東部連峰の死霊術師 その二 ~カヌルス湖の町~
えーと、なかなかシロディールに戻れない。もう20話近く、東部連峰をうろうろしている。盗賊ギルド本編より長いぞ?
――などとメタ発言している場合ではない。
なんでも、この東部連峰にも死霊術師が住み着いているらしいのだ。
錯乱状態のアルゴニアンから、死霊術師の奴隷に奴隷にされていたといった内容の手紙を受け取った。
しかしそれだけでは何のことやらわからんので、林務兵ジェイソンにも話を聞いてみた。
すると、東部連峰の南の方に、カヌルス湖の町というアルゴニアンの集落があることを聞いたのだ。
死霊術師のことについては無視できないので、とりあえずこの町へと向かってみようか。
町への道のりの途中に、山賊に襲撃された修道院があったりする。
最初に訪れた時には何のことやらさっぱりだったが、俺達が来る前から山賊は暴れまわっていたということだな。
来るのがもう数日遅れていたら、農場に誰も居なくなっていたのだろうか……?
あまり見たくは無かったが、念のために修道院の建物内に入ってみた。
中はかなり凄惨な状況だ。
そして、明らかにテーブルの上で死体を弄んだような形跡も残っていた。
ジェイソンが持っていた指もだが、中には心臓を抉り取られた死体もあったりするのだ。
「ひょっとして山賊=死霊術師ってことはないだろうな?」
「こういうのをえげつないって言うのよ。あたしの戦い方はえげつなくない」
「まぁそうとも言えるな……(。-`ω´-)」
緑娘はスマートに戦いを終わらせているだけで、死体を弄んだりはしない。
でもこれが山賊なのだ。
盗賊ギルドで昇進していくと山賊になったりする。
これはどういうことかと言えば、盗賊ギルドも、殺しはやらないと言っているが、山賊はこんなことをやっていてギルドにも山賊の階級の者が居る。
つまり結局の所、盗賊ギルドは悪で滅びるべきなのだ。
俺は新たな誓いを立てながら、修道院を後にした。
そしてそのまま、南へ続いている街路を進んでいった。
途中の橋から見た景色。ずっと下に湖が見える。
きっとあそこがカヌルス湖で、その周辺に町があるということだろう。
そしてこの川をずっと上流へと登っていけば、先ほど見かけたアルゴニアンの巨像が置いてある橋のようなダムのような場所へと繋がっているのだろう。
川の途中にも、アイレイドの遺跡でお馴染みの大理石でできた柱が顔を覗かせている。
埋もれた都市は、かなり広範囲にわたって広がっていたと言えるだろう。
東部連峰からニーベナイ盆地なかけて広がっていた都市、モラグ・バル信徒の領地は帝都より大きかったのかもしれない。
川を下って湖へと到着した頃、遠くに湖の上に浮かぶような形で建物が並んでいるのが見えたりした。
あれがカヌルス湖の町なのだろうな。
湖の中央にも、アイレイドの遺跡の柱が立っている。
アルゴニアンの故郷であるブラック・マーシュは、広大な湿地帯だと聞いたことがある。
おそらくそこには、こんな感じの町がたくさんあるのだろう。
湖上の町、涼しいのかジメジメしているのか、前者だと快適だけど後者だとうっとーしいなぁ……
というわけで、カヌルス湖の町へ到着。住んでいるのはアルゴニアンだけのようだね。
とりあえず、入り口から一番近くに居る住民に、手紙について尋ねてみた。
――だそうだ。
ヘランと名前で示されてもわからん。俺にはアルゴニアンの区別がつかんからな。
オスとメスはなんとか分かるような気がするが、未だにディーサンとクド=エイの区別がつかんからな。
頭の後ろにトゲがあるのがオスで、ツルツルしているのがメスだ。
ヘランという名前から判断するに、メスか?
ちなみに、他の住民に手紙について聞いてみても、みんな「あまり良くないようだね」だ。
何に対してあまり良くないのかわからん。そしてヘランに聞いてみろというのも同じだ。
ヘランは長老か?
この町には、所々に網が仕掛けられていて、そこにカニや魚がひっかかっている。
罠なのか保存方法なのかどっちなのだろうね。
そしていろいろと回って聞いていったところ、この人がヘランだと分かったので手紙を渡してみた。
トゲがない、メスだね。――ってかおっぱいちょっと出てるね、緑娘と比べたら無いようなものだけど、こほん(。-`ω´-)
「なんてこと?! そんなはずはないのに、でも彼は死んだ!」
手紙を読んでいたヘランは、顔色が変わったのかどうかわからんが、取り乱したかのようにそう言ってきた。
まぁ死んだから死霊術師に捕まって――
いや待てよ、死霊術師はどっちが先なのだ?
殺した死体を弄るのか、すでに死んでいる死体を拾ってきて弄るのか……
とりあえずヘランが落ち着くまで待つことにした。
「いいえ、彼は生きている。私にはわかるの、彼は生きているにに違いないのよ」
「まぁその人から手紙を預かってきたからね。少なくともゾンビではなかった――はず」
手紙を渡してきたアルゴニアンの様子がおかしかったので自信を持って言えないが、俺には死んでいるようには見えなかった。
「取り乱してごめんなさい、この手紙は息子のプル=テガからのものです」
「勇者の父親ですか?」
「それはオルテガです。でもこの手紙があるということは、死んだと思っていたけどそうじゃないみたい」
「死霊術師から逃げてきたみたいだったけどね」
「この手紙をどこで見つけたのか教えてくれませんか?」
そこで俺はヘランに、魔女の村のすぐ南にテントを張っていたアルゴニアンのことを話してあげた。
蟲がどうのこうの言っていたのは黙っておこうかな、ヘランには分からないだろうし、余計な心配をかけてしまうかもしれない。
「ああ、それは彼に間違いありません。お願いします、息子の所へもう一度行ってもらえますか?」
「それはいいけど、連れて行ってあげようか?」
「私はここを離れるわけにはいかないのです」
出た、丸投げさん(。-`ω´-)
まあいいか、山賊の残党も居るかもしれないし、死霊術師は確実にどこかに居そうだ。
ヘランは戦闘が苦手なのなら無理に連れまわすことはない。
とりあえずテントの場所に戻って、母親のヘランが心配していることを伝えてあげるか。
オルテガ――いや、プル=テガに。
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