ヴァータセンの秘密 後編 ~遺物はダサいヘルメット~
「この先に何があるのか、誰かが調査する必要があるだろうな」
「そうですね! それでは俺はこれで――」
「俺は、君が適任だと思う。今までだって、難題を解決してきたんだから」
「それを丸投げというのですよ!」
「何かの発見がなされるとしたら、それをするのは君であるべきだ。君は十分にそれに値する」
「そうやっておだてて押し付けるのですね!」
そういうわけで、俺は石柱の謎を解いたその先の地下迷宮へと探索を行いに来ていた。
デイドラもディネルも、なぜ自分でことをなそうとせずに、人に押し付けるんだ。
こういう仕事は下っ端がやるべきなのですか?
俺はイヴォーカーだぞ、あまりにも待遇が悪いと、その名のとおり死霊術師になっちゃうぞ?
先に進むと行き止まりになっていて、地面にはなにやら出っ張ったスイッチのようなものがある。
石でできたスイッチを踏み込むと、隣の壁が開いてそこから出てきた幽霊が襲い掛かってきた。
めんどくさ!
幽霊を退治して先に進むと、通路の隙間から巨大な刃が出たり入ったりしている場所があったりする。駆け抜けろってことか?
めんどくさ!
そんな感じに、いくつものトラップや仕掛けを潜り抜けてたどり着いた場所は――
アイレイドの大広間。ここに遺物が隠されているのか?
広間の真ん中にある場所が怪しいが、そこは高く上る場所もない。
広間の奥には進めるようで、その先には大きなスイッチのようなものがあったりする。
他に何も見当たらないので、これを動かしてみよう。
遺跡の自爆スイッチとかそんなものではないはずだ。
スイッチを押すと、どこか遠くで地響きのような音がしているのに気がついた。
すると、広間中央にあった高台へと登るための階段が現れたではないか。
凝った仕掛けかと思うし、単純な仕掛けだとの思う。
どきどきわくわくしながら階段を登る。隠された遺物があるとしたら、きっとこの上だ。
ふと思ったけど、遺物と異物、読み方は同じだけど意味は全然違うね。
と、その時だ――
――異物が襲い掛かってきた!
「応戦だ! こちらもファイアーボールで応戦だ!」
「いけません、勝敗は目に見えています。今は少しでも犠牲を少なくすべきです!」
「黙れ! 俺は卑怯者にはなれん!」
って俺は誰と話をしているのだ!
あー、誰か共に旅をしてくれる仲間は居ないものか……
ユニコーンは寡黙で困る、話されても意味わかんないけど、ヒヒーン。
というわけで、突然襲い掛かってきた異物を始末して、この遺跡に隠された遺物を手に入れたのであった。
これを魔術師大学のお偉いさんは探していたのか?
何か特別な意味のある物なのか?
べつに内側がヌメヌメしているわけでもない、何の変哲も無い兜だ。
かぶってみた。
あまりかっこよくない……(。-`ω´-)
なんですかこの虫みたいな角は!
頭が良くなるような兆候はないし、体が俊敏になるような効果は見られない。
つまり、何の魔力もこめられていない兜なのだ。いや、これからこめるのかな? 杖みたいに。
まあ俺みたいな小市民には理解できない物があるのだろう。
きっと大学のお偉いさん方には、さぞかしこの兜がかっこよく見えるのだろうね。
俺はこの兜を被るぐらいなら、まだ緑仮面とかクラヴィカス・ヴァイルにもらった仮面の方がいいな。
後は異物の攻撃をかわしながら、遺物を持ち帰ることだな。
というわけで、ヴァータセンでの冒険はおしまい。
スカリールに報告して、惚れられる前にさっさと遺跡を後にしましたとさ。
ああ、ちなみに遺物の正式名称は「太古のエルフの兜」だった。
それだけ、とくに俺にとって意味はなし。
前の話へ/目次に戻る/次の話へ