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破られた誓約 ~格闘技の達人を始末せよ~

 
 スキングラード、城中庭の井戸にて――
 

 クヴァッチを再建するときに世話になったアーナンドの視線が気になるが、井戸水を飲む振りをして報酬と指令書を戴く。
 アーナンドも、俺がアークメイジのラムリーザだということに気がついていないようだ。
 そう、俺の名前はレイジィ・マー、闇の一党に従う暗殺者だ。
 表向きにはアークメイジ、裏の顔は闇の一党。もう一つ、裏の顔の闇の一党に対して、表の顔は復讐者だ。
 

 さて、三番目の指令はこんな内容だ。
 標的は、ブルーマに住んでいるというジ=ガスタというカジート。ジ=スカール先輩の親戚かな?
 そして依頼主は、高名なシロディール貴族の家族。
 結婚の持参金が少ないから結婚を断わったジ=ガスタ。セコい奴だ。
 結婚を断わられたから、その報復として暗殺を依頼する貴族。くだらないプライドだ。
 そしてこんなしょうもない連中に肩入れする闇の一党。存在価値など見い出せない集団だ。
 所詮カジート……と言えば偏見になるからやめておくが、エルスウェアならともかく、シロディールで貴族のカジートって居るのだろうか?
 オークの貴族はシェイディンハルの北に住んでいるが、カジートの貴族など聞いたことが無い。
 恐らくシロディールで一番出世しているカジートは、ジ=スカール先輩ではなかろうか?
 
 そんなことを考えながら、俺はブルーマへと向かっていた。
 
 
 

 壁飾りを落下させて事故死を演出して以来のブルーマ。
 誰だかわからない像を奉っているが、ブルーマの創始者なのかな?
 エイドラの誰かだとは思うが……
 

 というわけで、仕事開始である。
 ジ=ガスタの家は、町に入って南へ向かう通路を進めば数軒目に存在した。
 裏口が無いか確認したが見当たらないので、衛兵に見つからないようこっそりと入り込む。
 夜まで待って、寝込みを襲う方が楽なのだが、少し勇み足。
 幸い衛兵は、施設の多い町の北側は念入りに巡回しているが、南側の簡素な住宅街は定期的に回ってくるだけで隙が多い。
 

 ちなみに鍵のかかった扉は、不壊のピックを持つ俺には無いようなものだ。
 そんなわけで、たやすく侵入したわけだが、一階にはジ=ガスタの姿は無かった。
 地下室もあるようなので下りてみたが、その地下室にも居なかった。
 外出中かな? しばらくここで待ってみるか。
 
 …………
 
 なんだか家の中のどこか奥から、何かを叩いているようなドスッドスッという音が微かにする。
 よく聞くと、その音は下の方から聞こえているような気がする。
 ひょっとしてどこかに地下二階が隠されているのだろうか?
 

 地下室の扉は、数枚の布切れで隠されていた。
 ジ=ガスタは地下に隠れて何をしているのだろうか?
 だが指令書には、彼のことを格闘技の達人と書いてあった。
 どっちみち俺の敵ではないが、とりあえず用心しておくに越したことはない。
 

 隠されていた地下室にはサンドバッグが吊るしてあり、それを一人のカジートが蹴ったり殴ったりしていた。
 奴がジ=ガスタだな、地下に篭って訓練しているのか。
 
「むっ、誰だ? お前を家に呼んだ覚えはねぇぜ!」
 

 勘の鋭いやつだ。
 奴は俺の存在に気がついてこっちに向かって来ようとしたが、それを制して霊峰の指改を放ってやった。
 どんなタフな奴でも、この先制攻撃を食らえば戦闘力はガタ落ちしてしまう。
 ジ=ガスタは重傷を負いながらも向かってきたが、こっちも格闘技の心得はある。手負いのカジートをやつけることなど朝飯前だ。
 あたたたたたっ、ほあたーっ! といった具合に、目には目、歯には歯、格闘技には格闘技で片付けてやった。
 

 こうしてジ=ガスタは、デリート完了した。
 こんな荒っぽい奴など、結婚が破談になったところで返ってよかったのではないだろうか?
 しかし、戦士ギルドのメンバーに加わってくれたら良い戦力になってくれただろうに、その意味では惜しい奴でもある。
 もっとも、緑娘の居なくなった戦士ギルドには、もはや用はないけどな……
 
 
 ただこの家では、一つ気になる事があった。
 

 ジ=ガスタを探している間、何気なく開いてみた大きな樽の中に、闇の一党の幹部が着るようなローブと、闇の一党五教義が隠されていたのだ。
 なぜこいつが、こんなものを隠し持っているのだ?
 
 これはあれだろうな。
 
 たぶん以前から俺以外にも、こいつを始末するよう闇の一党は何度も刺客を送り込んだに違いない。
 しかし格闘技の達人相手には末端構成員ではどうにもならず、ついには幹部も重い腰を上げた。
 しかししかし、その幹部すら返り討ちにあってしまったわけだ。相当な格闘技の達人だったのだろう。
 そしてこのローブと教典は、戦利品としてジ=ガスタは嬉しげに保管していたのだろう。
 このように失敗が続き、どうしようもなくなったので、最終的に俺に依頼が回ってきたということだ。
 
 出世の道は開かれているな。
 しかし、考察タイムも一人でやると寂しいものだ。
 緑娘とまた考察しあいたかったな……
 緑娘は、こいつが闇の一党に纏わるアイテムを持っていたことを、どう考察してくれただろうか……
 どこかで拾っただけ、と言うかな? 実はこいつの正体が闇の一党の幹部だった、とか言うかな?
 
 

 そういうわけで、ジ=ガスタが得た戦利品を、今度は俺が戦利品として頂くことにした。
 立場的にはどうか知らんが、実力的には幹部を名乗っても誰も文句を言わないはずだ。
 それに、鎧とか硬くてあまり好きではない。ローブの方が落ち着けるというものだ。魔導師だからかな。
 
 
 こうして俺は、さらに暗黒面へと堕ちていくのであった。
 暗黒面のパワーは素晴らしいものなのだろうか?
 
 
 
 
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