復讐! 後編 ~密輸人の巣窟~
さて、タスラという静かな集落にて。
ここは一件穏やかな場所に見えるが、どうやら密売人のアジトになっているらしい。
シーリアというお婆さんの依頼で調査を始めたところ、岩石酒場のマスタージョンヌは、部屋にあった地下への入口から姿を消してしまったのだ。
この先は、密売人の巣窟か?
「む、山賊っぽいのが居るぞ」
「やっつけちゃう?」
「見つからないようにこっそりやろう」
「もしも山賊じゃなかったらどうするの?」
「よし、ちょっと話しかけてみてくれ」
「あたしが?」
「うん、危なくなったらすぐに助けてやる」
「しょうがないわね」
とりあえず緑娘テフラを囮にしてみることにした。
物陰から緑娘が何事も無かったかのように姿を現して、俺は闇に潜んでいる。
「ねぇお兄さぁん、ここはなぁに?」
「むっ、侵入者だな? まずい時に会ったようだな!」
山賊でしたとさ。
やっぱりジョンヌが怪しかったか。
密売人かどうかはともかく、山賊と繋がっているのなら危険な奴だということになる。
地下室にあったテーブルには、何枚かの手紙があり、どれもサージという者からのだった。サージ、リーターだっけ?
内容は、「アンヴィルの衛兵告げるやつを殺した」とか、「アンヴィルは密輸人と交渉するには酷い場所だ」とかだった。
うむ、密輸人確定、ここは密輸団のアジトだな。
というわけで、シーリアの願いをかなえてやることにする。アジトの敵を一掃だ。
地下室の奥は、洞窟へと繋がっていた。
ジョンヌはサージに会うために、毎晩洞窟の中に行くとシーリアは言っていた。その通りのようだな。
「暗すぎるわ」
「松明をつけたらこっちの居場所がばれるな」
「関係ないわ、片っ端からやっつけましょうよ」
「まぁ待て、ここはもっとスマートに進めよう」
そこで俺達は、リリィさんから頂いたナイトアイの指輪を身に付けてみた。
おお、これなら明かり無しで洞窟内部を見渡すことができるぞ。
「すごいだろう、魔術師ギルド」
「こんなのトリックよ」
「ではどんな仕掛けがあるのかな?」
「暗視の魔法を指輪に込めただけじゃないの」
「それはトリックではなく、マジックアイテムと言う(。-`ω´-)」
そんなわけで、暗闇に紛れて山賊共を蹴散らして回る。暗闇から霊峰の指改を放つのだ。
なんだか寝ている奴も居るけど、それは後回し。
まずは見張りから片付けよう。
「あ、暇なら寝ている奴ら片付けてもいいよ」
「ん、そうするわ」
俺は見張りを片付ける。
緑娘は寝ている奴を――、たぶん踏み刺し殺したんだろうなぁ(。-`ω´-)
喉元を体重かけて針の付いた踵で踏むだけの簡単な仕事。怖いねぇ。
一方俺は、一撃必殺の霊峰の指。
それを改良して、一点集中にしたから相手の身体を貫くのだ。
雷の束で刺し殺しているようなもの。なんだ、俺も怖いじゃないか……
そんでもって、こいつは緑色で高く売れる装備をしていたので剥ぎ取ろうとしたところ、サージの指輪というものを持っていた。
なんだ、いきなりリーダを退治してしまったのか。
シーリアは確か指輪を退治した証として持ち帰ってほしいと言っていたので、ついでに抜き取る。
しかしどうだこの価格差。
鎧が1800Gに対して、指輪は5G。
180日分の宿代と、宿代の半額。やっぱり追い剥ぎが一番儲かるという良い例となってしまったようだな。
エンチャ付きのブーツなど2500Gだ。戦士ギルドの仕事4つ分以上の価格だぜ。
そして暗闇の中、いつの間にかジョンヌも退治していたらしい。
高純度鋼のロングソードの安さの酷さ。やっぱり緑色の装備が一番か。
緑色は凄いねぇ、装備は高く売れるし娘は強くて美人だし、こほん……
テーブルの上にはジョンヌからたぶんサージ宛の手紙があり、「アルゴニアンがどうの」とか「検索している衛兵が居る」とか書いてある。
その衛兵が、シーリアの旦那さんだったのだろうなぁ。
敵が居なくなったところで、ナイトアイの指輪を外してみる。
なんだ、ここは明るかったのか。
サージとジョンヌの指輪を手に入れたので、後はシーリアの所へ戻るだけだ。
洞窟の中の山賊、というか密輸人達は一掃したのでもう大丈夫。
洞窟にあった出口から出ると、タスラにある岩石酒場の裏手に出たようだな。
近くには断崖もあり、これが酒場に居た人たちが言っていた断崖のことなのかな。
ということは、酒場に居た客も密輸人の一味なのか?
そういうわけで、二つの指輪をシーリアに見せると、満足したようでアンヴィルへと戻っていった。
手元に残ったのは、結婚指輪だったらしい「深海のかがり火」という指輪。
「これが結婚指輪だ。婚約指輪になるだろう、受け取ってくれるかな?」
「あなたからはもう貰ったわ、二つもくれるのかしら? 貰えるならいくらでも貰おうかしら。いいわ、毎月一個結婚指輪頂戴。あなたが思い出すまで」
「…………(。-`ω´-)」