スキングラードあれこれ ~ニルンルートと屋敷とメイド~
さて、死霊術師対策に必要な本を、スキングードの領主ジェイナス・ハシルドア伯爵が借りたままだというので、返したもらうためにスキングラードに訪れているところからだ。
しかし伯爵は人嫌いで、執事のメルカトールに会うよう説得してもらうために一日待って欲しいということになり、そのままスキングラードで一日過ごすことになった。
まず俺は、もう一人の執事シャム・グロ=ヤラクと話をしてみた。
なんでも彼は、スキングラードの家を売っているそうで。
信用できないとか言うので、魅了の魔法をかけてやったところ、ローズソーン邸というものを売り出してくれた。
気がつけば名声は30を超えている。そろそろ街に自分の拠点を作る時が来たというのだろうか?
そういうわけで、まずはスキングラードから家購入を開始した。
アンヴィルの家はアリーレさんに取られたし、レヤウィンでもらった白馬山荘はマゾーガ卿と同棲になってしまうので却下。
金なら大丈夫、追い剥ぎを繰り返して今では10万ゴールド近く稼いでおる!
ここがスキングラードで持てる俺の家らしい。うん、けっこう大きいな。
スキングラードは帝都の次に都会だ。家も自然と立派になるのだろう。
帝都の家は最後に買うことにする。楽しみは最後に取っておくものだ。
しかし家の中は殺風景。家具は自分で買い揃えろと言うのか。
家の購入が終わったので、道具やで家具をそろえるついでにニルンルートのシンデリオンだったっけ、を探すことにした。
彼は、宿屋の地下に研究所を作っていて、そこでニルンルートの研究をしているようだった。
持っていたニルンルートを見せてあげると、彼は「本物のニルンルートだ!」とずいぶん驚いたようだ。
研究はしていたけど、実物を見たことはなかったのね……。
それなら適当に、リンゴを持ってきてこれがニルンルートだ! と言っても通用したんじゃないのかねぇ?
シンデリオンはそこで何かを思いついたようだ。
それは、俺にニルンルートを採集させて、探索の霊薬、つまりエリクサーという魔法薬を作ってみようという話になった。
エリクサーは非売品だけど、エリクシャーなら50000Gで売っていると思うよ。
で、その薬の材料の一つがニルンルートなので、それを探してきて欲しいということだ。
探索の霊薬、エリクサーは、ダンジョン探索者用に作られた多目的用ボーションだそうだ。
HPとMPが全快する薬じゃないのね……
ニルンルートを10個持ってきたら、エリクサーを一つタダで作ってくれるそうだ。
エリクサーとニルンルート、どっちが貴重だろうか?(。-`ω´-)
しかし、自分が持っていてもニルンルートは何も役に立たないので、それなら役立ててくれる彼に渡した方が有効利用できる。
というわけで、手持ちの中から10本だけ提供してやった。
そしたら次は、さらに効果の高いエリクサーを作るために20本必要だと言ってきた。
うーむ、もう6本しか残っていない。
ちなみにこれが、シンデリオンの書き記した資料。
ある程度の水があればどこでも育つ頑強な植物であるにもかかわらず、絶滅の危機に瀕しているんだとさ。
薬の材料にしてないで、栽培して増やしたらいいんじゃないかねぇ……
そんな感じに話は進み、薬が完成するまで一日欲しいと言ってきた。
明日大学の仕事を済ませてからまた来るか。
次は道具屋で家具も買い揃えた後の話である。
エイジャと名乗ったその女性は、ローズソーン邸で誰を雇うか決めている? と聞いてきた。
別に商売を始めるわけではなくて、自宅を購入しただけなんだけどね。
彼女は、150Gくれたらメイドとして働いてくれると提案してきた。安いメイドだな。
たぶんいろいろ転々とすると思うので、家を整理してくれるというのなら任せるのもよかろう。
こうして俺は、ソリス・アレニムが大金を出して購入した杖よりも50G安いメイドを手に入れたのであった。
その金額は、スキングラードに来る途中で現れた追い剥ぎから奪った装備よりも安かった。
スキングラードといえばここである。
グラアシアの家は、今では誰も住むことがなく、当時のまま残っていたりした。
地下にはあのメモが残ったままなんだろうな……
などといろいろと考えていた。
後はもうやることは無さそうなので、自宅に戻って明日の謁見まで時間をつぶすことにした。
エイジャは地下室に住み着いたようだ。
「念のために伺いますが、この家を乗っ取ろうなんて考えていませんよね?」
「私はただのメイドです。主人に仕えて家の整理整頓などをするだけです」
「ではメイドの格好をしてもらわねば困るな」
「メイドの格好とは何ですか?」
「……なんだろうねぇ(。-`ω´-)」