五つの間 ~アンデッド要塞の攻防~
今回の話は、アンデッドの領域、アイレイド・アフターワールドに七人のエメロ=エルを退治する為に行き、二つの封印を解いて、アンデッド要塞に突入したところからだ。
要塞に入ってすぐの場所には、二体の鎧で身を固めた骨、エルドリッチの騎士が待ち構えていた。つまり、門番と言ったところだ。
門番程度はサクッと退治して、奥へと進む。
そして最初の扉を開けた先には――
「ん、赤い絨毯」
「歓迎されているわね」
「レッドカーペットではなく、血塗られた通路だけどな」
なんとなく、ヴァーミルナの依頼で訪れた、アルクヴェドの塔を思い出すのは気のせいだろうか?
あの塔にも、こんな感じの場所があったような気がするよ。
血の絨毯を過ぎて次の部屋に入ると、そこはちょっとしたホールになっていた。アンデッドのホールとでも名付けておこうか。
そして、タコみたいな触手と、リッチのような姿が。三人目のエメロ=エルかな?
再び魔法合戦となるわけだが、水の中に入ると触手の思う壺だと思うので、入り口付近の高台から狙い撃ちしておく。
ここに居たのは、エメロ=エルの式部官。式武官とは何ぞや?
とにかくこれで、退治したエメロ=エルは三体。残るは四体だね。
さてこのアンデッドのホール。
正方形の部屋になっていて、周囲には八つの扉が並んでいる。
「どの扉から入るのかしら?」
「ラッキーセブンの七番に飛び込もう」
「番号なんて振ってないわ。それに、どの扉から入っても、中の迷路では繋がっていて意味が無いのよ」
「迷路?」
迷っていても仕方が無いので、適当に順番に入っていこう。
~第一の扉 安息の間~
最初に選んだのは、安息の間と呼ばれる場所に通じていた扉。
中にはこのように通路になっていて、エルドリッチの騎士が襲い掛かってくる場所だった。
その通路は、どこかで見たような遺跡そのまんまだった。
骨やゾンビが徘徊しているだけで、特にめぼしいものは無い。
そして通路を進んだ先は、先ほどのアンデッドのホールへと繋がっていただけだ。
つまり、ただの通路だったというわけだね。
~第二の扉 霧氷の間~
二つ目に選んだ扉は、霧氷の間という場所に通じていた。
ここは、洞窟の中だというのに雪が降っているといった謎の場所。
怪談では、トンネルの中なのに雨音がするというのがあるが、それと似たようなものだ。
綿みたいなものが宙を舞っているのではない、降っているのだ。天井から。
そして、お馴染みの首なし像。
レヤウィンにも飾ってあるので、意図的に首無しにしているのだと思う。
城に置いてある物なら、普通すぐに直すよね? だから、首が無いのが正しい形なのだろう。
「首無しの像はどう思う?」
「人を顔で判断しない人の鑑なのじゃないかしら?」
「マゾーガ卿も、顔で判断するなよ。人は顔じゃないからな」
「あれ人の顔じゃないもん」
「オークだからな、仕方が無い」
人は顔じゃないと励まそうとして、間違えて人の顔じゃないと言ってしまうのは、よくある笑い話。
奥の部屋に入ると、突然襲われたりする。
出たな、エメロ=エル!
とまぁいろいろと省略して退治したわけだが、ここに居たのはエメロ=エル厳寒の運び手。
四人目を葬り去ったということだ。その四人目は、氷使い。
あ、ホールに居た三人目の名前を確認するの忘れていた。
「なんかすげー寒くなってきた」
「凍り付いてきているじゃないの、早く出ましょうよ」
「霧氷の間で待ち受けている厳寒の運び手か。バトル物語みたいな展開だな」
霧氷の間は通路に名っていわけではなく、そのまま元来た道を戻ってホールに戻るしかなかった。
要するに、最初に入った安息の間は外れということだね。
~第三の扉 ニーザースパークの塔~
三つ目に選んだ扉を抜けた先は、塔だった。
こんな感じになっていると、やっぱりアルクヴェドの塔みたいだね。
あそこも洞窟だったり部屋だったり塔だったり外界だったりと、突然いろいろと変わる悪夢のような場所だったからね。いや、悪夢だったか。
そして、塔の最上階には五人目のエメロ=エルが待ち構えていた。ここの敵は、主に雷術を使ってくるのだ。
それでは、俺が持つ雷術の最高峰、霊峰の指改々を放ってやろう。
再び壮絶な魔法合戦となるが、同じ展開だと飽きてくるものだ。
それに、雷同士ではお互いに得意分野らしくて、なかなか勝負がつかない。
というわけで、マニマルコ戦以来の突き技を披露してやろう。奥の手の中の奥の手だ。
この技は、一突きするだけでお前はもう死んでいるみたいな感じになるわけだ。相手はリッチだから、最初から死んでいる存在だけけどね。
エメロ=エルの冥界の君主という名前らしいが、雷の塔で冥界の君主というのが分からん。雷神とかでもよいのでは?
以上、ニーザースパークの塔終わり。
名前の意味である「どちらでもない閃光」とは一体何だったのだろうね。
これで五人のエメロ=エルを葬った。あと二人!
~第四の扉 業火の間~
四つ目に選んだ扉を抜けた先は、業火の間と呼ばれる場所。そのまんま分かりやすい場所だ。
炎で包まれたエルドリッチの騎士が襲い掛かってきたり、所々岩の間から黒鉛が立ち込めている。
火山の地下洞窟ってところだね。
そして奥で待ち構えていたのは、エメロ=エル炎の支配者。霧氷の間と対になっている感じだね。
燃えるゾンビや、ブリムストーン・スプライトと呼ばれている火の玉が襲い掛かってくる。
ならばこちらは、氷系の術であるフリーズ・レイで対抗だ。
敵が直線状に並んだところに一発ぶち込む。実にいいタイミングで、いいポイントを衝いているだろう?
こうして、六人目のエメロ=エルも撃破したのであった。
あと一人コールよろしく!
~第五の扉 いきどまり~
五つ目に選んだ扉を開けると、そこは行き止まりでした。
う~ん、ここはやっぱりアルクヴェドの塔だ。
あそこにも、扉を開いたらその先はすぐに行き止まりだった場所があったはず。
「扉をつける方向が逆なのじゃないのかしら?」
「反対に開いたら道が開ける? それ何てウブリエット?」
「とりあえず、入り口まで案内してあげるわ」
「話が見えんぞ」
~第六の扉 真なる闇の間~
これが最後の扉、真なる闇の間だ。
いきなりシャドウという影の騎士が襲い掛かってきたりするが、地面に映る影が本体なので、そちらを攻撃――とはならないけどね。
この通路は、雰囲気としては、死霊術師の洞窟そのものであった。
アンデッド集団だから、近いものがあるのだろうけどね。
こういうところがやっぱり理解できない。これが改善されない限り、死霊術は禁止というハンニバルの意思を継ぐしかないのであろう。
そして通路の奥、最深部手前の扉はこんな感じ。
ここも爪の門か? と思ったけど、普通に入ることができたのである。
それではおじゃましま――
こいつらは、話し合いの余地は無いということですか?
最後の一人になってしまったので、必死になっているのですか?
ここに居るのはエメロ=エルのリッチ・キング。
全部で、首領、司祭、式部官、炎の支配者、厳寒の運び手、冥界の君主、リッチ・キングとなっていた。
君主とキングはどっちが偉いのかな?
リッチ・キングと冥界の君主が双璧。それから首領と続いて、下っ端が司祭、式部官、炎の支配者、厳寒の運び手って感じだね。
エルドリッチの騎士は緑娘に任せて、俺はエメロ=エルに集中砲火を浴びせることにした。
以上、七人のエメロ=エルは、全て始末できましたとさ。
エメロ=エルの恐怖に終止符を打った。
これで、アンテッド集団が、表の世界に攻め込んでくる心配は無いだろう。
得たものと言えば、珍しいものとしては、錬金術素材としてエルドリッチの灰と触手の筋の二つぐらい。後は、炎のエッセンスとか氷のエッセンスとかでした。
真なる闇の間にあった魔方陣。これを使って、元の世界に戻れるようだ。
こんな陰気な世界は、さっさとおさらばしよう。
「ややっ、戻ってきた!」
「衛兵さんご苦労。この魔方陣はたぶんもう安全だから、念のために部屋を埋めて対処していたら大丈夫ですよ」
「ありがとうございます、さっそく部屋を封印させます!」
魔方陣を潜り抜けると、出発元であるブラヴィルの地下にある一室へ戻ってきたのであった。
こうして、アンデッドの領域における戦いは終わった。
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