賊ギルドの仕事は300G。しかしこれは、その5倍近い報酬を出してくれたのだ。
やっぱり貴族っぽい人は違うね。俺は10万G以上持っているけど……
「並んでいるねー」
「テーブルに一個あるから、最終的にここに9個並ぶのかな」
「君に依頼した彫刻を回収するために、マラーダに行くのではないかね?」
「急かすと良い彫刻が手に入らんぞ」
ウンバカノが早く取ってきてほしそうにするので、盗賊ギルドの仕事の仕事は一旦保留して彫刻探しをすることにした。
ウンバカノの屋敷を出たところで、こちらに向かってくる人が一人。
こういうやつは、俺はよく知っている。
「当ててやろうか? グランドチャンピオンの熱狂的ファンだろう?」
「違う。俺はクロード・マリック、ウンバカノのゲームのもう一つのコマさ」
「格闘家と手品師を足して二で割った奴か?」
「ジャン・クロードも、ミスター・マリックも知らん。俺はいつもライバルのトレジャーハンターと会うのを楽しみにしているんだ!」
「名前知っとるやん、誰もジャンとかミスターとか言ってないぞ」
「気にするな、飲みに行こうじゃないか!」
「なんやお前は……」
なんだかよく分からんけど、ウンバカノの関係者みたいなので、素直に従って酒場に向かうことにした。
ちなみにここは酒場じゃなくて、タイバー・セプティム・ホテルらしい。帝都にもなれば、宿屋だけでなくホテルもあるってことか。
そのホテルで出迎えてくれたのは、三匹のオオカミ。なんでや?
ひょっとしてクロードが、俺をハメてアイレイドの彫刻を横取りする気なのだろうか?
まだ取りに行ってないのにね。
「さて乾杯だ、ウンバカノに乾杯。あいつの財布がいつまでも空になりませんように!」
「乾杯をしよう、若さと過去に。苦難の日々は、今終わりを告げる!」
それで結局こいつが何なのかというのは謎。
俺のことをライバル視してくるが、こんなやつ知らない。
聞けたことは、マラーダの位置が帝国西部のヴァルス山地にあるってこと。そんなん知っとるわ。
というわけで、何をしたいのかわからんクロードとの会話はそこそこにして、ホテルを立ち去るのだった。
さてマラーダだ。
再び東部連峰を目指すことになるが、そこまで行く必要は無い。
この道はいつか来た道。ああそうだよ、オオカミがうろついている。
しかしマラーダの近くのキャンプには、全身デイドラ鎧と、緑鎧のハゲオヤジが居たりする。
こんな人居たっけなぁ?
東部連峰に向かっているときや、帰ってくるときにもこのキャンプは見たけど、人はいなかったけどね。
というわけで、マラーダである。
最近アイレイドの遺跡が多いが、シロディールには多数のアイレイドの遺跡があり、本気で狙っていかないと全ての遺跡を回ることは難しい。
ウェルキンドストーンを千個集めようとかやっていたけど、なんだか最近はどうでもよくなっていたりして。
全部緑娘にあげたしね。
「とりあえず、普通の遺跡だね。ウェルキンド・ストーンも普通にあるけど、花瓶やコップは無い」
「死霊術師が住み着いているかもしれないわ」
「そっちはウォーロックに任せることにしよう」
しかしこの遺跡に住み着いていたのは、ネズミやオオカミ、そしてクマである。
動物が住み着いているのはあまり似合わないけどなぁ……
残念なのは、猛獣だと追いはぎができないので、あまり儲けが無いと言うことだ。
クマやオオカミの毛皮は手に入るけど、精々10Gぐらいでしか売れないし、他に使い道が無いからなぁ……
遺跡の奥に、珍しい形の扉がある。
ピッキングや魔法で開けられない、特別な鍵を必要とするパターンだ。
今回の場合、ウンバカノから預かってきた鍵が役に立つ。
その扉を開けて進んだ奥に、ウンバカノが見せてきたスケッチに描かれていた場所があったりした。
その中央にはめ込まれている石版みたいなものが、アイレイドの彫刻なのだろう。
「よし、取り外すぞ! うおりゃあ!」
「壁まで引き剥がさなくてもいいじゃないのよ!」
「すまん、力が入りすぎた……(。-`ω´-)」
なにはともあれ、彫刻の施されたパネルは手に入った。
盗品は東部連峰で手に入れたもので、盗賊ギルドで使うやつだ、気にしないでくれ。
後ろで緑娘が骨とバトルしているが、彫刻を取り外すと現れたやつなのだ。まぁ任せる。
しかし、彫刻を手に入れてマラーダから出ると、めんどくさい光景が待ち構えていた。
緑色の鎧を身に着けたクロードが、先ほどキャンプで見かけた全身デイドラ鎧とハゲオヤジを率いて現れたのだ。
「でかしたな! さて当然のことだが、俺に彫像を渡してくれなければ困る!」
「熱狂的なファンかと思ったら、ただの手柄横取り野郎か。残念ながら渡さん!」
「お前を傷つけるマネはしたくないのだがなぁ、俺が欲しいのは彫刻だけだよ。それを渡してくれたら、今日のことを酒の肴にまた一杯やろう」
「やだね。逆にお前を酒のツマミにして食ってやる!」
「残念だな、やっちまえ!」
というわけで戦闘になってしまったわけだが。
クロードは俺のことをトレジャーハンター仲間だと言っていたが、これはタダの手柄を横取りでウンバカノに取り入っていただけじゃないか。
たぶん他にもトレジャーハンターが居るのだろうが、全員こいつに殺されて手柄を横取りされていたのたでろうなぁ……
クロードの部下どもを退治した時、クロードは既にどこかへ身を隠してしまっていた。
………
……
…
「さて、彫刻を取ってきたぞい」
「素晴らしい! 君は本当に超一流のトレジャーハンターだよ!」
「ところでクロード・マリックという奴についてだが……」
「ああ彼なら知っている。ちょっとした友好的な競い合いは、機知を研ぎ澄ますものだというのが私の持論でね」
「奴は手柄を横取りしようとしてきただけだし、要求を拒んだら部下をけしかけて殺しにかかってきたぞ。あいつただの横取りで、トレジャーハンターじゃない」
「う~ん、あてが外れたか……」
時々居るよね、
ちょっと外れた考えを持っている金持ちって。
今後も依頼中にあまりにも酷いことが起きたら、アイレイドの彫像全部盗むからな!
いかんな、盗賊ギルドが俺の良心を侵犯しつつある……(。-`ω´-)
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