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ブルーマギルド再建完了 ~記憶の断片~
- 公開日:2018年12月18日
さて、ただの移動にいろいろあったなぁと思いながらもようやくブルーマ魔術師ギルドへと到着。
「たのもう!」と景気良く、場違いな挨拶をしつつギルド内へと入り込む。
「むっ、先輩、やっぱりギルドマスターになることにしたのですか?」
「いや、ジ=スカールはサブマスターに任命されてしまった。マスターのジュラーエルは現在食事中」
「そっか、サブマスターか。もうイタズラはできないな」
「そこが残念だが、ジ=スカールは諦めていない」
「諦めろよ……(。-`ω´-)」
「ところでそっちの娘は一体何だったんだ?」
「ん、婚約者――ということになっているみたい」
「なるほど……」
なんか先輩は含むような視線を向けてきたが、とりあえずいろいろと見て回ってみた。
錬金術師のルティエンさんは、可愛らしいエルフのお姉さんだ。
元マスターのジーンヌとは、大学時代からの知り合いだということは、若作りしているが結構おばさんか……(。-`ω´-)
いや、エルフだから若く見えるのか、まあいいや。
あんまり見つめていると、隣からの視線が痛いので、次の人に会いに行く。
ギョッ! オークの魔術師だ!
オークの魔術師を見たことがないのか? と聞かれたので、正直初めてだと答えてやった。
彼はレックグロという名前らしい。うん、レックグロ卿!
どえもオークを見ると、卿付けで呼びたくなるのはマゾーガ卿の影響か?
なにやら瞬間移動術師だそうで、魔術師ギルド限定で瞬間移動させてくれるらしい。便利だと思うが、片道移動だけなのだろうなぁ。
他に、スペルメーカーのジュリアや、エンチャンターの、誰だっけが居たけど、全員が全員、俺を見て「アークメイジ様ごきげんよう」と言う。俺の顔もずいぶんと知れ渡ったものだなぁ。
「こんにちは、我が友よ」
食堂で会ったジュラーエルは、俺のことを我が友と呼んでくれる。そこまで大したことはやっていないんだけどね!
彼は新しい助手達が気に入っているようだ。自分のことを憎まないといいのだが、と心配しているが、ジ=スカールをサブマスターにするという人事の妙をやってのける人だ。きっと大丈夫だと思うよ。
元々ジ=スカールは、何かと上にごまをするジーンヌが気に入らなくてイタズラをしていたのだ。そんな彼をサブマスターにすることで、不満を解消すると同時にイタズラの大義名分を奪う。やるねぇ。
さて、他に誰も居ない地下の物置。
少し休んで……と思っていたら、幼馴染で婚約者の娘が誘いをかけてきたりする。
「ねぇ、アークメイジ様」
「な、なんだ突然」
「あなたってホント、このギルドだと有名人なのね」
「そりゃあアークメイジだからな。ところで聞くのをすっかり忘れていたんだけど、君の名は?」
「あたしの名前は……、やっぱりやめた。あなた知っているはずだから思い出してくれるまで名乗らない。今更自己紹介するの、なんだか悲しい」
「まいったな、それじゃあ何と呼べばいい?」
「やっぱり思い出せないの? じゃあ名前をつけてみて」
「う~ん、それじゃあ……、ソフィア?」
俺がその名前を挙げると、一瞬彼女はハッと目を向けたが、すぐに口をへの字に曲げて否定してきた。
「その名前はダメ」
「そうか? う~ん、直感で閃いた名前なんだけどな」
「本当に記憶喪失なのね、その名前はあなたの――」
「俺の何?」
「なんでもな~い」
そう言うと彼女は、ぷいと顔を背けてしまった。
だがすぐにこちらへ向き直ると、「ねぇ、こっちに来てよ」などと言ってくる。
たまにはこんなロマンスもいいだろう。なにしろ昔の俺は、ロマンチストだったみたいだからな。
「じゃあソフィリータとかはどう?」
「……はぁ。家族の名前だけは深層心理に残っているのね?」
「家族?」
「なんでもな~い」
この娘の名前はいったい何なのか?
俺は思い出そうとして、さらに娘の方へと顔を近づけて眺めてみた。彼女の吐息が顔にかかる。この感触は――
その時、突然俺を強烈な頭痛が襲い掛かった!
「ぐおおっ、頭が割れそうだ!」
俺は娘を投げ出すと、その場で頭を抱えてのたうちまわる。
「なっ、なに? どうしたのっ? いったい何が?!」
娘も突然の出来事に慌てふためくだけだ。
何だ? 過去の記憶にプロテクトがかかっているのか? それとも記憶が戻る兆候か……?
………
……
…
薄れ行く意識の中、頭の中に何らかのイメージが浮かび上がった――
どこだかわからない……、しかし懐かしい気がする景色――
ここはいったいどこなんだろう?
…
……
………
「ちょっとラムリーザ、どうしちゃったの?」
「む、これはいかん。ラムリーザは意識を失ってしまっている」
「ちょっと何? ジなんとか先輩、いつの間にそこに居たの?!」
「ラムリーザと君の動向が気になって、透明化して後をつけていた。それと、ジ=ナントカではない、ジ=スカールだ」
「覗き?! 趣味悪い先輩ね! 誰か呼んできてよ!」
「ほいきた」
なんか傍で誰かが騒いでいる。
意識が戻った時、俺はうつぶせに倒れていて、部屋から出て行くジ=スカール先輩の後姿が見えたところだった。
………
……
…
「アークメイジ、我が友よ。いったい何が起きたのだね?」
「ん、あ、いや何かトラブったみたい。でももう大丈夫、たぶん」
「疲れているのかもしれない、今日はゆっくりと休みたまえ」
「うん、そうする」
ギルドに泊まってもいいけど、ブルーマでもせっかく自宅を構えたのだ。
俺はギルドのメンバーに別れを告げて、自宅へと戻って行った。
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