ノクターナルの海底神殿 ~忘れられた者~
海賊船と共に沈んだ古代の遺物、神々の力を入手? 奪還? できた俺たちは、さてここからどうするか? という話になった。
そこでこの水没した洞窟の周囲を探索してまわってみたのだ。
すると、海底によく見た感じの石造り、アイレイドの遺跡っぽい場所があったりするのだ。
水没した遺跡と洞窟が繋がっていた感じかな?
その一方で、防水加工解説書という本が沈んでいるのを発見した。
しかし書かれていたのはこれだけ。
えーと、防水加工の解説書だよね?
本に防水加工されているわけではないのか。それとも、この二行だけが書かれている本なのか。
うーむ、わからん。
それから、大きなウナギが襲い掛かってきたりする。
ウナギって蒲焼にしたら美味いのは分かっているが、まさか人を襲ってくるウナギが居るとは驚きだ。
これってウナギじゃなくて、ウツボじゃないのかねぇ? そもそも淡水じゃなくて海底だし……、産卵中か?
「ちょっとラムリーザ、なんだか石像があるわよ」
「どれどれ?」
相変わらず、何故海底で会話ができるのかは謎だが、俺は緑娘の声がしたほうへと泳いでいった。
「ああこれか、見たことがあるぞ。たしかノクタールだったかな、デイドラらしいが割りと普通の神様だった」
以前ノクターナルに頼まれて、盗まれた目玉を取り返したことがある。
珍しくデイドラが被害を受けていて、それを助けてあげるといった依頼だった。
デイドラは、人に迷惑をかけるような依頼が多い中、珍しいものである。
「千個集めたら願いの叶う石もあるわ」
「よし、頂いておこう」
アイレイドの遺跡とノクターナルにどんな関係があるのかわからないが、ノクターナルは盗賊の加護者と言われているからここは盗賊関係の遺跡かな?
密売人も盗賊の類として良いのだろうか……
横穴に進んでいったり、深い穴を下って行ったその先には――
本格的な遺跡らしきものが見えてきた。
なんか骨魚がここにも居るみたいだ。魔法関連が使えないので、魔剣を振り回すしかない。めんどくさ。
やはりノクターナルの遺跡らしい。
ここは盗賊の聖地だったのか?
その近くには、地上でも何度か見たことのある、アイレイドの遺跡への入り口があったりした。
ただ、やたらと骨が散らばり過ぎているような気がするのが気になるけどな。
過去にいったいここで何があったというのだ?
入り口を潜ると、その中は水没してなくて普通の広間となってた。正面の階段の上には、青白く輝くゲートもあったりする。
やはりおびただしい数の骨が散らばっている。
それに、動く骨まで襲い掛かってくるのだ。退治しても退治しても、何度でも。
「切りがないわね!」
「何者かが召喚しているっぽいな……(。-`ω´-)」
こいつだ! 忘れられた者!
待てよ、忘れられた者って何だ?! 普通にリッチじゃねーか!
とにかく退治!
立て続けに骨を召喚してくるので、元を断たなければ切がない。
忘れられた者と呼ばれているリッチを退治すると、ようやく遺跡内に平穏が戻ってきた。
まずはリッチの戦利品から。
禁じられた杖は、耐性や持続力を低下させる、ゲンナリ系の杖だ。
そしてありふれた指輪は、反射や耐性を上昇させるという。杖はどうでもいいけど、指輪は割と有用じゃないか?
それから、改めてこの遺跡内をじっくりと見て回る。
なんだ? このノクターナルの像がついた棺の数々は?
盗賊の墓場とでも言うのだろうか?
「ちょっとラムリーザ、メモみたいなものが見つかったよ」
「メモだと? まみむめも~っ」
「そんな挨拶の言葉、流行らないから残念!」
「いや、別に挨拶ってわけでは無いがな……(。-`ω´-)」
緑娘が呼んでいた場所に行ってみると、石のテーブルの上に確かにメモが残されていた。
なんか魔法使いに騙されたとか、奴隷がどうのこうのと書かれている。
誰が書いたのだろうか?
ここの散らばる、おびただしい数の骨の中の一人が書き残したのだろうか?
「他にもメモが残っているかもしれないから探しましょうよ」
「うむ、この異様な場所の謎が解けるかもしれないからな」
この部屋の中には、紙にかかれたメモ以外に石に刻まれたメモも残されていた。
やはりここはノクターナルの聖域のようで、これを書き残したものはここの棺にあった死体を使って戦士を作ったりしていたらしい。
ぬ……、ということは、これを書き残したのは、先ほど退治したリッチか?
記録を残すリッチは珍しい気もするが。
「あ、この辺りにメモがいくつか落ちてるよ」
「どれどれ、一つずつ見ていくか」
「これは、先ほどのリッチが書き残したもの。いや、リッチと化した、もとアイレイドのエルフが書き残したものだな」
メモを時系列(たぶん)順にまとめてみると、以下の通りだ。
リッチと化したエルフは、元々軍隊の隊長か何かだろうか?
そしてこのノクターナルの遺跡を守るために、アレッシアという軍と戦っていたようだ。メモでは神聖な神殿と書かれているので、元々は水没していなくて地上だったのだろう。
だがアレッシア軍を防ぎきれず、入り口を爆破して神殿に立てこもったようだ。閉じ込められたようなものではあるが……
そこで篭城して、国王からの援軍一万の戦士を待っていたようだ。
しかし援軍は来ず、入り口を爆破したことにより水没してしまったらしい。
そして大勢の部下たちは、次々に息絶えていった。
その遺体を、リッチと化したエルフは資源と考え、兵士として使えるだろうと考えていた。これが先ほどの石に刻まれていたメモの話に繋がる。
また、この周囲に散らばっていたおびただしい数の骨の正体でもあった。
こいつ、死霊術師だったのかよ。
しかし、神殿の中の資源が尽きてしまい、これ以上の戦士は作れなくなってしまった。
さらにそのエルフも、古代遺産の魔法に頼って生きていて、それで永遠に生き続けられるだろうと思っていたらしい。
だがそう話はうまくいかず、ゆっくりと身体が崩壊していき、その内リッチと化してしまったのだ。
これが、先ほど退治した忘れられた者であり、アイレイドのエルフの成れの果てだった。
外にテレポートする入り口を作ることもできたが、エルフの身体の状態は移動するには弱くなりすぎていた。
その装置を使えば、身体は焼き尽くされて灰となってしまうだろう。
できるのは、ただその鮮やかな青い輝きを見ることのみであった……
「こんな感じかな? どう思う?」
「あなたがそう思うなら、あたしもそれでいいわ」
「なんだよ、君の意見は無いのか?」
「だってノクターナルとか知らないし。神の罰なんて怖くないもん。神の言葉を信じる愚か者にはなりたくないわ」
「えい、無神論者フィリニオンめ! デイドラはマジでやばいから! 実際に語りかけてくるんだぞ!」
「フィリニオンって、誰よそれ!」
「知らん……(。-`ω´-)」
さて、茶番劇はやってないで、これが先ほどのメモにも書かれていた外にテレポートする入り口らしい。
「ここを潜れば外に出られるらしいぞ」
「身体は焼き尽くされて灰となるって書いてなかったかしら?」
「リッチになるまで身体がボロボロになっていたらそうなのだろうが、俺たちはまだ健康体だ」
「それならあたしたちはここを潜って外に出られるの?」
「たぶんな、お先にどうぞ」
「あなたから行きなさいよ、レディーファーストよ」
「うんそうだね、だからお先にどうぞ」
また茶番劇を演じておる。
この場所はあまりにも陰気すぎるし、先ほどの水没した洞窟を引き返すのもめんどうだ。
俺は意を決して、その青白い光の門を潜った。
なぁに、同じような門で二度もオブリビオンに飛んだ俺だ。今回もきっと大丈夫さ。
行き先がオブリビオンだったらめんどくさいけどな……
………
……
…
門を潜り抜けた先は、水の中だった。結局水没かよ!
だが周囲は洞窟ではなく開けた場所になっていた。
だから俺は、上へ向かって泳ぎ始めた。
7つの海底都市でもあるまいし、普通なら上へ向かえば水面に出られるはずだ。
そしてそこは、アンヴィルの沖だった。
これにて水没した洞窟の探索はおしまい。
戦利品は、「神々の力」「禁じられた杖」「ありふれた指輪」の三つ。
まぁそれなりに収穫はあったかな。
タスラに戻るのはめんどくさいので、そのままアンヴィルへと戻り、元幽霊屋敷の自宅で朝まで休みましたとさ。
おしまい。
前の話へ/目次に戻る/次の話へ