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イタズラ中編 ~どろぼうさん~

 
 さて、ブルーマ魔術師ギルドで過ごすことになった俺だが、どうせなら困っている人を助けてあげようということで、推薦状をギルドマスターのジーンヌに書いてもらうために、ジ=スカールという人を探すことになった。
 それでこのギルド内を回ってみたのだが、このギルドにはマスターのジーンヌと錬金術師のセレーナ、それと魔法屋のヴォウラナロの三人しか居ない。
 これにジ=スカールを加えても四人、ギルドにしては人数が少なすぎる、小規模すぎないですかねぇ?
 これだと魔術師ギルドじゃなくて、魔術師同好会と言った方がよいのではなかろうか?

 そう思いながら、マスターのジーンヌの部屋へと忍び込む。
 なぜ忍び込んだのかと言うと、ヴォウラナロにジ=スカールを探すのを手伝ってもらうなら、彼女の部屋から「魔術の手引き」を取ってきて欲しい、要するに盗み出して欲しいと頼まれたからだ。
 今更「魔術の手引き」を奪ってどうするのか? と思うかもしれないが、どうやらヴォウラナロはマスターのことを良く思っていないらしい。
 教本無しじゃ何もできない、無知な女のもとで働くなんて、納得がいかないんだとさ。
 ジーンヌは、今の地位を守るために、上の連中にへつらっているそうだが、それも組織で栄達する手段の一つだぞ?
 そういうわけで……、ああ、そういうわけで「イタズラ」なわけね。
 このギルド、ガキっぽくて面白いなw
 というわけで、俺もガキのイタズラに加担しているわけだが……

 ここがジーンヌの机か。
 本来なら開錠スペルを使って鍵を開けろ、というかヴォウラナロはそう言ってから開錠スペルを教えてあげると言ってきたのだが、金を取るとは思わなかった。
 金が無いので教えてもらうことはできず、俺も一応魔導師だが、こんなどろぼうさんチックな魔法は取得していない。
 
 少し考えたが、この世にはピッキングという言葉がある。
 ここに来るまでに通ってきた洞窟で殺された男から、細い針を取ってきていた。
 どうやらこの針は、ピッキングに使うための道具だったようで、その針を使って机をこじ開けることにした。

 そんなに複雑な錠じゃなかったようで、初めてやってみたのだが簡単にうまくいった。

 中には確かに「魔術の手引き」という本が入っている。
 本の内容が少し気になるので、読んでみようか。
 
 何々? タムリエルで最も強大な魔術師たち?
 えっと、シロディールはこの国の名前で、この世界はタムリエルという名前である、でいいのかな?
 たぶん俺も、このタムリエルのどこかに住んでいたはずだ。どこに住んでいたかは覚えてないけどね。
 本の内容を要約すれば、より高い次元の呪文を習得するには、魔術師ギルドの構成員となれ、ということだった。
 とくに重要な情報が書いているわけではなく……、いや、手引書か、そんなものか。それに本を読んでいて、なんとなくそんなものもあったような気もしてきた。良い傾向だ。
 しかしヴォウラナロも今更なぜこんな本が欲しいのか……って、ただのイタズラか、もうなんかどうでもよくなってきた。
 
 とんだ茶番劇だ。
 
 本を盗んできたことをヴォウラナロに伝えると、すぐに受け取り、午後十時にギルドの居住区で会おうと言ってきた。
「いい考えだろ? あの本をどこに置いたか探し回って、ジーンヌはどれ位の時間を無駄にするんだろうな。彼女なら数週間は突き止められないだろうよ!」
 などと楽しそうだが、中身を読んだ限りではそれほど重要な本とは思えない。
「楽しそうでなによりでした」
 思わず過去形で話しかけてしまったが、
「ああ、こんな風に楽しんでいるっていう訳さ」
 といった感じで、本気でイタズラをしているだけだから、何も言えなくなってしまう。
 いや、俺も子供の頃やったことあるよ、友達の教科書とか隠して困らせて遊んだことは。
 そんな遊びをここでは大の大人が楽しんでやっている。
 まぁ、殺伐とした世界よりは、こういったユーモアのある世界の方が好きだけどな。うん、悪くないね、タムリエル。
 最初に目覚めた場所は、野蛮な奴とか骨しか居なくて絶望したが、この国もなかなかどうして、楽しいではないか。

 そういうわけで、ギルドに加入した時にもらった本、「魔術師ギルド綱領」を読みながら、午後十時まで時間を潰すことにした。
 イタズラを仕掛けた側と、仕掛けられた側が何か雑談しているみたいだけど、気にしないでおこう。
 
 さて、この本にはギルド条例とか書いているね、何々?
 本ギルドの同輩に対する犯罪は極めて厳しい規律によって処遇される? いかなるギルドメンバーも、ギルドに対する犯罪を犯せばすぐさま停職処分となる?
 マジですか? 俺がさっきやった盗みは問題無いのですかね?
 えっと、志願者は、魔術の大区分に於ける熟練を提示しなければならない、また錬金術の実践的知識を提示しなければならない?
 魔術はいいけど、錬金術はあまりやってない、やばいな……
 あとは、魔術の系統について責任を負うギルド会館について書かれていた。
 変成魔法はチェイディンハル、召喚魔法はコロル、破壊魔法はスキングラッド、幻惑魔法はブラヴィル、神秘魔法はレーヤウィン、回復魔法はアンヴィル。
 この世界には六つの分野における魔法があること、またそれぞれの街の名前を知ることができたが……、思い出せない……。
 そしてここ、ブルーマは何なんですかね?
 ひょっとして魔術師ギルドの遊び場とかじゃないんでしょうかね?
 
 ギルドにしては人数が少なすぎること、やっていることがガキのイタズラな事を思い返して、ここは魔術師ギルドの名を借りた、何か別の物ではないのか?
 
 そんな不安を感じながら、午後十時を待ち続けていた。
 
 
 
 
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