開かれた秘境の扉 前編 ~目指せ、ペイルパス~
プルーマの魔術師ギルドを再建することになった。
立て直しはタイターという力自慢が受け持ってくれるらしく、現場監督のジ=スカール先輩と共に建て直ししてくれることになっている。
完成までにしばらくの日数を要するというわけで、その期間を利用して俺は再び直接会って話がしたいというブルーマの領主であるナリナ伯爵夫人に会いに行った。
どうも椅子に座っている相手と立って話をすると、なんか距離を感じるので跪く。
ついさっき話をしたばかりなのに、改めて挨拶されてしまった。なんか重要な話っぽい?
なんでもナリナ伯爵夫人は、アカヴィルの歴史的遺物をコレクションするのが趣味らしくて、唯一つを除いてはシロディールで最も完成されたものなのだとさ。
そこで最後の一つ、ドラコニアン・マッドストーンと呼ばれているドラコニアの狂石を入手できれば、コレクションが完成するらしい。
ドラコニアの狂石とはアカヴィル工芸の傑作で、身に着けていたらあらゆる毒を防ぐと言われているのだと。毒殺されなくてよくなるね。
それで、そのドラコニアの狂石が最後に確認されたのは、ペイルパスの遺跡だと分かったらしい。
なるほど、遺跡探検の依頼ですかな。ジ=スカール先輩は現場監督任せちゃったから一人で行くしかないが、アークメイジの部屋に居るよりははるかに開放的だ。
ペイルパスの歴史として、アカヴィル軍がタムリエル侵略の足がかりにした場所とかいろいろ聞いたけど、ひとまず割愛。
アカヴィル軍はヴィヴェック神がドゥルーの三つ又のモーウィンド。ぱるしのるしがこくーん、分かりにくい、省略。
「えーと、レーマン・シロディールとは誰ですか?」
「冗談でしょう? まさか第一紀における最大の英雄を知らない人が居るかしら?」
「……からかってみただけです。うん、すごい英雄でしたね。えっとね、帝国を建国した人ですねっ」
だめだ、過去の記憶どころか歴史すら忘却しておる。
ここは適当に答えて話をごまかして、さっさとドラコニアの狂石に出かけなければな。
えーと要するに、そのレーマン軍がペイルパスでアカヴィル軍を退けて、その本営でドラコニアの狂石が確認された最後の場所だと。
つまり、ペイルパスにある最後の砦を見つけ出したら良いってことかな。
その足がかりとして残されているのが、アカヴィル軍伝令の日誌と地図だ。この二つを利用すれば、遺跡にたどり着けるはずだというのだ。
その地図がこれである。具体的なのか抽象的なのかわからんが、三つの重要ポイントがあるみたいだね。
最初のポイントは、竜爪岩と呼ばれる場所。名前からして、竜の爪みたいなものがあるのだろうか?
竜爪岩はブルーマの街道をさらに北へ向かったところにあるらしい。というわけで、出発!
あ、こいつは相棒のユニコーン。
ハーシーンの依頼で狩りを命じられたことがあるが、なんか懐いてきたのでハーシーンの要求は拒否してそのまま一緒に旅を続けている。
たぶん雌だ。雄は処女しか乗せないはずだからな。逆に雌は童貞――(。-`ω´-)
しばらく北へ進むと、大きな岩が目に入ってきた。
確かに竜の爪のような形をしている。豹の口はよくわからなかったが、これは確かに名前が形をしっかりと表現している。
さて、伝令の日誌によれば、この巨岩から西へ向かう細い道を進んでいったというらしい。
つまり、あちらの方角か。
街道を逸れて、山道へと入っていく。
熊とか狼とか出てくるが、退治するシーンは割愛。霊峰の指をぶっぱなすだけだから、いつもと同じ光景なのである。
アークメイジになったのだから、新しい魔法を取得したいものなのだけどね。
そんなことを考えながら進むと、目の前に大きな彫像が現れた。
伝令の日誌や地図に描かれていた、センチネルという石像だ。確かに地図のとおりに進んでいる。
あれ?
なんか既視感が――?
俺は以前、この像を見た記憶がある。
あれは確か、シロディールに初めてやってきた時に見たのではなかったか?
伝令の日誌では、この像から北に向かったところでなんとやら、と書いてある。
俺の記憶が正しければ、ここから北へ向かった場所に、洞窟の入り口があるはずだ。
むむむ、間違いない。
以前俺はこの道を通って、シロディールにやってきたはずだ。
振り返って見る景色も、確かに記憶している。初めて見たシロディールの景色がこれだったんだ。
これはいったいどういうことなのだ?
ここに来て、旅のスタート地点へ帰れというのか?
だが俺は知っている。この先は、野蛮な人食い人種、オーガの住む僻地だということを――
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