西への旅 ~前編・再開したくない奴と再会したりする旅路~

 
 この日、俺は西へと旅立っていた。
 ブルーマの魔術師ギルドが退屈というのもあるが、ギルドマスターのジーンヌさんから耳寄りな情報を聞いたというのが一番大きい。
 ここから西へ向かった所、シロディール全土で言えば北西に位置する街はコロル。街の名前は以前「魔術師ギルド綱領」を読んだときに知ることができたのだが、マスターの情報はさらに別のことだった。
 なんでも、コロルからさらに西へ行った雲天という場所には、強力な魔法が隠されているらしいというのだ。
 
 強力な魔法、それはひょっとして記憶を取り戻す魔法で、うまくすれば元の俺に戻れるかもしれない。
 
 そういうわけで、朝早くからブルーマの町を出発して、西へ、西へと向かっていった。
 
 
 まずはアップルウォッチを通り過ぎる。

 おばさんが一人、毎日畑仕事をしている場所だ。ブルーマの食料は、この畑だけでまかなっている……わけはないか。
 ただの民家だろう。
 
 次に通り過ぎるのは北方洞窟。

 レイニル事件でレイニルをやっつけた場所だ。
 この洞窟の北辺りに、先日ジ=スカール先輩と探検したアイレイドの遺跡、リエルがある。
 これまでに出歩いたのは、この辺りまでだ。ここから先は、未知の領域である。
 
 さらに西へと進むと、巨大な岩でできたアーチが現れた。

 自然にできたものなのか? それとも誰かが何かを意図して作ったものか?
 近くに居た人は密売人だそうだが、何を売っているのかはわからん。
 まぁ密売なんてろくなもの売ってないから、相手にしないことにする。どうせ違法なドラッグとか売っているんだろ?
 

 うむ、鹿が居る。焼いて食ったら美味いだろうか?
 そういえば、ブルーマの衛兵は、時々鹿を追っかけていたなぁ。
 などと考えていると、背後から懐かしい、しかし二度と聞きたくなかった唸り声が響いた。
 

 またお前か!
 この野蛮な奴は、この世界の至るところに居るみたいで、またしても問答無用で襲い掛かってきた。
 ブルーマの街近辺に居たときは襲ってこなかったのは、衛兵が街を守っていたからなんだろうな!
 
 しかし、対処方法はすでに取得済み。いつまでも殴ってくれと頬を差し出していると思ったら大間違いだぞ。

 高台に登ってやると、こいつは馬鹿だから手も足も出せないのだ。やたらと腕を振り回して暴れるだけ。ほんと、馬鹿だ。

 馬鹿は死ななきゃ治らない。
 こいつはたた野蛮なだけのハンティング対象だということはわかっているので、躊躇することなく焼き殺す。
 もう出てくるなよ。しつこかったら、片っ端からハンティングして剥製にしてやるぞ!
 
 さらに西へと進むと、なんとなく周囲の雰囲気が変わってきた。

 これまでは雪国って印象だったが、緑が増えてきた感じ。寒いよりは暖かいほうがいいから、こっちの方が俺は好きだな。
 これまでには足元にうっすらと積もっていた雪も、いつの間にか無くなっていた。

 左手に森林を眺めながら、橋を渡ってさらに西へと向かっていく。
 その時だ、誰かが俺に話しかけてきた。
 
「着ているもの全て脱いで俺によこしな」
 
 追い剥ぎだ……(。-`ω´-)
 いや、わかるよ。この国はコツコツと真面目に働くよりも、追い剥ぎをしてその装備を売ったほうがお金を稼げるのは知っているよ。
 だから俺は、事件などで倒した相手の装備は剥ぎ取って売って生活費に変えていた。

 しかし、やられるとなるとたまったものじゃない。
 抵抗すると、巨大な氷の化け物を召喚してきやがった。追い剥ぎの癖に、召喚魔法とかインテリなこと覚えてやがる。
 いや、わかるよ、召喚魔法で人の役に立つより、それを使って追い剥ぎ……(ry

 こんなところで裸にされるわけにはいかないので、やっつけておく。
 橋の上のバトル、危ないところで戦ってるなぁ。衝撃魔法で、橋から突き落としてやってもよかったかもしれない。
 あ、こいつの装備も頂いておく。魔術師ギルドは稼ぎにならないから、それ以外の場面で生活費は稼げるだけ稼いでおかないとな。
 鎧は重たくてあまり持てないので、コロルに着いたらさっさと売ってしまおう。
 

 橋を渡り終えると、道は北と南に分かれていた。
 ジーンヌさんに聞いた話では、コロルの街へ行くには西に向かうのは当然として、北に行けば山頂に向かうだけなので、街へ行くには南だった。
 

 そういうわけで、南の山を下る道を選択して進んでいった。
 山頂に向かえば何かあるかもしれないが、今日の目標はコロルへの移動だ。また後日、機会があれば向かってみよう。
 旅に出て数時間、そろそろ昼が過ぎようとしている、コロルの街は結構遠いなぁ。
 
 西への旅路は続く――
 
 
 
 




 
 
 前の話へ目次に戻る次の話へ

Posted by ラムリーザ