最終決戦 前編 ~ヒストの樹液~
緑娘テフラがブラックウッド商会から持ち帰った情報。
あの時、他の三人と一緒に新入りとして、ウォーターズ・エッジを脅かしているゴブリンを駆除する仕事に向かったのだという。
そしてその時、戦闘力を強化してくれるというヒストの樹液から作った薬を渡されたのだと。
後は三人の仲間と共にウォーターズ・エッジに向かい、そこにうろついていたゴブリンを退治したのだ。
まずは家の中からゴブリンが飛び出してきたので踏み殺し、ビエナの家にもゴブリンがいたので軽く握りつぶしてみたと。何故かいつもと違う力が湧き出していて、ゴブリンを軽々と持ち上げられたのだとさ。
最後に集落から逃げようとしたゴブリンに馬乗りなって叩きすえ、その後は記憶が曖昧で気が付いたらオレインの家だったと。
そっか、あの時緑娘には住民や羊がゴブリンに見えていたのか……
あれほど好きだった羊を攻撃していたから変だとは思っていたんだ。
そして幹部の話では、レヤウィンのブラックウッド商会本部にはヒストの木があり、魔法と機械でどうにかできると言っていたそうだ。
ヒストの樹液は、アルゴニアンの故郷ブラックマーシュに生えている木で、シロデイールには無いはずである。
そこでオレインは、その樹液がアルゴニアン以外にどう作用するのか想像ができないと言った。
幻覚作用と肉体の強靭化があるんじゃないかな、ヒストの樹液で強靭化して狂人化する……こほん(。-`ω´-)
「何つまんないこと言ってるのよ」
緑娘に文句をいわれた……
つい口走ってしまっていたか?(。-`ω´-)
「そこでだ!」
オレインは、緑娘の話を最後まで聞いてから述べた。
「ヒストの木はぶっ潰すしかない」
「そうだな、あまり良くない薬の原料みたいだしな」
「うむ、その木こそが諸悪の根源。ブラッグウッド商会が樹液を利用する限り、安全な場所などない。恐らく連中は、もはや善悪の区別すらついていないだろう」
「いや、マグリール先輩は悪だわ! あの裏切り者!」
「まぁまぁ、それは置いといて――」
「ヒストを破壊する方法を見つけ出すんだ。リザカールが守りを固めているだろうから、そのことも覚悟しておいてくれ」
そんなわけで、ブラックウッド商会に対して正面決戦するときがやってきたようだ。
もっともオレインは、現在除名処分になっているから手を貸せないんだとさ。
そんな人に昇進を言い渡された俺は何なんだろう?
ってか、別にギルドメンバーじゃなくても戦闘に参加することぐらいはできるよね?
やっぱり使いっぱしりか……?(。-`ω´-)
「あとラムリーザ、羊の代金は三匹で3000Gだ。輸送代込みで3300Gな」」
「はいよ」
「何ラムリーザ、あなた羊を買ったの?」
「……気のせいだ、気にするな(。-`ω´-)」
「さて、最終決選みたいな雰囲気だけど、もう身体は大丈夫か? なんなら俺一人で行ってもいいけど」
「嫌よそんなの。最後の美味しいところだけ持って行くなんて許せない」
「それだけ言い返せるなら大丈夫だな。さて、またレヤウィンか」
コロールとレヤウィンは、シロディールの北西と南東に位置している。
つまり国内横断なわけで、俺はここの所何往復しただろうか?
そして最終決戦なのに緊張感が薄れるのが、この二人乗りだ。
まぁ今となってはもう悪い気はしないけどね。
ただし、今回はちょっとルートを避けることにした。
ブラヴィルを南下するルートではなく、クロップスフォード経由でニベン湾の東側を通っていく。
何故かだって? ウォーターズ・エッジを避けただけだよ……
住民も当然ながら、羊までやられたことを知ったら緑娘は悲しむだろうからな……
いずれは、話さなければならない時が来るだろうが……
「なんだかいつもと違う道を通るのね?」
「うむ、ちょっとブラヴィルに近づいたら蕁麻疹が出る症候群に陥ってだな……」
「何よそれ?」
「医者にもそんな奇病見たこと無いと匙を投げられたのだ」
「じゃああたしは魔術師ギルドに近づいたら蕁麻疹が出る症候群になるわ」
「俺自身が魔術師ギルドなのだがな……」
そんなしょうもない会話をしながら南下していた。
これから最終決戦だというのに緊張感のかけらもあったものじゃない。
しかしこのルートだと――
突然ユニコーンから飛び降りて、水辺に浮かぶ小島に手を振り始める緑娘。
しまった、ミーシャが居た……(。-`ω´-)
それにマズイ!
ミーシャは羊に乗って妙なポーズを取っているが、羊のこと思い出されたら厄介だ!
「ミーシャちゃん、羊さんをちゃんと預かってくれているのね」
「そうだね! 急いでブラックウッド商会を退治しないと!」
「どうしたのかしら? なんか必死になっちゃって?」
「ヒストの樹液で凶暴化したブラックウッド商会がミーシャに襲い掛かってきたらどうするんだ?! 善悪の区別もついていないんだぞ?!」
「あ、そうだわ! 急がなくちゃ!」
ふう……
とりあえず羊の話は今は誤魔化せた。
いずれはウォーターズ・エッジの羊問題をなんとかしないとな。
さて、レヤウィンに到着し、ブラックウッド商会の本部前へとやってきた。
「ここから先は、あたし一人でやるわ」
「いや、そうは行かない。俺もブラックウッド商会に恨みがあるからな」
「あら? あなたも何かされたの?」
「俺の大事なミ、テフラに酷い目に合わせた。その恨みは晴らしておかねばな」
「……あたしを思ってくれてありがとう、と言いたい所だけど、緑娘って言いそうになったでしょ?」
「気のせいだ……、大事なミーシャと言いそうに……(。-`ω´-)」
「何よこのロリコン!」
「…………(。-`ω´-)」
そういうわけで、潜入捜査の時とは違って、今度は二人で乗り込むことになった。
何も隠す必要は無いからな、今回は戦争をしに来たのだ。
俺達は、思いっきり門を開いて叫んだ!
「たのもう!」
「こんにちわぁ!」
……ちょっと息が合わなかったかな?(。-`ω´-)
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