東への旅 ~森の中に佇むシェイディンハルの街~
アズラの願いを実行し、新しい宝を頂いた俺は、シェイディンハルを目指して東への旅を再開した。
夕暮れから夜にかけて、鉱山でヴァンパイア退治をしていたので、すでに深夜になっている。ランタンを無くしてしまったので、松明を使って進むことにした。
夜の雪山、あまり良いものではない。
またしても石碑を見つけたが、武器と鎧の召喚は要らないので何もせずに通り過ぎる。
他の効果があれば試してもよいのだが、武器は使い慣れていないからなぁ。ヴァルスにもらったチルレンドも、結局使っていないからね。
この辺りは、池が完全に凍りついている。
左の道は険しい雪山へと通じているので、ここは右へと進む。いずれは探検してみたいが、今はシェイディンハルへ向かうのが先決だ。
シェイディンハルへ行って何をするのか? なんだっけ?
ああそうだ、レイナルド・ジェメーンの偽者を捕まえるんだったな。
名声を高めて家を買うのが最終目的だ。
あれ? この国にこのまま永住するつもりか俺は?
これがハーレムでも築き上げてチヤホヤされたり、圧倒的な能力でこの世界の住民すべてをひれ伏せるとかなれば、気持ちが良くてこの国に留まりたくなるのも分かるが、この世界は割りと殺伐としている。
まああれだ。
いずれはこの国を去っていく身だとしても、今その時を充実させて生きていこうではないか。
美女と仲良くなれるにこしたことはないが、今までに出会った女性はブルーマ魔術師ギルドのジーンヌとセレーナというおばさん二人、コロールの怖い姉さんイラーナと、アルゴニアンのダー=マ。ダー=マは好意的だが、トカゲ顔はまだ慣れない……。
現実は厳しいものだ。ハーレムを築くなど、ファンタジーだから可能なんだ。
待てよ、骨だの幽霊だの出てくるこの世界もファンタジーじゃないのか?
などと考えながら、東南へと進んでいくと、徐々に空は明るみを増してきた。
明け方だ――。
結局徹夜で旅をしてきたよ。名声を得るのも楽ではないな。
ところでアズラの祭殿に居た人たちは、ずっと野宿をしているのかな?
つり橋の左手側は、綺麗な滝があった。
こういった川があったとき、その源流までたどってみるのも面白いんだよね。湧き水が出ているところとかに出くわすと、ここば全ての始まりか~、などと感銘にひたってしまったりする。
その反対側は、水車小屋。
ここはただの小屋で、シェイディンハルではないだろう。
いつの間にか周囲から雪は消えて、雰囲気が変わってきた。コロル地方とはまた違った雰囲気だ。
こういう場所を見ると、のんびりしたくなってくるが、今はとにかく街にたどり着いて一休みしたい。
ここでも滝を見ると源流へさかのぼってみたくなるが……
遠くに大きな街が森の中に佇んでいるのが見える。あれがシェイディンハルか? 森の中を通る一本の道、花咲く森の道で熊さんに出会ったらどないしょ。
そのまま街へ向かうと周囲は森の中へ。この雰囲気も割りと良いね。
しかし、雪山だったり温暖な森だったり、この世界は地域ごとに気候の差が激しいね。
森の中に続いている一本の道を進んでいく。
そして俺は、ようやくシェイディンハルの街へとたどり着いたのであった。
やばい、この雰囲気はコロルより好きかも……
前の話へ/目次に戻る/次の話へ