コロルの推薦状 ~フィンガーズ・オブ・ザ・マウンテン~
今日から、コロルの魔術師ギルドで生活することになった。
しかし、初日から驚かされる。
えっと……、爬虫類人間?
リエルの遺跡でも出会ったが、この世界にはどうやら爬虫類人間が居るようだ。いや、単純に俺が覚えていないだけなのだが……。
しかも驚いたことに、この人(?)がここのギルドマスターだそうだ。
どうやら俺が準会員になった話は、ここにも届いているようだった。
「ええと、ティーキウスさん、その、ね、トカゲ人間ですか?」
しまった、要らんことを聞いてしまった。
「何だ君は、アルゴニアンを知らないのか?」
「ああいえ、そうでしたね、アルゴニアンでしたね」
とっさに誤魔化す。
獣族のカジートに、爬虫類のアルゴニアンか、よし、ラムリーザ覚えた。いや、思い出した。
問答無用で襲い掛かってこない生き物は味方、そういうことにしておこう、うん。
「ところで、イラーナに関わるゴタゴタを解決することができれば、それをギルドへの忠誠の証とみなし、推薦してもよいでしょう」
「あ、そんな話もありましたねぇ」
そういえば、準会員から正式メンバーに昇格するにはそれぞれの街から推薦状を出してもらうって話だったね、すっかり忘れていた。
どうやらこのギルドでは、イラーナという人を一刻も早く追い払いたいと考えているようだ。イラーナ、何をやったのだ? 盗みか? 俺もやったが……
そういうわけで、まずはイラーナと話をしてみようか。
そう思ってギルドから出たところ――
またしてもトカゲ――アルゴニアンが近寄ってきて話しかけてきた。
このアルゴニアン、ダー=マという名前で女性らしいが可愛いのかどうかわからぬ……(。-`ω´-)
彼女はなんだか俺が街に来たことを歓迎しているみたいで、雑貨屋を経営している母にも会って欲しいと言ってきた。
それはいずれ機会があれば、ということでイラーナについて聞いてみる。
彼女の話では、イラーナは何らかの本を探しているらしいとのこと。詳しいことは本人から聞いてみたらいい、後ろで衛兵と話をしている女性がイラーナだそうだ。
それでは早速イラーナにも話を聞いてみよう。
ええと、ダー=マの言っていた通り、イラーナはある本を探しているとのことで、その本の名前は「フィンガーズ・オブ・ザ・マウンテン」だそうだ。
コロルから西にある山に登った先にある雲天といあ古い遺構にあるらしい。うん、俺もこれを探しに来たんだ。
イラーナは本を手に入れ次第自分に届けて欲しいと言っているが、ギルドの方針にも従う必要があるしなぁ……。
イラーナと別れた後、念のためにギルドに戻ってティーキウスと話をしてみる。
すると、その本はギルドによって厳重に保管されねばならないらしい。
そして、ギルドの一員として正しい判断をするように、と言われた。
それでは雲天に向かいましょう。北西か、北門から外に出よう。
あの山のてっぺん辺りかな?
山登り開始、雪山じゃないから楽だな。ブルーマは雪だらけで大変だった。
途中までは石畳の舗装された道だったが、そのうち舗装は無くなり自然の道となっていった。
鹿をおいかけながら、ひたすら登る。
………
……
…
山を登ること一時間、ようやく何かが見えてきた。
あれが、雲天だろうか?
しかし、そこは異様な場所だった。
なんだこの黒焦げの遺体は……。
それ以外には何も無い、気味が悪いな。
仕方が無いので遺体を調べてみると、その懐から一冊の本が出てきた。
これがフィンガーズ・オブ・ザ・マウンテンか……
読もうと思ったけど、わからんかった。
………
……
…
イラーナに渡そうか、ティーキウスに渡そうか迷ったが、俺はティーキウスに渡すことにした。
ティーキウスは、俺が本を届けたことを褒め、推薦状を出してくれることになった。
ああ、そういう話でしたね。
イラーナには後で話してあきらめてもらうことを伝えるとして、これにて推薦状の話はおしまい。
魔術師ギルドクエスト コロルの推薦状 ~完~
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