最終決戦 後編 ~対決! ブラックウッド商会!~
ブラックウッド商会へ最終決戦に挑むために、本部へ乗り込んだ俺たち。
出迎えてくれたのは、カジートのジャファジールで商会の副長らしい。
「貴様はもはや仲間じゃねぇ! 戦士ギルドのスパイめ! 裏切り者め! 貴様の人生もこれまでだ!」
「何よ! 最初から仲間じゃないわ!」
最初から凄い剣幕でまくし立ててくる。
潜入したときからすでにスパイだと気づかれており、緑娘は薬を盛られたというのか?
「敵襲だ、お前らかかれっ!」
「うるっさいわね!」
号令をかける副長ジャファジールを思いっきり蹴り上げる緑娘。
武器を持っていないと見せかけて先手を取る作戦、いいんじゃないですか?
しかし杖を持ったアルゴニアンも迫ってきていた、商会の魔術師か?
目には目、歯には歯、魔法には魔法だ!
「よし、俺はヒストを探し出して破壊する。テフラはリザカールをやっつけるんだ!」
「わかったわ、奴はきっと上ね!」
「そうはさせないぞ!」
敵のリーダーが居るであろう方へ駆け出した緑娘を、商会のアーチャーが狙い撃とうとする。
しかしすかさず魔力で妨害すしてやるのだ。
上の階へ駆けていく緑娘に、心の中で「幸運を」とつぶやき、目の前のアーチャーに霊峰の指をぶち込んでやるのであった。
「この奥が怪しいな?」
二階でドカバキ音がするのを聞きながら、扉の前で考え込む。
どうやら鍵がかかっているようで、鍵を使うか扉を破壊するしかない。
いや、開錠の魔法もあったっけ?
しかしここは派手にぶちかますことにした。
大粒の氷の塊をぶつけて、扉を破壊してしまうのだ。
ほとんど物理攻撃に近い魔法、その氷塊がぶつかった扉は、錠前の部分を破壊されて無残な姿をさらけ出した。
後は扉を蹴破って中に入るのみ!
「な、なんだこの施設は?」
目の前に飛び込んできたのは大きな木。その幹にはなにやら管が取り付けられていて、周囲にあるガラス製の容器には黄色い液体が溜まっていた。
ガタガタ音を立てながら動いているものはポンプか?
この木から樹液を強引に吸い取っているのだろうか?
するとこれがヒストの木か?
「こらっ、侵入者っ、早々に立ち去れい!」
「そうはいかんな、この木は破壊させてもらう」
どうやら二人のアルゴニアンがこの木の番をしているらしく、俺の前に邪魔をするように立ち塞がってきた。
「侵入者め、お前は何者だ?」
「俺の名前はラムリーザ、魔術師ギルドのアークメイジである」
「魔術師ギルド? 戦士ギルドではなくなぜ魔術師ギルドが?!」
「ふっふっふっ、ヒストの技術を横取りしに来てやったぜ」
「そうはさせるか! このポエマーズがお前に引導を渡してやる!」
「何がポエマーズだ!」
そして二人のアルゴニアンは、声高らかに名乗り始めた。
「俺の名前は、ソラノ=コエ=キク!」
「俺の名前は、ライメイノ=ゴトク=ウタウ!」
「二人合わせて」「二人合わせて」
「「ポエマーズ!」」
アホか!
んや、別に名前に対してどうこう言うつもりはないさ。
詩のような名前、ええんでない?
ただこの芝居がかったやりとりにアホくささを感じただけだw
二人相手だとめんどくさいので、さっさと霊峰の指改を二連発してやっつけてしまう。
来世ではこんな商会に加わらずに、本格的な詩人を目指すんだな。
邪魔者を雷鳴の如く魔力を放ってやっつけて、再びヒストの木と対峙した。
やっぱり機械を壊すしかないか?
いや、木を燃やしたほうが早いか?
とりあえず、ポンプを破壊して、周囲のガラス瓶を割って、ヒストの木には念入りに炎を放っておいた。
うん、木はやっぱり燃えるね。
もうもうと立ち込める煙、衛兵に火事だと思われたらめんどくさいな。
それに樹液がやばい薬になるのだ。その木が燃える時に出る煙もあまり身体に良さそうではない。
俺は、燃え盛る木を尻目に、部屋から立ち去った。
ヒストの木があった部屋から出ると、そこでは緑娘が商会の戦士とやりあっていたりする。
うん、階上にいるリーダーのリザカールは退治して戻ってきたのか?
それともいまここでやりあっている相手がリーダーか?
「貴様~っ! 全てを台無しにしやがって!」
「どうだザマーミロ!」
む、あの声に聞き覚えがある。
それにあいつ見覚えが――
「なぜだ、なぜなんだ! 俺には仕事があった! 家庭もあった! お前に全てを奪われた! お返しにお前を殺してやる!」
「何よマグリール先輩――、いやもう先輩じゃないわね、この裏切り者! どうせヒストの汁飲んで幻覚見ているだけでしょうが!」
そうだ、マグリールだ。
そういえばそんな奴も居たな。
戦士ギルドを裏切ってブラックウッド商会に移籍したんだったな。
あと、ヒストの汁じゃなくて樹液な。
まぁマグリールなんか緑娘の敵では無いわな。
そんなわけで、ここにブラックウッド商会はヒストの木と共に壊滅したのだった。
攻め込んできたのが、魔術師ギルドのアークメイジと戦士ギルドのチャンピオン。シロディールの二大ギルドに歯向かった者の末路はこうなるのだ。
いや、魔術師ギルドには歯向かっていないみたいだけど、気にするな……(。-`ω´-)
「いやぁ、二人でかかればなんとかなるもんだな」
「あたしは一人じゃ無理でも、あなたがいてくれたら、何でもできそうな気がするのよ」
「ん、どっかで聞いたような気がするな」
「何度も言ってきた言葉だけどね」
二人一緒なら何でもできる。
それは遠い昔の記憶のようでもあり、ついこの間の記憶のような気もする。
「そうだな、何もかも空の導きのまま、だ」
「何それ?」
「俺は空の声を聞き、雷鳴の如く歌うのさ……、いやなんでもない、忘れてくれ」
「何を言っているのかしら?」
「風が出てきたな……」
「変なポエマーみたい」
「…………(。-`ω´-)」
いかんな、変な二人組みに毒されて、最後が奇麗に決まらなかったぜ!
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