ブリニョルフ「さて友よ、正式に儀式を行うときが来た。俺たちのギルドマスターとなる時だ」
レイジィ「めんどくさい儀式とやらはごめんだぞ!」
ブリニョルフ「心配するな、短く面白いと約束するよ」
 
 
 儀式、か。
 ノクターナルとか召喚して、厳かになるんじゃないかね?
 メイビンも来ているみたいだし、いかん、緊張してきたぞ。
 

 ブリニョルフ、カーリア、デルビン、ヴェックス――
 共にギルドの一員としてやってきた仲間だ。
 
 
ブリニョルフ「いいか、俺はこういうのがいつも苦手だから、手早くやるぞ。ギルドマスターになるという事は、すべての戦利品の分け前が貰えるってわけじゃない。この無秩序集団の指導者でもあるということだ。それを踏まえて、俺はギルドマスターの地位をお前に付与する事を提案する」
 
 既に聞いた話だが、こういった形式も必要ってことだろう。
 それに、ギルドの全員が話を聞いたわけじゃないしな。
 
ブリニョルフ「デルビン?」
デルビン「賛成だ」
ブリニョルフ「ヴェックス?」
ヴェックス「そうだな、そうしよう」
ブリニョルフ「カーリア?」
カーリア「もちろんよ」
ブリニョルフ「満場一致だからな。もう俺にできる事と言えば、お前をギルドマスターとして任命し、幸運と長寿を願ってやるくらいだ」
シャヴァーリ「おめでとう、レイジィ――」

レイジィ「シャヴァーリ?!」
 

 …………
 

ブリニョルフ「どうした?」

 ブリニョルフの声に、ハッと我に返る。
 当然、そこには誰の姿も無い……
 
レイジィ「いや……、なんでもない……」
ブリニョルフ「ま、こんな所だな。お前の考えていた儀式と違っていたらすまんが、俺達も金遣いが荒いって訳じゃないんでね」
 
 
 これで儀式が完了し、正式に盗賊のギルドのギルドマスターに任命された。
 新しい経営者の下で、ギルドはさらに発展していくと願いたいものだ。
 
 
 
 しかし俺の心は空虚だ……
 この時を一番喜んでもらいたかった人は……
 
 
 
 
 もう居ない……
 
 
 

~ トカゲとネコと盗賊ギルド 完 ~

 
 
 
 




 
 
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