海賊の秘宝 ~古代の遺物とは?~
さて、密売人の巣窟だったタスラだが、別に密売人の摘発に来たわけではない。
シーリアの依頼で、結果的に密売人のリーダー格を退治することになったが、それはもののついでである。
本当の目的は、リリィさんに聞いた海賊の秘宝である古代の遺物。
秘宝について尋ねようにも、酒場のマスターであるジョンヌは、密売人リーダーのサージと繋がっていたので始末済み。
手がかりになるものは、酒場の入り口脇のテーブルにある本か? タイトルは「消えた海賊の謎」となっているし……
ハンター・スタリオン号に魔法の遺物と確かに書いてある。
そして嵐の中、ハンター・スタリオン号は沈没したと。この辺りに沈没船ってあったかな?
他に探す宛てもなかったので、前回密売人を退治した洞窟を調べてみた。
ジョンヌを退治した地点で引き返したが、実は奥に通じる穴があったのだ。
洞窟は迷路のように入り組んでおり、いたるところで分かれ道になっていた。
「右と左に分かれている。どっちに行きたい?」
「右がいいわ」
「なんで?」
「ここでアクセル全開、ハンドルを右に! だから」
「意味が分からんが、誤植は無いのな」
「なぁに?」
「なんでもなかとですばい(。-`ω´-)」
その奥は小さなプールのようになっていた。
先に進む道は、このプールの中にある横穴ぐらいだった。
「あ、さっきの結婚指輪返してくれ」
「何? 婚約破棄? 嫌だわ!」
「いや、昔あげたのが本物で、それはシーリアの指輪だから」
そういうわけで、シーリアから頂いた「深海のかがり火」を緑娘テフラから取り戻す。
この指輪には明かりの効果が付いていて、松明を使えない水の中でも明かりを灯すことができるのだ。
深海のかがり火は便利で、水から出た後も松明の代わりに使うことができる。
なんかこのために用意された指輪な感じがぬぐえないが、この洞窟はやたらと暗いので十分に利用させてもらおう。
水の中にあった横穴を抜けて上陸した後、さらに続いている洞窟を進んでいくと――
なんか幽霊が襲い掛かってきた!
「むむむっ、こいつらは幽霊だから蹴りは効かんぞ!」
「いいもん、あたし魔剣持っているから」
「魔術師ギルド謹製のな」
そんなわけで、霊峰の指改で一気に串刺しにしてやる。
しかしこいつらは何の幽霊だろうか?
沈没した海賊船に乗っていた乗務員だろうか、それとも密売人達に殺された人々なのだろうか。
それとも秘宝を守っているのか……?
幽霊達の居た場所は、ちょっとした広間になっていた。
その広間の中央に、いかにもという箱が一つ。
「こ、この中に魔法の遺物が?!」
「8Gが入っていると思うわ」
「そんなわけはない、そりゃっ!」
「宝箱はなんとミミックでしたー」
「そんなことはない! ん? メモ?」
箱の中にはメモが一つだけ。またガセネタ秘宝か?!
一瞬自殺滝の件が脳裏に浮かんだが、あの時の情報源だった山賊のたわごとではなく、今回は魔術師ギルドのリリィさんだ。
まさかリリィさんがガセネタを持ってくるはずが――
そう思いながらメモを手に取って読んでみる。
内容は、やはり船に「古代の価値ある遺産」を積んでいると書いてあった。
そしてどうやら、その遺産は船の中に眠ったままになっているらしい。
消えた海賊の謎に載っていた船長、ウィリアム・デュバルの残したメモのようだ。
「ここには無いが、きっとどこかにあるはずだ」
「8Gがね、くすっ」
「そんなはずはないっ!」
緑娘は茶化すが、俺は絶対に秘宝はあると信じて洞窟を先へと進む。
そして、洞窟の先は海の中へと繋がっていたのだった。
そういえば海賊船は沈没したと書いてあったな。
すると、沈んだ船は海底にあるのが普通だ。ひょっとしたらこの先に――
あった!
これがハンター・スタリオン号に違いない!
俺はドキドキしながら沈没船へと近づく。ここまでは本やメモの内容と同じだ。今回はガセネタではない!
周囲には宝石が散らばっていた。宝は遺物だけではないようだ。
この国では宝石の価値はほとんど無いけれど、頂ける物は頂いておく。これ大事だからね。
っと、何だこいつは?!
いたる所に頭蓋骨を生やした魚? いや、魚なのか?
わけわからん奴だが、どうやら敵のようで襲い掛かってきた!
よし、霊峰の指で蹴散らして――
……水中では攻撃魔法が使えない(。-`ω´-)
ならばリリィさんにもらった魔力銃だ!
――弾が出ぬ!
どうやら水中で攻撃魔法の類はたとえ武器であっても発動しないようだ(。-`ω´-)
どんどん追い詰めてくるし!
緑娘どっか行ってしまったし!
やばいぞ!
Σ(`・ω・´)ピコーン!(思い出した)
俺もこれを持っていたんだ。
戦士ギルドのソードマンの怖さを見せ付けてやる!
魔術師ギルド謹製の魔剣だけどな!
そんなわけで、骨魚(?)を退治してから改めて海賊船を探索してみたのだが――
遺物らしき物は見当たらず……
え~、ここまで来てガセネタ??(´・ω・`)
それでも諦めずに、沈没船の周囲を探索することにした。
ひょっとしたら異物は転がり落ちたのか、流れていったのかもしれない。
しばらく周囲を泳ぎ回っていたら、少し前に沈んだボートのような物と、その中に箱がある。
秘宝はボートに乗せて運び去ろうとしたが、結局ボートも沈んだのか? ――って!
また骨魚が襲い掛かってきた!
水中での戦闘はめんどくさいんだよな!
というわけで、再び骨魚を退治してボートに近づく。あれ、緑娘おったんや。
「ほらみろ、ここに宝がある。俺の言ったとおりだろ?」
「ええ見つけたわ、8Gという宝をね」
いちいち8G8Gとうるさいやつだ。
じゃあこの中に何が入っていようと、緑娘の取り分は8Gということでいいのだな、と。
中にはなんと、兜が入っていた!
「どや! 兜をかぶっとる!」
「あまりかっこよくないわねぇ」
「なんだと? 神々の力を愚弄するのか?!」
「かっこわるいものはかっこわるいの」
「…………(。-`ω´-)」
しかしこの兜、腕力が100も上がるので荷物をより多く運べるのだ。
また、物理魔法それぞれの反射が95%もあるので、ほとんどダメージを食らわない優れた兜なのだ。
こうして俺たちは、海賊船と共に沈んだ古代の遺物、神々の力を手に入れたのだった。
「確かに込められた魔力はすごい。でもかっこ悪いからあたし使わない」
「いいよ、俺が使うから」
「ダメ、あなたの見た目もかっこ悪くなるから使っちゃダメ」
「では、どうしろというのだ?」
「秘宝として飾りましょうよ」
「う~む、まあいいか。それよりも疑問があるのだが?」
「なにかしら?」
「ここって海底だよな?」
「そうなるわね」
「なんで俺たち、水の中で会話できているんだ?」
「……知らないわよ!」
ふしぎなふしぎなことーば、て、て、て、て、て、て、て、て、てれぱしー
うちゅーのことばはてれぱしー、て、て、て、て、て、て、て、て、てれぱしー
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