メルセル追跡作戦 ~ヴァルドの負債~
メルセルの行方についての手がかりを探すことになった。
奴の家は、ブラックブライア家から贈られた、「リフトウィールド邸」である。
忍び込むに当たって、一つ問題があるようだ。
ヴァルドという番犬が見張っていて、そいつはメルセルに服従しているらしい。
そのヴァルドと言う者については、ヴェックスがよく知っているらしい。
そして、番犬を出し抜けたら、裏庭にある二階のバルコニーへ上るタラップが一番いいだろうと言った。
無用な戦いを避けるために、情報収集しておくか……
そこでヴェックスに、ヴァルドに取り入る方法を聞いてみた。
だが、取り入るのは無理なようだ。
ヴァルドが理解できるのは金だけらしい。
情報によれば、奴はメイビンに借金をしているということらしい。
その辺りを突いてみるか……
ヴェックス「もちろん、奴をぶっ刺して死体から必要なものを奪ったっていい……、どうあれ知ったこっちゃないよ」
レイジィ「ご冗談をw」
やれやれ……
メルセルの騒ぎで荒立っているようだな……
盗賊ギルドは殺しはやらない、じゃなかったかねぇ……
リフトウィールド邸は、表門に閂がかけられていて開くことができず、裏口から入るしかなさそうだ。
そして裏口には一人の傭兵が待ち構えていた。
こいつがヴァルドか。
一歩でもメイビン低に踏み込むと容赦しないというが……
力ずくで押し倒すのもスマートじゃない。
だが、説得も賄賂も効かない。
やはりメイビンに対する借金が、こいつをがんじがらめにしているのだろう。
というわけで、メイビンに話をすることにした。
メイビン「くだらない世間話につきあう時間はないのです。用件は?」
レイジィ「ヴァルドの借金を消したいのだが……」
メイビン「ヴァルド? なぜあのうつけ者の肩を持ちたがるのです? あの男の負債は随分な額ですよ」
メイビンは数年前、ウィンターホールドにいる親友に、特別な羽ペンを注文したと言う。
それは「複製の羽ペン」と言い、使用者が見ている筆跡を寸分違わず別の紙に再現するものらしい。
要するに、偽造専用の羽ペンというわけだ。
そしてその制作費には莫大な金額がかかったらしいが、ヴァルドはそれをホンリッヒ湖の底に落としてしまったそうだ。
それで、メルセルの下で強制労働を強いられているというわけだ。
メイビン「お前が羽ペンを見つけて持ち帰り、ヴァルドの無能の埋め合わせをするというのでしたら、それで負債を相殺としてあげてもよいでしょう」
レイジィ「どこを調べたらいいんだ?」
メイビン「港からゴールデングロウ農園の方面へ、捜索範囲を拡げていくのがよいかも知れませんね」
あの農園があった湖か……
ボートがどこかに沈んでいて、それを探すってことか。
メイビン「話は終わったはずですよ」
レイジィ「へぇへぇ」
………
……
…
レイジィ「ふぅ、ゴールデングロウ農園のあった湖を捜索することになったよ」
シャヴァーリ「水の中ならあなたの十八番じゃないのさ」
レイジィ「まぁ、そうなんだけどねぇ」
この湖を捜索か……
港から農園の間と言っていたから、農園より向こうは探さなくてもよいはずだな。
しばらく湖の底を探して回る。
すると、沈没したボートと、傍にある金庫を発見できたのだ。
これかな?
金庫をこじ開けてみると――
――中にはちゃんと「複製の羽ペン」が入っている。
よし、これに間違いないな。
………
……
…
レイジィ「複製の羽ペンを見つけたぞ」
メイビン「本当ですか? もうずいぶん昔にあきらめていたのですが」
メイビンは羽ペンを受け取ると、満足したように頷いた。
メイビン「よろしい、こちらも約束を果たさなければならないようですね」
借金免除の書類だな。
これを見せれば、ヴァルドも大人しくなるだろう。
しかし、メイビンが言うには、二度とリフテンに顔を出してはならないそうだが……
まぁどうでもいいか。
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