アズラ ~ヴァンパイアの浄化~
ぽけ~っ
なんかじっと見つめられているが、俺はアズラの祭殿前で、ぼんやりと時間が過ぎるのを待っていた。
というのも、メルスというこの祭殿の司祭みたいなメルスの話では、確かにここがアズラの祭殿だが、夜明けか夕暮れにアズラの聖所を訪問しろと聞いたからだ。
そして、きらめく塵灰を捧げろ、と。
ジーンヌの言ったとおりにギルドから持ち出してきて正解だったな、きらめく塵灰。
そして夕暮れ前、アルゴニアンの信徒がお祈りを始めたので、俺もきらめく塵灰を捧げながら祈ってみることにする。
どうすればいいのだろうか? とりあえずきらめく塵灰を散布するかな?
すると、ナミラの時と同じように、頭の中へ神の声が響いてきた。やはりこの世界には、神が実在する……。
アズラの語った内容を要約すると、五人の信徒がヴァンパイアを退治したが、全員がヴァンパイアの病におかされてしまった。そこで、ヴァンパイアと化した五人の信徒ら死の安息を与えてくれ、だそうだ。
ヴァンパイアって、ブルーマで起きた事件の時に、レイニルが殺しを正当化するためにかつての仲間がヴァンパイアになったと嘘をついていたという話しがあったが、今回のは本気でヴァンパイアなのだろうか?
そういうわけで、アズラの言っていた「荒廃した鉱山」へと向かった。
夕暮れにアズラと話をしたので、そろそろ夜になろうとしている。
今回の相手は、本物のヴァンパイアかもしれない。しかも、襲われたらヴァンパイアの病におかされてこっちもヴァンパイアになってしまうかもしれない相手。
安全策で透明化して進むか、それとも――
鉱山の中は暗いが、何かが居る。
しかしよく考えたら、俺の知っているヴァンパイアならば、噛まれて血を吸われることでヴァンパイア化するはずだ。噛まれなければ大丈夫。
というわけで、透明化してこそこそせずに、出会い頭に霊峰の指をぶち込む作戦に出た。
霊峰の指を連発していれば、接近される前に片付けることができる。噛みつかせる隙も与えなければ、ヴァンパイアも怖くない。
途中、ロープを引いたら開く隠し通路みたいなところもあった。
その隠し部屋にもヴァンパイアは居たりする。
ガチガチの鎧を着込んだヴァンパイアも居る。なんかイメージと違うな……
黒いローブを着ていて、霧のようにスーッと現れて、逃げるときは蝙蝠に変身する。そんなイメージを抱いていたが、この世界のヴァンパイアは、戦士系の者も居るようだ。
一番奥に居た奴が、一番俺の知っているイメージに近いかな?
実際に血を吸われてみなければ、こいつらがヴァンパイアなのかどうかは分からない。が、分かったときには俺もヴァンパイア化している……。
確かめるすべは無いので、とりあえずアズラの命じるままに退治した、そう考えよう。
そのアズラは五人と言っていたので、襲い掛かってくる奴を五人退治したところで、祭殿へと戻ることにした。
ヴァンパイアを退治しに行ってヴァンパイアになる、ミイラ取りがミイラになるようなことにはなりたくないので、仕事が終わればさっさと撤退だ。
すっかり夜になっていたし、アズラの祭殿の前には大きな狼を、まるで生け贄のように捧げていた。
きらめく塵灰を捧げてもらったり、狼を捧げてもらったり、いろいろと求める神様だな。
それと、昼間は明るくて気がつかなかったが、まるでヴァンパイアと化した五人の信徒を弔うためか、五本の蝋燭が飾られていたりする。
アズラの話では、俺の活躍は「運命の書」に記載されるらしい。
ん、俺もこの世界でも歴史に名が残るようになるのか?
この神様から頂いた宝は「アズラの星」だ。
なんでも魂を集めることができるらしいのだが、魂を集めて何にするのだろうか?
魂を五十個集めたら、一機増えたりするのだろうかなぁ?
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