巡礼の道を辿り、ついにエボンメアに到着した。
 ここでついにノクターナルと対面することになった。
 
 ノクターナルは俺に語りかけてくる。
 俺はどうしたらよいのか分からず、ただ聞くのみであった……
 
 

 前にそちらの世界に足を踏み入れてから随分経つ。
 あるいは、つい一瞬前のことかも知れない。ここでは時の感覚が曖昧になりがちなのだ。
 
 では、またしてもピックが盗まれ、それを”勇者”が墓所に戻したというわけか。
 エボンメアが復旧した今、お前はここに立ち、賞賛を待っている。頭でも撫でて欲しいか……、頬に接吻がよいか……
 失念しておるようだが、それは当然の行為であって、お前が約定を守ったという以上の意味はない。
 
 勘違いするでない。別に立腹しておるわけではないのだ。
 なんといっても、お前は契約上の義務をきちんと果たしたのだから。
 だが言うまでも無く、それは名誉や誓いや忠誠にはさして関わりない。あくまでも報酬、恩賞についての話だ。
 
 

 案ずるな。お前達は綺麗なおもちゃと、力への渇望と、富への餓えを手に入れるであろう。
 エボンメアの奥深くから飲んで喉を潤すがいい、定命の者よ。そこからノクターナルの使徒が生まれる。
 誓いは立てられ、賽は投げられた。宿命がお前をエバーグロームで待ち受ける。
 

ノクターナル「さらば、ナイチンケールよ。次は『ピック』をなくすでないぞ」
 
 そう言い残して、ノクターナルは祭壇へと消えて行った。
 
 
 一方的に語りかけてきて、そのまま去って行ったよ。
 やれやれ、ようやく終わったか……
 
 
カーリア「鍵を無事に持ち帰ってくれてありがとう」

 いつの間にかカーリアもこの場に現れた。
 不壊のピックを返したことで、エボンメアの通路が再び開けたということか。
 
 これからはナイチンゲールの一員としての人生が始まり、墓所になにかあれば、守護者として召喚されることになる。
 カーリアも、ギルドに温かく帰還を歓迎されたようで、満たされた気分なようだ。
 
カーリア「これが終わりではなく、むしろ始まりであるよう祈るばかりだわ」
レイジィ「これから何が始まるのだ?」
カーリア「スカイリム始まって以来の大泥棒――、かしらね」
 
 カーリアも、心は根っからの盗賊なようだ。
 俺もそうだがな。
 
 
 その時、ナイチンゲールの衛士が現れた。

 ガルスだ。
 ガルスとカーリアの再開になったな。
 
 俺がピックを返したことで契約は果たされ、ガルスはエバーグロームへと旅立つことになったようだ。
 
カーリア「さようなら、ガルス。目を開き、影とともに歩まん事を」
ガルス「さらばだ、カーリア」
 

 そしてガルスの霊魂はエバーグロームと一つになった。
 終わりなき黄昏と影の揺籃の領界に……
 影と一つになったのだ。
 
「影とともに歩まん事を」という挨拶は、故人となったナイチンゲール達の霊に加護を祈っているということだ。
 
 
 
 これで、盗賊ギルドに未来が生まれたわけだ。
 過去も清算でき、すべての問題は片付いた。
 
 俺はこの先、どうして行こうか――
 
 
 
 




 
 
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