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コロールの推薦状 ~アリーレさんに襲い掛かる緑娘~

 
「アリーレって人はどの人?」
 
 コロールに到着して、魔術師ギルドに入るやいなや、緑娘ソニアは再び険しい顔つきで俺をにらみつけてきた。
 水辺で落ち着かせたこと、まったく意味なし。

「あそこで会話している緑色のローブを着た人だよ」
 
 ソニアは俺の言葉を聞くと、返事もせずにツカツカとアリーレさんへと向かっていく。
 アリーレさんと会話していたおじさんを押しのけて、頼むから面倒事は起こすなよ。暴力沙汰は良くて牢屋入り、悪ければその場で斬られるぞ、衛兵に。
 
「あなたがアリーレっていうのかしら?」
「そうですが、どなたですか?」

 うーむ、嫉妬か? 焼餅か? どちらにせよ注意しておかなければ。緑娘は無駄に戦闘能力は高いからな。
 というわけで、すぐにでも仲裁に入れるように、俺は傍へ近寄りギルドマスターへ挨拶しておく。
 

「お久しぶりです、ティーキウスさん――でしたよね?」
「おお君はあの時の準会員。マニマルコの脅威を取り払ってアークメイジとなられたとか、おめでとう」
「あなた、アンヴィルって街でラムリーザと過ごしていたって聞いたけど、どんな関係だったのかしら?」
「ラムリーザ? ああ、アークメイジになられたあの時の準会員ですか? アンヴィルの幽霊屋敷を協力して浄化しましたよ」
「そこでですね、今日はちょっと連れを――婚約者らしいけど連れてきたので、その娘にも大学への推薦状を出してもらえればと思って来たわけです」
「推薦状ですか。それならちょっと困ったことが起きているので、それを解決してくれれば出してあげることにしましょう」
「一緒に寝たとかしてないよね? もし寝ていたりしたらただじゃおかないから!」
「うふふ、安心して。彼とは何もないわ。可愛い坊やだとは思っていたけどね」
「任せてください。いや、きっとその娘に達成させますから。で、困ったこととは何でしょうか?」
「実は君に取ってきてもらった『フィンガー・オブ・ザ・マウンテン』の書を何者かに盗まれてしまって。それを探し出して取り戻してもらいたいわけです」
「もし嘘だったときは、覚悟しときなさいよ!」
「くすっ、恐ろしい娘」
「し、しまった! ――あいや、なんでもなかとですばい。必ず取り戻して見せます」
「ん? ああ、よろしく頼むよ」
 
 会話が交錯してぐだぐだになってしまって申し訳ない。
 俺はマスターのティーキウスさんと話をしているのだが、すぐ傍で緑娘がすごい剣幕でアリーレさんと話をしているからな。

 それにしても緑娘、あまり意識して見たこと無かったけど、ずいぶんと大柄だな。
 あの特殊な形の靴で踵が高くなっているためか、それともアリーレさんが小柄なだけなのか……
 ここらでアリーレさんにも助け舟を出しておこう。
 

「アリーレさん、お久しぶりです! 元気してましたか? ――ってソニアが言ってましたよ」
 
 しまった、疑問系会話にならないように意識して、妙な言葉を付け加えてしまった。
 
「あらあらラムリーザ、ずいぶんでしたね。マニマルコを退治してくれたことは聞いてますよ。今ここに居るってことは、無事だったということですね? ――ってソニアが言ってましたよ」
 
 いや、わざわざ乗ってこなくていいから、というか今緑娘の名前を出すのはまずい……(。-`ω´-)
 
「あたしそんなこと言ってないわ! なによラムリーザ、デレデレしちゃって!」
 
 いや、俺デレデレしているか? むしろあたふたしているんだが。
 
「すみません、ソニアが迷惑を――、いや、う~む(。-`ω´-)」
「いえいえ、元気なお嬢ちゃんですね。あなたとはどういった関係が?」
「えっと、婚約者ということになっているみたいです」
「あらあら、それは大事にしてあげなくちゃね」
「うん、そういうことだから、ソニアもアリーレさんと仲良くしてくれよ」
「ふんっ」
 
 誤解は解けたのかどうかはわからんが、とりあえず俺の身の潔白は証明できたのか?
 いまいち自信が無いけど、殺傷沙汰にならなくて済んでよかったよかった。
 
 さて、気を取り直して推薦状の話だが、その前にコロールで家を買っておくために城へと向かった。
 城でこの街の領主であるヴァルガ伯爵夫人に頼んで、アーバーウォッチという屋敷を頂けることになった。

 名声は十分響き渡っておる。
 この街にアークメイジの屋敷がある、というだけでも十分な宣伝材料になるということだろう。
 もっとも、最終的には全ての街にあることになるのだが……
 

 というわけで、ここがコロールでの俺の家、アーバーウォッチだ。
 魔術師ギルドのお隣さん、街の広場にも面しているし明るくてよい立地条件かもしれない。
 
 さて、自室に篭ってコロールのギルドでの推薦状について考える。
 ティーキウスさんは霊峰の指にまつわる本が盗まれたと言っているが、盗んだのは俺なのだ。
 本はギルドに一度は納めたものの、イラーナから技術を得るために盗み出して彼女に与えたのだった。
 その結果、俺は霊峰の指という強力な魔術を手に入れたわけだが、その後イラーナから本を盗み返して、それっきりにしてしまっていた。
 要するに、犯人は俺なわけだ。
 
「この町の魔術師ギルドから推薦状を書いてもらうために、とある本を探してこなければならなくなったんだ」
「ふーん、本探しね。簡単そうだからやっちゃいましょう」
「うん、すごく簡単なんだ。実は本はここにある」
 
 俺はそう言って、所持していた霊峰の指にまつわる本を、緑娘ソニアに手渡した。
 
「これを届ければ良いだけなの?」
「そうなんだ。だがしかし君にお願いがある」
「何かしら?」
「届けるのは明日にするが、一晩かけてものすごく苦労して手に入れたということにして報告してくれ」
「なんだかよくわかんないけど、そうするわ」
 
 うむ、これでよい。
 本を盗んだ犯人がアークメイジだった、となればスキャンダルもよいところだ。

 緑娘ソニアは、本の内容が気になったようで、先ほどからずっと読んでいる。
 そりゃあまぁ、ものすごく痛い目に会った魔法について書かれているからな。すごく気になるんだろう。
 何しろ俺がこの国で取得した魔法だ。ソニアにとって馴染みのある魔法ではない。
 
「ふーん。ウェルキンド・ストーンというものを用意して、雲天という場所で電撃魔法を使えば取得できるみたいね」
「本の内容がわかるのか、すごいな……(。-`ω´-)」
 
 たしかこの娘は、俺がアークメイジになれるような国はたいした事ないとかつぶやいていたような気がする。
 本気で世界征服を狙えるだけの実力があるのかもしれないぞ?
 俺はとんでもない婚約者を持っているんだな!
 
 ………
 ……
 …
 
 翌日、ころあいを見計らって魔術師ギルドへと出頭する。
 後は緑娘の演技次第。うまくごまかしてくれよ。
 
「マスターティルキンスさぁん!」
「ティーキウス」

 またくねくねと妙なポーズをとっておる。なぜこの娘は魔術師ギルドのお偉いさんの前では、色気ポーズを取るのだ?
 魔術師ギルドは堅物、だからわざと軟派な態度を取るとでも言うのか? 厄介な奴! しかもマスターの名前を間違えているし!
 
「ティーキウスさぁん、非常に苦労して本を取り戻してきたわよ!」
「おお、それはよくやってくれた。ふむ、確かにこれはフィンガー・オブ・ザ・マウンテン」

「その本を取り戻すために、あたしは昨夜一睡もせずにニライカナイを走り回ったのよ」
「ニライカナイ?」
「そこで吸血鬼リリスと呪いの人形ユコバックが待ち構えていて、あたしはやばいと思ったけどその二人をやっつけたの」
「…………」
「そしたらそいつらが、この本を持っていたのよ! どう? ものすごく困難な敵から奪い取ってきたのだから評価して」
「わかった、約束どおり推薦状を出してあげよう」
 
 なんだか謎の単語が飛び出しまくって、ティーキウスさんも困惑していたが、無事に俺の責任ではない状態で本がギルドに戻ってきたことになった。
 一応めでたしめでたしということでよいだろう。
 
 

 それと、コロールにある戦士ギルドの本部へ立ち寄って、ヴィレナ・ドントンに会っておいた。
 彼女も今はここでは仕事は無いと言う。やはりアンヴィルに向かわないと、先には進めないようだな、と。
 
 
 
 
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