シェイディンハルの推薦状 ~職場放棄のギルドマスター~
おはよう、俺はラムリーザ、魔術師ギルドの準会員。
今日はシェイディンハルのギルドで目覚めることになった。
これがギルドの外観、ブルーマより立派な建物だ。やっぱりブルーマはいまいちのようだな。
しかし外観に比べて中は狭いなぁ。
隠し部屋とかがたくさんあるのかもしれない。
さて、ここのギルドのマスターは、気難しそうな顔をしたおっさん、ファルカール氏だった。
早速推薦状を書いてもらうよう頼んでみたのだが、ファルカールが実験で使っていた「重荷の指輪」なるものが他の準会員によって持ち去られたという。
俺以外にも居たんだ、準会員。どっちが先だ? 俺が先輩面できる日もやってくるのか?
んで、その指輪はギルド会館の裏手にある井戸に投げ捨てられたんだとさ。
ファルカールも言っているが、なぜマスターに逆らってそんなことをしたのかわからんね。
というわけで、その指輪を探して来い、と。探してきたら推薦状を書いてくれると約束してくれたのだ。
それと、井戸には鍵がかかっているので、ディートサンに鍵を貰うよう言い残すと、ファルカールはさっさと自室に向かっていった。
ディートサン。ディートさん。どっちだ?
ギルド内を探して回ると、トカゲさんがディートサンでした。魔術師ギルド、トカゲさんが多いな!
しかし、このディートサンから聞いた話は物騒なものだった。
なんでもファルカールは俺を殺そうとしているらしい。俺だけではなく、ヴィドカンという人も、ファルカールから同じ課題を受けて行方不明だとか。
ああ、もう一人の準会員は行方不明なのね。
それなら任せてもらおう、何度かの事件を解決したこの名探偵ラムリーザ様を!
というわけで、ディートサンからは鍵と魔法を頂いた。
魔法は水中呼吸の魔法。この魔法を使って、井戸の中から指輪を探したせってことだね。
とある世界の「水中呼吸のマテリア」は、人知を超えた秘宝ゆえ使用法すらない、とのことだったが、この世界では意味があるみたいだね。何の話だろうね。
ここがギルド会館の裏の井戸。
いどまじんが出てこないことを確認してから探索だ!
水中呼吸の魔法を使って井戸に飛び込む。
……なんか死体がありませんか?
近寄ってみると本当に死体だった。
俺はこの井戸の水は飲まないことにした。
ちなみに、「重荷の指輪」はこの死体のポケットに入っていた。150も重さがある、異様に重たい指輪だ。
ちなみにどのくらい重たいのかと言うと、以前レイニルという偽ヴァンパイアハンターの身包みをはいだことがあるが、あいつが着ていた緑色の鎧の重さが15だ。実に鎧の十倍もする重さがある指輪だ。
井戸の中には、よくわからないけど草も生えていた。
なんか重要な気がするので頂いておく。
………
……
…
重荷の指輪をギルドへ持ち帰ったとき、なにか大変なことが起きたらしい。
この数十分の間に何があった?!
ディートサンの話では、重荷の指輪はもうどうでもよくて、適当に処分してくれとか。
井戸で人が死んでいて、その遺体から持ち帰ったものを適当に処分してくれというのも無責任な話だと思うが、仕方が無い。
話を聞けば、その井戸の中で死んでいたのが、もう一人の準会員ヴィドカンだそうだ。
それで、ファルカール自身は、ディートサンと口論になって、その結果飛び出していったのだそうだ。
どうも話が見えんな……(。-`ω´-)
ディートサンは、ファルカールが推薦状を書いていたかどうか調べろと言ってきたが、まあいいか、調べろ言うなら調べましょう。
ついでに、ファルカールの部屋からメモや不審な物があったら知らせて欲しいと。
地下の居住区、とくに怪しいものはない。
ファルカールの部屋、ぱっと目に付くものは、テーブルの上の薬?
軽荷の薬だそうだが、毒ではないので問題ないかな。
砂時計とか羊皮紙も別に問題ないし……
棚の上の頭蓋骨が怪しいので、証拠として手に取る。こんなものを集める趣味があるのはおかしい。
どこぞの戦闘民族は、戦って勝利した相手の頭蓋骨をコレクションしているというが、ファルカールもそんな趣味があるのか?
他に出てきたものと言えば、「ファルカールのブラック・ソウルジェム」ぐらいだった。
これは今までに見たことがないアイテムだ。何に使うのかもわからないが、妙に禍々しい気配を感じるアイテムだ。
ピーンと直感したね、これはヤバいアイテムだ、と。
ちなみに、ベッドのそばの棚に隠されていました。
あとは、結局推薦状は、どこを探しても出てきませんでしたとさ。
ディートサンにこのブラックソウルジェムとやらを渡してみると、すごく驚いたようで「事態は想像以上に深刻」だとか言い出す。
だからこのアイテムは何なんだ?
何も分からないまま、評議会に提出するといって取り上げられてしまったが、代わりに推薦状を書いてくれることになった。
ファルカールの次に偉いのがこのディートサン?
トカゲ族のアルゴニアンは、意外と優秀なのかもしれない。どこぞのイタズラばかりやっている獣族カジートとは大違いだ。
こうして、俺はシェイディンハルの魔術師ギルドでも、推薦状を出してもらえることになったのである。
シェイディンハルの推薦状 ~完~
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