貴族の娘 ~オークのお嬢様~
シェイディンハルにて――
戦士ギルドがこの先どうなるかわからない。
緑娘テフラがどう考えているのかはわからないが、とにかく仕事をこなして降格された分を取り戻そうとしているようだ。
すぐにバーズの元へと赴いてみると、丁度重要な依頼が入ったらしい。
こんな重要な任務、他に引き受ける者は居ないのか、やはり昇進を餌に使い走りされているのか。
それはどうだかわからないが、なにやらラグダンフ卿に会いに行けという話らしい。
ラグダンフ卿はオークの貴族で、立派な男らしい。そしてバーズは、彼とちょっとした縁があるそうだ。
しかしなにやら彼の娘が行方不明になったのだそうだ。
オークの娘か、マゾーガ卿だな。オークの娘ならどれだけおしゃべりをしていても緑娘は文句言わないだろうから楽だ。
ちなみにバーズが言うには、その娘は理想のオーク女性そのものなのだそうだ。
たぶん見てもわからんだろうなぁ……
ラグダンフ卿の荘園は、シェイディンハルから少し北に行ったところだ。
荘園のすぐ南は、何のために作られたのかわからん機械が並ぶハンマーミルだったかな。
というわけで、シェイディンハルの東門から出て北へと向かい、ハンマーミルを通り過ぎたところで石垣に囲まれた建物にたどり着いた。
そういえば、ブルーマから山道を通ってシェイディンハルへ向かう途中で素通りした気がする。
オークの貴族か。
騎士だったり貴族だったり、オークもいろいろと立派なんだな。
がんばれカジートのジ・スカール先輩!
そしてこれが、ラグダンフ卿の屋敷。
屋敷に住みたければ、スキングラードの自宅かな。
そういえばメイドさんを住ませていたんだっけ、完全にメイドさんのために買ったような屋敷だな。全然帰ってないもんなぁ……
ラグダンフ卿の相手は緑娘に任せる。緑娘の仕事だからな。
彼のフルネームはラグダンフ・グロ=シャーガック。
ちなみにバーズのフルネームはバーズ・グロ=キャッシュ。グロが付くのがオークの名前の決まりなのか?
バーズの言っていた通り、娘がさらわれたとか言っている。
オーガ共に!
またか……(。-`ω´-)
ホント、どこまでオーガは困ったちゃんなんだ。
迷惑ばかりかける野蛮人オーガ。ジャガイモ泥棒から始まり、聖石を盗賊から強奪、そして今度は人さらいか。
もっと昔から言えば、この国に迷い込んで右も左もわからんかった俺が平和的に話しかけたのに、いきなり殴りつけてきたっけ。
オーガ撲滅運動でも始めようかのぉ……
オーガは荘園の東側で暴れているそうなので、屋敷を出て東へと向かう。
どうも北の方はオーガ騒動が多いなーっ。
――と、よく見れば誰か襲われている。
緑色の顔、オークだ。たぶん女性、娘か?
「とりあえずお嬢さんは逃げて!」
そう叫んで、オーガの群れにプリズム・スプラッシュを放つ。
単体相手なら霊峰の指改でいいのだが、多数相手だと魔力が拡散するこちらの方が効率が良い。
ただし直接ダメージを与えるわけではなく、相手の動きを封じる効果の方が高いのだがな。
麻痺させたオーガを炎の魔法でとどめを刺す。
一匹は緑娘が踏み殺したようだ。しかも飛び上がって両足でのストンピング。
俺と緑娘、どっちにやられたい?
そんなこんなでオーガの群れを退治した俺たちは、ラグダンフ卿の娘とご対面になりましたとさ。
う~む、これがオークの理想の女性図か。
やっぱりわからん……(。-`ω´-)
彼女はログバトと名乗った。
ログバト・グラ=シャガック。オークの名前は男性はグロで、女性はグラなのか?
ぐろとぐらのおきゃくさま――、なんかちょっと違うか。
とりあえず予想通り、俺がこのログバト嬢と会話をしていても、緑娘は何も反応しない。
カジートとアルゴニアンとオーク、この三種族に関しては緑娘を気にすることなく付き合えるから楽だね。
もっともオークはある程度はわかるが、カジートとアルゴニアンに関しては、パッと見ただけでは男女の区別はつかんけどな。
こうしてログバト嬢を助け出した俺たちは、すぐにラグダンフ卿の元に帰ることにした。
きっちりやるなら周囲を探索して、オーガの本拠地があれば潰しておきたいところだが、まあいいか。
そしてラグダンフ卿は、娘を救ってくれたお礼として、代々受け継がれてきた武器を譲ってくれた。
なんだろう、オークと言えばハンマーか?
「なんかこんな剣くれたよ。ラグダンフの剣だって」
「ふ~ん、重くない?」
「重過ぎる、こんなの使えないわ」
「じゃあどこかの拠点に飾っておくか」
以上を持って、今回の仕事はおしまい。
あまり難しくない仕事、やっぱりオーガに勝てる人材が少ないのかなやっぱり。
ある程度戦力があると、楽な仕事だね。
どっとはらい
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