鮮血の歓声 中編 ~怪物の魂集め~
さて、クヴァッチに闘技場を建築したいというプロキスの依頼を達成すべく、いろいろと動いているところだ。
プロキスの話では、闘技場の「参加者」を収集するために、クヴァッチの新たな魔術師ギルド支部長であるガーベン・セレに会えと言ってきた。なにやら斬新な方法を試す計画があるとかないとか――
というわけで、クヴァッチの魔術師ギルド支部である。
ブルーマの支部を再建する時は、優秀な支部長を探して世界を旅したものだが、ここの支部長はラミナスさんの推薦だけで決まっている。
こんなに簡単に決めてもいいのか? ――というのもあるが、まぁラミナスさんに任せておいたので問題ないでしょう。
「こんにちは、ガーベンさんですか?」
「おおアークメイジよ、クヴァッチの英雄よ、どっちで呼べばいい?」
「あなたの所属している組織を考えて述べなさい」
「私は魔術師ギルドに所属しているし、シロディールの臣民でもある。前者ならアークメイジ、後者ならクヴァッチの英雄――」
「妙なところで悩むな」
すると、ガーベンはぽんと手を叩いてこちらに笑顔を向けた。
なにやら嫌な予感が――
「そうだ、あんたがグレイ・プリンスと戦うのを見たよ。オークが倒されると――」
「アークメイジと呼べ……(。-`ω´-)」
俺はグランド・チャンピオンをやめるぞーっ!
俺はグランド・チャンピオンを超越するッ! えーと、誰の血を使えばいいのだろうか……? カブトガニかな?
――とまぁ茶番劇は置いといて、ガーベンはプロキスが帝都の闘技場で楽しい一時を過ごしたことを聞いたようで、進んで協力することにしたようだ。
彼の言うには、闘技場の再建には「そこで戦う存在」が必要なのだと。
そこで彼は、様々な種類の怪物の魂を捕獲できる特殊なソウルジェムを製作したようで、それを使えば何度でも怪物を召喚できて闘技場で戦わせるのに十分な数を用意することができると言う。
ただし、魂を捕獲する必要があり、それを俺に依頼してきたわけだ。
「これがソウルジェム、そして怪物の魂を捕獲する特別な魔法をお教えしましょう」
「それで、怪物と言えば、何を捕獲したらよいのかな?」
「そうですね、まずは基本的な所から、クマ、イノシシ、インプ、ライオン、カニ、ネズミ、トロール、そしてオオカミなどでしょう」
「それ怪物違う、ただの動物や。トロールは怪物と呼べるかもしれないが」
「可能でしたら、ミノタウロスやドレモラなど、さらに特殊な怪物の魂を集めて頂ければ助かります。でもたちまちは、最初に述べた基本的な八つでよろしいですよ」
「やってみましょう」
様はハルメアス・モラの動物バージョンみたいなものだ。
人間狩りよりは、獣狩りの方がまだ良心はとがめない物で気分的に楽かな。例えばオオカミとか、襲い掛かってきたところを返り討ちにすればいいからね。
この国は、カニすら襲い掛かってくる修羅の国なのだから……(。-`ω´-)
ちょっとギルドの二階を見に行ってみた。
何も無い……、引越ししてきた直後みたいだね。
それでは、怪物――野獣の魂を集めに行きますか。
ネズミを怪物と呼ぶのには抵抗あるね。巨大な奴ならともかくとして。
………
……
…
まず訪れたのは、ブラヴィルのちょっと北にあるロバーズ・グレン洞穴。
以前戦士ギルドの任務で、インプの胆嚢集めで来た場所だ。
この洞窟には、インプがたくさん居るので、魂を集めるのに苦労しないだろう。
やっていることは、ハルメアス・モラの時と同じで、魂縛の魔法をかけてやっつけること。
人間を退治するのには抵抗があるが、野獣相手だとそれほど抵抗は無い。野獣や動物相手にも抵抗がある者は、菜食主義者になるらしいね。
野菜の虐殺にも抵抗がある人は、霞でも食って仙人になってろという話だ。
「インプの胆嚢を採っておいたぞ、使うか?」
「嫌よ気持ち悪い」
「これを使うと、美容に良くて魅力が上がるらしいぞ」
「そんなのに頼らなくても、あたしは美少女なの」
「言っちゃったよこの娘……(。-`ω´-)」
自分で自分の事を美少女って言い切っちゃうのってどうよ?
どこぞの美少女戦士じゃあるまいしさぁ……
――ってそれ以前に、少女って歳か?
まずはインプの魂を捕獲して、次は湖岸沿いに帝都へ向かう。
そこには襲い掛かってくる凶暴なマッド・クラブ、泥ガニが居るのだ。
でもエルスウェアに生息しているカニは、何故か真っ赤なのだよね。
カニを退治していたら、マウンテン・ライオンも襲い掛かってきたので、ついでに魂縛しておく。
この国に生息しているライオンと言えばこいつ。平野に生息していても、マウンテン・ライオン。アンヴィルの市街地に出現しても、マウンテン・ライオンなのだ。
ちなみにマウンテンデューと言えば、レモン・ライムの風味の弱炭酸飲料という噂だが、まだ見かけたことは無いね。
「何をしているのかしら?」
「カニの肉を集めて、今夜は蟹鍋にするぞ」
「ライオンの肉はどうするの?」
「ん~、固そうだしなぁ。こっちは毛皮だけでいいや」
「毛皮を食べるの? あなた変わっているのね」
「違う」
そんなことをやっているうちに、徐々に日も暮れてきた。
今夜は魔術師大学に戻って休むかな。ジ=スカール先輩にも会っておかなければならないし。
そんなわけで、帝都の城壁外周沿いに進んでいると、オオカミが襲い掛かってきた。
こちらから魂を集めに向かわなくても、向こうから飛び込んできてくれるから楽なものだ。
さらにイノシシまで猪突猛進してきたので、ついでに魂縛しておく。
これで今までに集めた魂は、インプ、カニ、ライオン、オオカミ、イノシシの五つだ。
残るはクマとトロールとネズミ。余裕があれば、他の珍しい怪物も集めて置いてあげよう。
例えばエルスウェアに行けば、ゾウとかシマウマ、ネコが居たはずだ。ネコと言えば、山賊のキャンプにイヌが居たりするね。
逆に羊の魂を集めようとしたら、緑娘がむっちゃ怒ると思うのでやめておこう。
「あなた今、羊さんの魂も集めようと思ったでしょ?」
「とんでもない、羊さんが闘技場に出てきても誰も沸かないよ」
「沸いたら魂縛するのかしら?」
「ちょっとどいてくれ、イノシシの肉を集めるから」
何かと鋭い緑娘なことで。
羊もそうだが、ネズミが闘技場に出てきて沸くのだろうか?
まあよい。
今夜は蟹牡丹鍋にしよう。
うまいもの用意すれば、ジ=スカール先輩も金塊金塊うるさくなくなるだろうからね。ついでに酒も用意してあげよう、例えば菊正とか。
要するに、うまいものを見ると菊正が欲しくなる、辛口の菊正を飲むとうまいものが食いたくなる。うまいものを見るとまた菊正が欲しくなる、辛口の菊正を飲むとまたうまいものが食いたくなる。うまいものを見るとまた菊正が欲しくなる、辛口の菊正を飲むとまたうまいものが食いたくなる。うまいものを見るとまた菊正が欲しくなる、辛口の菊正を飲むとまたうまいものが食いたくなる。うまいものを見るとまた菊正が欲しくなる、辛口の菊正を飲むとまたうまいものが食いたくなる。うまいものを見るとまた菊正が欲しくなる、辛口の菊正を飲むとまたうまいものが食いたくなる――
アル中だな……(。-`ω´-)
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