高潔なる血の一団 後編 ~真相~
帝都神殿地域で、吸血鬼ハンターの一団に吸血鬼退治を依頼されたけど、その吸血鬼ローランドは人間だった。
逆に吸血鬼ハンターのリーダーであるセリデュールが吸血鬼で、その一団を隠れ蓑にしているのだと聞いた。
ローランドからは、帝都商業地区のファースト書店のフィンティアスから話を聞くとよいと言われたので、早速向かうことにした。
その前に確認。
う~ん、セリデュールの目も普通だけどなぁ……
ハシルドア伯爵だけが特別なのか、それともみんな疑心暗鬼になっているだけで、真犯人は他に居るというのだろうか?
それではフィンティアスから情報を、と。
「うちのお客さんの事を、知らない人にペラペラ話すことはできませんよ」
そうですか。
はい魅了、全部話してもらいましょう。
セリデュールは、買い物ついでにここへやってくるが、その時はいつも鞄に旅行食をぎっしりと積めているらしい。
で、本を買っては仕事で街の外へと行くと言っていたそうな。
それで、フィンティアスはセリデュールが「追悼洞穴」について話をしていたのを覚えていたと言うのだ。
その追悼洞穴は、帝都の外にある洞穴で、過去の戦いでの多くの英雄が埋葬されている場所らしい。
それはここ。
帝都は絶対に東側にも入り口の橋をかけるべきだと思うね。どれだけ回り込ませるんだよ、泳ぐけど。
というわけで、追悼洞穴。
多くの英雄が埋葬されている場所と言っていたが、入ってすぐの場所からやばいのですが?
これはいかんやろ。
スキングラードで退治した吸血鬼の住み着いていた洞穴と同じ雰囲気だ。
そして思ったとおり、洞窟の中は吸血鬼でいっぱいになっていた。
あちょ~っ!
とわた~っ!
などと、たまには変わった戦いを見せるのもありだ。
霊峰の指ばかり放っているのにも飽きてきたところだ。
それに、なんだか体術は身についているんだな、いつの間にか。なんか誰かと一緒に訓練していたような気がするが、そんな記憶無いしなんなんだろう。
これは、埋葬していたのを掘り起こして無茶をやっているな?
死霊術師と吸血鬼に繋がりがあって、ハシルドア伯爵が疑われるのも納得だ。
吸血鬼は遺体の血を吸うため、死霊術師は遺体を蘇らせて奴隷にするためですかね?
ここまで遺体をもてあそんでも良いのですかねぇ、吸血鬼さんよ……(。-`ω´-)
やはり吸血鬼は、忌み嫌われる存在なのか。
………
……
…
追悼洞穴の奥に待ち構えていたのはセリデュールだった?!
何故か知らんが、これまでの流れは俺を排除するために仕組んだものだと言うのだ。
さらにローランドも、一団のメンバーも後から全て滅ぼすらしい。
いや、ちょっと待ってくれ?!
なんで俺、ここまで吸血鬼に嫌われているのだ?
ハシルドア伯爵の依頼で吸血鬼の一団を退治したから?
アズラの依頼で吸血鬼の一団を退治したから?
なんかここまで狙われる理由がわからんのだがー(。-`ω´-)
とまぁ、セリデュールは始末したけど、この人いつの間に洞穴へ移動したのだろうか?
今朝、目を確認するために家で会ったばかりなのに――、というか、吸血鬼は目で判断できないのか?
なんかいろいろと問題が残った事件だが、帝都の吸血鬼ハンター集団はローランドが後をついで存続させることになったらしい。
あと、吸血鬼の遺灰を持ってきたら、いくらかのお金をもらえることになった。
なんか吸血鬼は勝手に俺のこと恨んでいるみたいだから、今後は吸血鬼を見つけたら片っ端からやっつけて回りますかね?
今回の件でローランドに気に入られたのか、高潔なる血の一団の「名誉団員」として迎えられたみたいだし。
僻地にある砦にも、積極的に入っていくべきですかな。
ああ、こんな指輪を報酬でもらった。
病気耐性か、病気にかかっても街の教会でお祈りしたら治るし、病気治療の魔法も覚えているけど、まあいいか。
ずっと本読んでいるな、この人たち。
いろいろ外を回って吸血鬼狩りをした方が良いのではないんかね?
はっ?!
こいつら吸血鬼退治は、俺に丸投げか?!Σ(・ω・ノ)ノ!
前の話へ/目次に戻る/次の話へ