不浄なる森にて ~英雄の手助け~

 
「結局人助けしてあげるのね、相変わらずあなたはお人よし」
「いいか、人を従えるには、人に信頼されなければならない。ここでパイクを助けてやれば、彼は俺を支持するだろう」
「あっ、そういうことなのね。さすがラムリーザだわぁ」
 
 元々家を買うために名声を高めるという行為をやってきた。
 今度は、支配者として相応しい器量を見せるために、俺は人助けをするのだ。
 人はそんな人間のことを、偽善者と呼ぶ……(。-`ω´-)
 
 
 
 ヘイルの村に住むパイクは、元シロディールの茨の騎士団であった。フラー!
 騎士の一員として、戦慄の島を調査し始めたのだが、腐れ林――不浄なる森に寄ったところ、グラマイトの待ち伏せに合ってしまったという。ちなみにグラマイトは、この世界でのゴブリンみたいな奴だ。
 そこで、騎士団の一員であることを示すメダルを盗まれてしまったというのだ。
 
 メダル? 俺はそんなもの貰ったっけ?
 記憶に無いなぁ……(。-`ω´-)
 
 まぁ要するに、そのメダルを取り戻してほしいというわけだ。
 しかしパイクは、戦いと政治には飽きてこの地に新たな安らぎを見出したそうな。
 そして同じ村に住むゾーイ・マリーン――絵を描いていた人――という理想の人と会ったから、もう茨の騎士団は関係ない。この地で平穏に暮らしたいのだと言うのだ。
 ただ、そのメダルはパイク自身の大事な過去の証、騎士団に戻るつもりはないが、過去をすべて忘れようという気にはなれないのだ、と。
 

 腐れ林――不浄なる森の場所はここだ。
 長樹キャンプ――キャンプ・トールツリーズまで引き返して、そこから進路を東に取った先にある小島の上か。
 
「夢見た全てが、この美しい地にある――か」
「どうしたの?」
「いや、パイクの気持ちがよくわかってな」
 
 

 不浄なる森へと向かう途中、旅の一団(?)に遭遇した。
 黄金の鎧に身を固めた二人と、プロレスラー?
 

 黄金の鎧はゴールデン・セイント、そしてプロレスラーは終末説きのイングヴァーであった。
 なんだろう、イングヴァーとそれの護衛かな?
 
 イングヴァーの話では、この世界は滅ぼされようとしているらしいのだ。俺が原因か?
 だが、その終わりを受け入れることで、安らぎを得られるのだと言う。
 なんかこいつから、ク=シャーラの予言者臭がするぞ? ボーダーウォッチのシャーマン然り、エルスウェアのコリントに居た予言者然り!
 終末を迎えるのか? 空から恐怖の大王――じゃなくて、燃える狼が降ってくるというのか?
 大丈夫、火星が平和に支配してくれるさ。知らんけど。
 
「ところで、イアリルがブライサールのおふざけにうんざりしているらしいぞ。なんとかしてやってくれ」
「誰やそいつら、知らんぞ」
「イアリルなら『イアリルの秘術』という魔法屋をやっている。彼に直接聞いてみるがいい」
「ん、よくわからんけど会ったら聞いてみる」
「それよりもだ!」
「ゲートキーパー禁止!」
「ぬぅ……」
 
 俺たちは、イングウァーと別れて先へと急いだ。
 もしも俺がこの世界を支配できたら、真っ先にゲートキーパーを退治したという噂話をすることを禁ずることとする……(。-`ω´-)
 
 
 
 不浄なる森にて――
 

 パイクに奇襲を仕掛けたであろうグラマイトが襲い掛かってきた。
 戦いは緑娘に任せて、俺はその不浄なる森とやらを観察する。
 ん~、ここも巨大キノコの木にできた洞ですかね?
 妙なトーテムがあるのは、ここがグラマイトの住処だということを示しているのかな。
 そう言えば同じような木の洞、ダイア・ウォレン洞穴ではナールやスケイロンが多く住み着いていて、グラマイトは居なかったかな?
 
 緑娘がグラマイト二体をあっさりと退治したので、早速不浄なる森へと侵入する。
 ん、洞の内部はダイア・ウォレン洞穴とそれほど変わらないね。
 

 扉のような膜があったりする。
 これも木でできているようなので、燃やして開けたらいいのかな?
 
「アロホモラ!」
「は? 何を言っておる?」
 

「開いたわよ」
「ん、ご苦労」
 
 なんだかよくわからんけど、道が開けたならそれでよしとしよう。
 
 

「わぁ、何だか綺麗!」
「既出だ」
 
 ここにも琥珀は豊富に存在していた。
 結構溜まるけど、折角だから琥珀コレクションしてやるか?
 
「琥珀ってどうやって出来上がるか知っているのかしら?」
「おけ一杯のナメクジが彼女の子宮となり、醜く臭きもののただ中に彼女の魂の種が横たわり、逆巻く水の上なる塩の床より無垢の再生はなされ、混沌の海から解放された時に出来上がるんだろ?」
「なにそれ意味わかんない!」
 
 俺も知らんわ。
 ただ既出の質問をしてくるから、適当に答えてやったのだ。フラー!
 
 

 グラマイトの休憩所らしき場所も発見。
 中央の盛り上がった部分の周囲を、二体のグラマイトがグルグル回っている。
 なんだろう、バターになるつもりかな?
 

「カブトガニみたいな盾を持っていたぞ」
「う~ん、ナルトみたいでカッコ悪い」
「ん、捨てよう」
 
 グラマイトの持つ盾は、このようにカブトガニみたいな形をしている。
 知っているか? カブトガニって生きた化石と呼ばれているのだぞ?
 ナルトは知らん。
 
 

 洞窟の最奥は、グラマイトの住処となっていた。
 数体のグラマイトがうろうろしている。ここのどこかに、パイクのメダルがあるに違いない。
 

 だからなぜわざわざ弓矢で戦うのだろうか?
 
「蹴れよ」
「相手が弓なら、あたしも弓で戦うわ」
「ならば相手が尻で攻撃して来たらどうすんだよ?」
「突いてやるわ」
「どうやって?」
 
 ――変な想像したらアカンからな!
 いつか弓の弦を、そのでっかい胸に当ててしまえばいいんだ。
 そんで痛い目に会えば、二度と弓で遊ぼうなどと思わぬだろう。
 
 

 グラマイトを退治しつつ、パイクのメダルを探して回ること十数分。
 奥の広間中央にある居住区にあった箱の中に、それを見つけたのであった。
 パイクのメダルは、持っているだけで話術が少し上がると言う逸品だ。恐らく茨の騎士団の一員である証拠を掲げることで、相手がそれなりの敬意を持って接してくれるのだろう。
 

「なっ? 俺ってすごいだろう。どうだこれ、かっこいいだろう?」
「アイアンマンの胸みたい」
「なんやそれ?」
 
 どうやら元々俺に対する好感度がMAX振り切っている緑娘に対しては、話術が多少上がったところで何の効果もありませんでしたとさ。フラー!
 
 

 後は、グラマイトの一体が「狂気のグリーヴの鋳型」なる変わったものを所持していたりする。
 なにやら魔力を帯びているようだが、何に使うものかわからない。
 とりあえず持ち運んで、誰か知っている人が居ないか尋ねてまわることにしよう。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 

「ぬ、ちょっと失礼だが、君から沼の悪臭がするぞ。まさか腐れ林に行ったのか?!」
「ほらっ、メダルを持ち帰ってやったぞ」
「おおっ、何と感謝したらよいのか! さすが――」
 
 パイクがゲートキーパーと言いだしそうになったので、メダルを持った手を後ろに引いて渡さないようにする。
 
「――茨の騎士団長と共に戦い、オブリビオンゲートを閉じた者!」
「よし、メダルはくれてやろう」
「ありがとう。私は戦慄の島に留まるので、何かあったら声を掛けてくれ。君のためならいつでも力になってあげるさ!」
「それなら、最後に騎士団長のまねごとをしてみろ」
「騎士団長、ファーウィル殿か……そうだな、この盾は私にはもう必要ないから、報酬として君にあげるぞ! フラー!」
「盾なんか使わんぞ! フラー!」
「そう言わずに受け取ってくれ! フラー!」
 
 まあそんなわけで、パイクだけでなく、マリーンも喜んでくれたとさ。
 あんな幸せそうな彼を見たのは初めてだと言う。
 ん、とびっきりの笑顔の似顔絵を描いてやるがよかろう。
 もっともオレイン並みの腕だったら、怒ってようが笑ってようが、同じような絵になるだろうけどな! フラー!
 
 
 

「というわけで、これが報酬の茨の盾だ。どうだ?」
「ワラジムシの背中みたい」
「…………(。-`ω´-)」
 
 やっぱ要らんわこんな盾! フラー!
 
 
 
 




 
 
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Posted by ラムリーザ