ミルカールの遺跡にて ~崩壊のアミュレット~
ディメンシアからマニアへと移動し、そのままニュー・シェオスへと帰還する旅が続いている。
「ここに立ち寄るぞ」
「なんだか寄り道が多いわね」
「一週目は見過ごしたが、よく見たら遺跡の入り口になっていることに気がついた」
「ふ~ん」
最初はニュー・シェオスを目指すことを優先して、ここに壁があったのはわかっていたが、遺跡はスルーしていた。
シェオゴラスに報告するのを急がなければと思うが、オーダーの騎士の出現は個人的にはそんなに脅威とは思わないので、この遺跡を見ていこうと考えたわけだ。
遺跡の数だけ思い出がある、違うか?
石でできた門をくぐると、その先にはキノコのような苔むした岩、そして大きな木。
目立つ場所はその木ぐらいなので、この遺跡もまた木の洞系だろうね。
「なぜこんな木の洞を、石壁で囲んでいるのかしら?」
「恐らく、何か重要な宝が隠されているに違いない」
「宝が無かったらどうするの?」
「君との冒険を宝とする。遺跡の数だけ思い出がある、違うか?」
「それ前聞いた!」
ちっ、緑娘との冒険の思い出は、宝の代わりとしての効果が無くなってしまった。
勲功における感状と同じであって、連発は聞かない言葉なのだ。
この遺跡の内部には、グラマイトは住み着いていない。
その代わり、エリトラやスケイロンなど、モンスター系がうろついていたりする。
ここがシロディールにおける、ミノタウロスなどが出没する遺跡のようなものだろう。
扉を開けば、バリウォグとこんにちは、などということも起こる。
出現と同時に、犬のチロジャルが突っ込んで行くけどね。
木の洞で出来た部分と、石壁で出来た部分が混在している遺跡なのだ。
さて、遺跡の内部では、何やら意味ありげな部屋に辿り着いたりする。
部屋の中央には壺が飾られていて、正面の高台には青白い光を放つかがり火があったりする。
「ぬ、この壺、開かんぞ」
「何か鍵が必要なんじゃないの?」
「ん~、青白い光が何か意味を持っているような……」
高台にあるかがり火を見てみると、そこには松明が一本置かれていた。
「この松明が、青白い光をもたらしているみたいだね」
「それで、どうするの?」
「ん~……」
松明のかがり火と、中央の台座とに関連性あるのかな?
よく見ると、部屋の隅に火のついていないかがり火台があったりするのだ。
「この松明を持っていって、あっちにも火をつけてみたら?」
「ん、そうしてみるか」
「火を移してみたが、何か変わったかしら?」
「ん~……あ、中央の台座で輝いている青白い光の位置が変わった」
「元の台座は、火が消えちゃったね」
これは何か、かがり火と台座に関係がありそうだな。
全てのかがり火に火を灯せば、何か変化が生まれそうだが……
「とりあえず、全部の台座に火をつけてみようか」
――と思ったのだが、短時間で火は消えてしまって、三つ全部を灯すことはできないのであった。
「急いで全部の台座に松明を運んだらどうかしら?」
「それ良いアイデアだね。やってみてくれ」
「嫌よ、めんどくさい」
にーにーにーにーにー……、違う!
そんなわけで、魔法で松明を浮かせて、一気に三か所全部を駆け回ってみるのであった。
確かに周囲の台座に火を灯せば、中央の台座もそれに反応するように輝くのだ。
緑娘は、中央の台座に腰かけて見ているだけ。
犬のチロジャルは、わんわん鳴きながら俺を追いかけてくる。
「よし、全部ついたぞ」
「お疲れ様、結構走るのね」
「それで、何か変わったかな?」
「さっきお尻の下でカチリって音がしたわ」
「どれ?」
俺は壺へと手を伸ばす。
それは同時に、緑娘の股付近に手を伸ばすわけで――
「何よエッチ」
「降りろよ、座っていたら壺を開けられないじゃないか」
「壺とあたしとどっちが大事よ」
「それ、比較対象になるのな」
そんなこと言っていると、壺の蓋でなくて緑娘のお股の蓋を開けるぞ。
――と、年齢制限のかかるようなことを考えてはいけない。
「ぬ、崩壊のアミュレットが入っているぞ」
「よく名前がわかるわね」
「すさまじいぞ、これを身に着けたら武器と防具の耐久が一気に無くなる」
「それで崩壊のアミュレットなのね」
「つけてみてくれ」
「何よエッチ」
そんなわけで、この遺跡で見つけた宝は崩壊のアミュレット。
ある意味危険なアイテムなので、厳重な仕掛けを施して護られていたのだろう。
「崩壊のアミュレットと言えば、あのカジートの店員が欲しがってなかったかしら?」
「そう言えばそんな気がするね。こんなもの使ってどうするのだろうかねぇ」
「後は沈静のズボンね。それを履いたら賢者タイムになると思うわ」
「俺がずっとそのズボンを着用したらどうする?」
「何よこのイ〇ポ!」
「…………(。-`ω´-)」
「わんっ」
後は、さらに遺跡の奥で「ライマークの頭蓋骨」なる特殊なシャレコウベを手に入れたのだった。
「なんでそんな頭蓋骨に興味を示すのよ」
「知っているか? とある戦闘民族は、強敵だった相手を討ち取ると、その頭蓋骨をくりぬいてコレクションにしてしまうと聞く」
「それであなたが頭蓋骨を集めてどうするの?」
「ライマークは偉大な勇者だった。この頭蓋骨は珍品博物館に飾るべきなんだ」
「そんなの絶対要らないって言うわ」
「わからんぞ? 小人族の頭蓋骨も飾っていたじゃないか。既に持っているディンの遺灰も飾ってくれるはずだ。ディンもライマールと同じぐらい勇者だからな」
「そもそも何で名前が分かるのよ」
「なんだかそれっぽい名前してそうな頭蓋骨だろ?」
「全然わかんない」
「わんっ」
勇者かどうか知らないが、ディンの遺灰と同じように特別な人物の頭蓋骨だ――と思う。
既に白骨化しているのに、地の海が残っているのは謎だ。
以上、この遺跡――
名前は不明だが、ここでも重要らしい宝を二つ手に入れたのだった。
石でできた入り口があれば、遺跡の名前はわかるのだけどね。
前の話へ/目次に戻る/次の話へ