鹿探し ~狙われたパンダさん~
「ダケイルさん、白い鹿はどこに出ていますか?」
「見える、見えるぞよ。ここから少し北に行ったブランケン・マーチ辺りに反応が出ておる」
「ブランケンマーチ?」
「ウォーターズ・エッジの対岸側にある、小さな集落じゃ」
ダゲイルさんの予言では、動物園最後の行方不明である白鹿は、ブランケン・マーチというところに居るらしい。
「ところでアークメイジよ、新たな予言が下っておるのだが?」
「それはオブリビオンの脅威が過ぎた後に対応します」
「それに関することである。オブリビオン・ゲートを三つ以上閉じたら、私が神秘魔法のトレーニングをして差し上げるであろう」
「それ、予言じゃなくてダゲイルさんが決めたことですよね? というか、俺既にゲート五つ閉じてますよ」
「ではトレーニングを開始しよう」
「急いでいるので、また今度!」
というわけで、行きの対岸にある街道を通って、帝都に戻りますか。
「ブランケン・マーチって、フンガーフンガー言ってそうな村ね」
「そこ、大勢の人が勘違いするポイントな。博士の名前とモンスターの名前を混同しておる」
エルスウェアから帰還したときの大移動が、再び始まった。
らむたんサーカス団の再来で、ある。
そして、小さな集落発見。ブランケン・マーチだ。
ん、確かに白い生き物が紛れ込んでいるね。
「その白鹿、引き取りに参りました」
「おお、丁度よかった。突然村に飛び込んできて、暴れまわって困っていたところだ」
「オブリビオン・ゲートにやられて、恐慌状態だったからねぇ……」
頭がマゾーガ卿そっくりなオークが、白鹿を確保していた――というより、紛れ込んできて困っていたというべきか。
こうして、あっさりと白鹿を回収できたのであった。
シマウマの時みたいに、デイドラに襲われてなくてよかったというものだ。
さて、これで後は帝都に戻って――
「やだ! やだ! 離してよーっ! これミーシャの! 取っちゃだめーっ!」
「いやいやいやいや、これはオラのもんだーっ!」
突然ミーシャの悲鳴が、小さな村に響き渡る。
何事だ?!
振り返ると、そこにはぬいぐるみのパンダさんを巡る攻防が展開されていた。
何をやっているのだ?! って誰だあいつは?!
またアイツか……(。-`ω´-)
そうか、あれから数週間。
ぬいぐるみ泥棒程度では、もう出所したのな……
こいつはこの辺りをうろうろしているということか。迷惑な奴だなぁ。
ミーシャのぬいぐるみを奪う以外の悪さはしないので、衛兵には放置されがちだが、ミーシャにとってはとんでもない奴だ。
「やだやだっ! パンダさん取っちゃダメーっ!」
「オラのパンダさんを奪ったのは、お前の方だー!」
「なんでそうなるのよーっ!」
「返せ! オラのパンダさんを返せーっ!」
「ふえ~んっ!」
なぜこのガキオヤジは、こんなに自信満々でぬいぐるみの所有を主張するのだろうか。
本当にこのガキオヤジが、正当なぬいぐるみの所有者で、ミーシャが奪ったとなると……
――ありえないよな。
よく見たらこのガキオヤジ、グラアシア人だった。う~む……、やっぱこの一族には、頭のおかしいのが偏っているな……(。-`ω´-)
「きんもいんじゃこの変態オヤジ!!」
「たわぱっ!」
ま、そうなるわなぁ。
まるで前回の時と同じような展開。
デイドラの侵攻だけでなく、ぬいぐるみ泥棒の襲撃にも備えなければならない。
ミーシャも気の毒なこったw
「井戸の蓋開けて、落としてやる!」
「まあそういきり立つな。帝都に連れて行ったら、ミーシャもこんな奴に付き纏われなくて済むってもんだ」
「牢屋に入れてよ!」
「レヤウィンの牢屋より、帝都の牢屋の方が堅牢だからな。帝都でやられたら捕まえてやればよい」
このままでは、ぬいぐるみ泥棒をぶっ殺しかねない緑娘を、なんとかなだめて先へ急ごうとする。
とは言うものも、パン一個盗んだだけで、「血で購ってもらおう!」と本気で殺しにかかる衛兵もいるからなぁ。
軽犯罪は命がけで対応するのに、シロディールの脅威に対しては完全スルー。
改めて、帝国の衛兵に対する役立たずさを呪う俺であった。
さて、気を取り直して、帝都への旅を再開。
どうしてこんなに羊が居るのだろうねぇ……
――などと、久々に広い馬の背を堪能するのであった。
はい、オブリビオン・ゲート発見。
現在放置しているゲート、八つに到達。もう全部閉じるのは諦めようかな?
王者のアミュレットを奪還したら、まとめて全部閉じてくれたらいいのだけどね。
豹の口付近の橋近くにもゲートを発見。九つ目!
ちなみにこの橋の下には、トロールが溺れ死んでいて、謎の手紙をしたためていたりする。
謎の手紙が気になるか?
ほれ、これんがそうだ。トロールも文字が書けるという驚きの事実だったさ。
帝都の近くへ戻ってきたところで、さらにゲートを発見。十個目!
位置的にクロップスフォードが危ないが、後回しにしても――大丈夫かな?
どっちにせよ、まずはこいつらを帝都に届けてから行動だ。
しかし、帝都南にある長い橋を渡っているときに、それを発見した。
まずいな、魔術師大学のすぐ南にゲートができている。
リリィさんが移動したので、それを狙って沸いて来たとでも言うのだろうか?
あれだけはさっさと閉じておこうと考えた。