フリンジ目指して ~世界の雰囲気が変わった?~
シル公爵の後を継いでディメンシア公爵となった。
すると当然のごとく、シルと恋仲であったセイドンは怒り狂い、オーダー側に付くと言ってニュー・シェオスから出ていった。
そしてオーダーは本格的に攻めてきて、ついにフリンジはグレイマーチに飲み込まれてしまったのだ。
グレイマーチとは、どうやらこの戦慄の島がオーダーの軍勢によって乗っ取られてしまう行為のようだ。
打倒シェオゴラスを目指す俺たちにとって、オーダーは味方なのか?
しかしシェオゴラスも、グレイマーチを防げたら俺に後を託すようなことを言っている。
「それではフリンジに向かい、ヤツ・らを・阻止・せよ!」
これがシェオゴラスの命じた、俺の次の任務である。
オーダーを阻止すべきか?
オーダーに乗じてシェオゴラスを始末すべきか?
しかし、ディメンシア公爵となってしまった俺の取る道は一つ。
シェオゴラス側について、オーダーを退治することなのだ。
サセラム・アルデン=スルの教会から出たとき、ディメンシアの雰囲気が変わっているのに気がついた。
これまでは、青黒くどんよりとした陰鬱な空であった。
しかし今は、明るい曇り空?
俺がディメンシアの公爵を継いだことで、世界に変化が訪れたと言うのだろうか?
「あなたの心の中って、こんな感じなのね」
「陰鬱とはしていない。それでいて、先は見えない。しかし、明るい未来かもしれない。そんなところで」
「たぶんショーケースにかけられた白い布が天を覆っているのよ」
「なんやそれ?」
変わったのは空だけでない。
門番や巡回中ののダーク・セデューサーたちは、俺の顔を見るなり「セデューサーは万全です、公爵どの」と言ってくる。
公爵が入れ替わったことを、しっかりと認識しているようだな。
マニア側の炎を灯した俺が、ディメンシア公爵となる。
バランスが取れていてよかろう。
どちらか一方を支配するのではなく、いずれは全てを支配するのだからな。
フリンジへ向かう道中、オーダーの騎士が襲い掛かってくる。
グレイマーチの影響なのか、本格的にオーダー軍がこの島を乗っ取ろうとしているようだ。
「あれだよなぁ。あのオベリスクから、オーダーの騎士は現れているんだ」
「全部閉じちゃえばいいんじゃないのかしら? オブリビオン・ゲートのように」
「なるほど、言われてみたらあのゲートと似たようなものだね」
そんなわけで、オーダーの騎士の拠点となるオベリスクは、目につく限り閉じていくことにした。
オブリビオンゲートから出てきたデイドラ、オベリスクから出てくるオーダーの騎士。
確かに緑娘の言う通り、似ている存在だ。
ただ違う点は、オブリビオンゲートを閉じる戦いをしていた頃は、味方がたくさん居た。
しかし今この世界では、俺と緑娘、そして犬のチロジャルしか仲間は居ないのだ。
俺たちの作る明日が、俺たちの作る未来なのだ。
やることは同じだ。
オーダーの騎士から心臓を奪い、オベリスクに捧げるだけ。
それを三回繰り返すと、自然にオベリスクの起動が止まるのだ。
この状態を、ゲートが閉じた状態だと考えよう。
また別の場所でも開いている……
まぁ、以下同文なわけで。
オベリスクの停止だけではない。
ニュー・シェオスからフリンジへと向かう途中にある、自殺の丘にも立ち寄ることにする。
ハスキルから聞いたこの女性が、サロニア・ヴィリアという者の霊だ。
現在、この人の頭蓋骨を所有している。
頭蓋骨を彼女に返すと、周囲は光り輝いて、霊体は消え去るのであった。
これで三人目を成仏させたことになる。
「除霊師も大変ね」
「オンベーシラナンダカナソワカ、これでよしと」
「よくわかってないのに念仏唱えているでしょ?」
「なんだかなぁw」
「ぎゃーてーぎゃーてーはーらーぎゃーてー、でしょ?」
「ぎゃーぎゃーうるさいなぁw」
いいんだよ、こういうのは形さえ整っていれば、あとは霊がどのように受け取るかだ。
そもそも戦慄の島での弔い方など知らん。
俺流に念じてやればいいのだ。念じろ! 灰になった!
あと二人、カジートのム=デシと、ダンマーのゲデネリ・ラルヴェルだ。
どこに頭蓋骨が転がっているのだろうか……?
そして俺たちは、フリンジへ到着した。
外から見る分には、何も変わっていないように見えるが、中では一体何が起きているというのだろうか?
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