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マティウス隊長からの手紙 ~クヴァッチの英雄殿へ~

 
 王者のアミュレットを奪還するには、デイゴンを祀る秘密の祭壇を探さなければならない。
 その秘密の場所は、深遠の暁経典に記されているというが、難解なパズルを解く必要がある感じになっていて、現在魔術師大学の書庫担当ター=ミーナに調べてもらっている。
 彼女は「また明日出直してきて」と言ったものだが――
 

「新しい朝が来たぞ、希望の朝だ」
「喜びに胸を開いて、青空を仰ぐのかしら?」
「どうする? 今日も羊か?」
「んーん、今日はあなたについていくわ」
 
 というわけで翌日、俺は緑娘と共にター=ミーナの元へと向かった。
 

「どうですか? 何かわかりましたか?」
「そうね、どうやら各段落の最初の文字が重要みたいなの。そこにメッセージが隠されていると思うの」
「縦読みですかね?」
「そうかもしれない。引き続き調べてみるから、気が向いたらまた明日来て。何か新しい発見があるかもしれない」
「もう一日待つのか」
 
 最初の文字が重要ね、さっきのター=ミーナとの会話を例に挙げると、「どそたそも」となる。意味はない。
 
「さっきあなたが言ってた縦読みって何かしら?」
 
 書庫を出たところで、緑娘が尋ねてくる。
 すぐに作れといっても難しいが、俺は即興で作ってみたりした。
 
「例えばだ、以下の文章がそうだったりする」
 
 みんなちからをあわせてがんばろう。
 どんなてきにもひるまずぶつかるんだ。
 りゆうなんてひつようない、あくがあればたたく。
 むりだとあきらめたら、そこでしあいしゅうりょうですよ。
 すばらしいちからは、しんじあうこころ。
 めちゃくちゃしんじあえば、ちからはうまれる。
 はじめはふあんにおもうかもしれない。
 ちからはなかなかうまれない。
 じかんがかかるもの。
 よろしくおねがいします。
 
「ま、ざっとこんなところだ」
「意味わかんない」
「わからなくて結構」
 
 悪いのは、扇情的な着物を着ている緑娘なのだからな……(。-`ω´-)
 
 
「クヴァッチの英雄殿、ここに居たか! 探すのに苦労したぞ!」
「なにごとじゃあ! 俺は逃げも隠れもせん! ってかクヴァッチの英雄言うな、アークメイジ様と呼べ!」
 
 大学中央にある塔に戻ってきたとき、突然何者かに声をかけられた。
 

「誰だお前は?」
「うぃーっす、どうもイグナーです。クヴァッチの伝令をやっている」
「その伝令とやらが、俺に何の用だ?」
「マティウス隊長から、あんた宛の手紙を預かっている。できる限り早く会いに来て欲しいとのことらしい」
「またオブリビオン・ゲートでも開いたか?」
「詳しくは手紙を読んでくれ。よろしく頼むぞ、クヴァッチの英雄! じゃあまたのぉーい、やっ!」
 
 そう言うと伝令のイグナーは、ものすごいスピードで走り去ってしまった。
 伝令も大変だな。
 どこぞのギルドの伝令は、のそのそと歩いて用事を伝えに来るから困る。
 

 そしてそのマティウス隊長からの手紙がこれだ。
 どうやら再びゲートが開いたのではなく、クヴァッチの街を再建するから手伝って欲しいとのことだった。
 あて先が「クヴァッチの英雄殿へ」になっとる。
 本職はアークメイジなのだがな。
 
「どうやら再びクヴァッチへ行く必要があるらしい」
「そう? それじゃあ行きましょうよ」
「妙にあっさりと決めるんだな」
「だってこの大学の人、堅物ばかりでつまんないんだもん」
「ジ=スカール先輩は?」
「ずっとお茶飲んでる」
 
 そんなわけで、再びクヴァッチへ向かうこととなった。
 ター=ミーナの解読にもまだ時間がかかりそうだし、ここはマティウス隊長の期待に応えてあげますかな。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 むっ――
 

 スキングラードとクヴァッチの中間あたりに、またオブリビオン・ゲートが開いている。
 王者のアミュレットが盗まれたことによって結界が弱まり、至る所にゲートを作ってデイドラは侵攻しているのだ。
 どうも俺一人の力では、全てのゲートに対処できない気がする。
 今回の依頼が終わったら、リリィさんを訪ねて対策でも考えてもらおう。
 
 

 クヴァッチ再び。
 門の前はまだ荒れたままで、復興が始まったのかどうかはわからない。
 瓦礫と枯れ木の撤去が先だな。瓦礫と枯れ木、似ていると思わないかい?
 

「こんにちは! 鍵担当と、ゲート担当!」
「ベリヒとイレンドな。マティウス隊長なら、城門前のテントに居るぞ」
「はいよん」
 
 城門前は、デイドラの侵攻でほぼ壊滅状態になっていた。
 それを少しずつ瓦礫を取り除いたりして、再建しているのだろうな。
 
 

 教会をぐるりと回って城の方へと向かうと、そこにテント街ができていた。
 どうやら難民キャンプに避難していた人たちは、ここに戻ってきているようだ。
 
「おお、クヴァッチの英雄が戻ってきたぞ!」
「ゲートを閉じてくれた方だ、万歳!」
「あの節はありがとう、そしてありがとう!」
 
 なんか俺はこの街では英雄になってしまったようだ。
 クヴァッチの英雄、そのまんまだな。
 
「こほん――(。-`ω´-)」
「おおっ、クヴァッチの英雄が咳払いをなさった!」
「今度はどんなありがたい言葉でも投げかけてくれるのだろうかっ?!」
「わくわく、わくわく」
「わっふるわっふる」
 
 アホだろうこいつら……(。-`ω´-)
 
 だが、住民のギルバートの話によると、このクヴァッチには帝都以外で唯一アリーナのある街だったらしい。
 もしもアリーナまで再建できたら、帝都のグランド・チャンピオンと二冠決定戦をやろうなどと言っている。
 帝国プロレスと、クヴァッチプロレスか。いや、プロレス違う。
 

 そして、俺を待っていたマティウス隊長だ。
 
「おお、来てくれたか。クヴァッ――」
「こほん(。-`ω´-)」
「アークメイジよ。手紙に書いたとおり、都市の再建を開始しようと考えているのだ」
「俺を呼びつけたということは、どうにも手に負えないことが起きたのだろうな」
「よくわかったな。スキングラードの伯爵と謁見して、作業員を派遣するよう依頼して欲しいのだ。君は確か、伯爵と知り合いだそうで」
「伯爵の正体は知ってますか?」
 
 俺は、念のために尋ねてみた。
 彼は知っているのだろうか、ハシルドア伯爵が吸血鬼だということに。

「変わったお方だが、ハシルドア伯爵だ!」
「いやそれ正体じゃなく本名。まあいいか、手伝ってあげるよ」
「なるべく早く、人員を連れ帰ってほしいのだ。よろしく頼む」
「ベリヒやイレンドには頼まんの?」
「彼らは瓦礫撤去要員なのだ」
「ん、わかった」
 
 俺に丸投げなのかどうかわからんが、こっちも少し時間を持て余しているのだ。
 これがブルーマ近郊なら再びタイターを派遣するのだが、ちょっとここまでは距離がある。
 
 それではスキングラードに向かうか。あのグラアシアが住んでいた、パラノイアの街へ――
 違う。ハシルドア伯爵が治める、ヴァンパイアの街へ――
 
 
 
 
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