肩書きの象徴 その3 ~ナイフポイント・ホロウの大図書館?~
現在、シェオゴラスの杖を新しく作ろう作戦実施中である。
そのためには、ナイフポイント・ホロウへ向かい、そこにある大図書館で杖を作る方法を探らなければならない。
そこでディメンシアの地をぐるりと回り、ナイフポイント・ホロウの洞穴へ到着したのであった。
「その緑球に近づいたらダメだからね」
「またミドリムスメって言った」
「言ってない……(。-`ω´-)」
ナイフポイント・ホロウは洞穴と呼ばれているだけあって、中に入ると普通に洞穴であった。
こんなところに大図書館などあるのだろうか?
全然図書館ってイメージじゃないね。
しかも、ミニゲートキーパーが住み着いていたりする。
こいつって、レルミナが作ったものじゃなかったっけ?
いろいろなところに居るような気がするけど、少しでも死霊術をかじったら作れるのだろうか?
俺は作りたくないけどね。
洞穴を抜けた先は、石造りの遺跡となっていた。
これなら大図書館がありそうな気がする。
古代図書館みたいなもので、埋まってしまったというのだろう。
「扉が開かないわ」
「ん、確かハスキルが鍵を渡すって言ってたな」
その鍵とは、錠を開くようなものではない。
刃向けのクリスタルと言って、はめ込むタイプなのだ。
それを扉の中央にはめ込むと――
扉は音を立てて崩れ始めたのであった。
「扉じゃなくて、封印された壁ね」
「ということは、この奥に図書館が隠されているのか」
「エンドポータルもあるかもしれないね」
「なんやそれ?」
しかしその奥にあったのは小さな部屋で、一人の老人が座っているだけだった。
ここは図書館じゃないのか?
「待っておったぞ、公爵殿。私には現在も未来も過去も、全てがわかる。神話守りのダイアスに驚きは無いのだ」
「籠っていたみたいだけど、俺のこと公爵だってわかるのな」
「驚いたか? 私はかつて、ジャガラクの大図書館の館長を務めていた。人格など幻想である」
「その図書館は、今どこにあるのですか?」
「シェオゴラスは図書館を目にするや、全て燃やしたのだ。個人の選択は、論理的予測などでは表現しえないと主張してな」
「ダメじゃん!」
かつてこの大図書館には、人間やデイドラの一挙一動に至るまでの論理的予測が収められていたという。
一人一人の誕生、死。タイバー・セプティムの台頭、マーティン・セプティムの覚悟など。
しかし、それらはシェオゴラスによって燃やされ、今現在残っているのは、ダイアスの頭の中に残っている知識だけだというのだ。
「話さずともよい。シェオゴラスが倒れ、そなたは秩序の王を打倒する手段を求めておる。そう、狂気の玉座を求めておる」
「その通りです」
「シェオゴラスの名を継ぐ気なら、何なりとご質問を」
いや、それはちょっとな。
シェオゴラス二世ではなく、ラムリーザ一世でありたいものだ。
それに可能なら、この世界から狂気を取り除いて、祭と宴の世界――サングインダメ! 絶対ダメ!
「どうしようか、俺がシェオゴラスになっていいのか?」
「よくわかんないけど、杖の作り方さえ聞けたら、それでいいんじゃないかしら?」
「それで俺がシェオゴラス二世になったらどうする?」
「あなたが何になろうと、あたしにとっては何も変わらないわ」
「そっか、それなら別にそれでもいいか」
緑娘が変わらないと言うのなら、俺が何になろうが別に関係ないか。
皇帝だろうがアークメイジだろうがグレイ・フォックスだろうが狂気の神だろうが。
「それではダイアス殿。シェオゴラスの杖を作るにはどうすれば?」
「私が作れるのは、杖の器だけ。神性は別の場所で探さねばならん」
「魔術師の杖みたいやのぉ」
確か魔術師大学で作った杖も、最初は空の杖でその後魔力を込めたはずだ。
そしてシェオゴラスの杖を完成させるには、二つの神聖なアイテムが必要だと言うのだ。
「一つ目は何ですか?」
「戦慄の島には数多くの秘密があるが、定命の目に見えぬ秘密は僅か」
「もったいぶらないでいいので、早く教えてください」
なんだろう、この人はマニア寄りの人かな?
セイドンもそうだったが、本題に入るまでとにかく「お話が長いよー」な人が何人か居た。
ダイアスが言うには、杖は偉大なビジョンを備えた道具ゆえ、目に見えぬ秘密を見た者の眼球が必要なのだとさ。
全くこの世界は、心臓が必要と言われて「ひえぇ」ってなっていたら、今度は眼球ですか。
それは、マニアにあるハウリング・ホール、すなわち叫びの殿堂にシールタという女が居て、彼女を見つけ、またとない秘密を映した目を持ち帰ればよいとのことだった。
「二つ目は何ですか?」
「この王国の木や枝は、狂気と秘跡の深き泉から養分を得ている」
「話のとっかかりに、何か小難しいことを一言入れたいのな」
それは、ミルカールの遺跡にある広間に、陰りの木と呼ばれる最古の木の一つがあるそうな。
そこへ向かい、その木の枝、すなわち宵闇の樹の枝を持ち帰ればよいとのことだ。
ただし、木が枝を渡すのは、相応しき者だけだという。
まぁ俺が相応しくないとなれば、この王国は勝手に滅びるがよかろう。
「要するに、その二つの材料を取って来ればよいのですね?」
「さよう。さすれば、この王国の王に備わる力を縛り付ける器を作ることができるのだ。しかし……」
「しかし?」
「杖があれば、狂気の玉座に就けるだろうが、前例のない試みだ」
「杖無しで玉座に座ったらどうなりますか?」
「空から生首が降ってきてそれに噛みつかれるまで立ち上がれなくなるだろう。そして噛みつかれた手は死霊に取り憑かれ、自分の意思とは関係なく襲い掛かってくるであろう」
「なんかこえーな!」
さて必要なアイテムは、シールタの目と陰りの木。
シールタの目は、定命の者が存ぜぬ闇の秘密を映した目。それはハウリング・ホール、すなわち叫びの殿堂に居るシールタから手に入れよと言う。
陰りの木は、その根は戦慄の島の心臓部まで続いているもので、それはミルカールの遺跡にあると言う。
その木が枝を得るのに相応しい者か判断する方法として、己の真の姿と向き合わなければならないというのだ。
「ところでテフラの真の姿ってどんなん?」
「どんなんって、何がよ?」
「いや、美人過ぎるからどんな化粧しているのかなって」
「あなた、あたしが化粧している所を見たことあるのかしら?」
「無いなぁ……、それらしき道具も持ってないし」
「それが答えよ」
なんだろう?
究極の知恵の写本、コデックスを手にするために、自身の姿と戦わねばならぬと言うが、あの類かな?
ま、コピーはオリジナルに勝てないのが世の摂理である。
なんとなく、レルミナがゲートキーパーを再生させる時と似た流れだなと思った。
一つの物を作るために、複数の素材が必要。
例えば、硫黄の灰と血の苔とマンドレイクを混ぜ合わせると、大地震を発生させられるとかなんだとか。
錬金術には疎いから、詳しくは知らないけどね。
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