リバーホールドにて ~行方不明の子供~
さて、しばらくの間またハンターギルドの仕事を連続でこなしていたが、オグラから新しい仕事は無いと聞いたので、再びリバーホールドへと向かうことにした。
そろそろシロディールに戻ろうかな、とも考えている。
盗賊ギルドをこの先どうするかはまだ思いついていないが、十分気晴らしになったものだ。
エルスウェアの旅行記も、最終章に突入したかな?
リバーホールドへ向かう途中、また新しい石像を見つけた。
これはシロディールでも、東部連峰でも見かけたことの無い新しい物だ。
ジ=スカール先輩に聞いたところ、ケナルシィの祭殿だというらしいが、また新しい神様が出てきたな。
ケナルシィとは、空や風を司るカジートの神だそうだ。女神であるとも言われている。
それで高台に祭られているわけなのだね。
そんなこんなで、リバーホールドに着いた時は、すっかり辺りは暗くなっていた。
とりあえずサーカス団は町の外で待機させておくことにした。
この町は細い階段や、木でできた吊橋が多い。
ゾウなど町の中に連れ込んだら、事故が発生することぐらいアホにでもわかるだろう。
リバーホールドの町へと入ったところ――
「旅の者! いい所に来た、どうか手伝って欲しいのだ!」
「衛兵に頼めないのか?」
「これは旅の者にしか頼めないことなのだ!」
「なんかグラアシア臭がするが、伺おう」
ナウシス・ディオと名乗った兵士は、困り事の相談をしてきた。
なんでも、そこら中を遊びまわっていた息子が、2~3日前から見当たらなくなってしまったそうだ。
要するに、行方不明の子供探しってわけだ。
こんなのこそ衛兵の仕事だと思うけど、何だろうね、衛兵の仕事。
うろうろするだけで、小麦を一本盗んだらスターップとか言って牢屋にぶち込む仕事しかしてないのかな?
なにはともあれ、今日はもう遅いので、一晩泊まってから明日捜査することにする。
幸いリバーホールドにも自宅があるからね。
「で、お人好しのラムリーザは、人探しもやってあげるんだ」
「情けは人のためならずって言うだろ? 人に対して情けを掛けておけば,巡り巡って自分に良い報いが返ってくるというものだ」
「人に情けを掛けて助けてやることは,結局はその人のためにならないってことじゃないのかしら?」
「どっちや? 先輩はどっちだと思いますか?」
「人に対して情けを掛けておけば,巡り巡って自分に良い報いが返ってくるので、結果的に自分のためであり人のためではない」
「なんかめんどくさい理屈やな。で、リンゴうまいですか?」
「カジートはリンゴしか食べない」
「朝からエール飲んでいたことがあるくせに!」
とまぁ、どうでもいい会話はそこそこにして、明日までゆっくり休むぞ、と。
………
……
…
清々しい朝を、洞窟の中に掘られた家で向かえる。
明るい家に、住みたいなぁ……
「おはよう! 何か進展はあったかね?」
「フーアーユー? オ前ハダレダ、ナニヲシニ来タ?」
「私はナウシス・ディオだが? 息子は見つかったかね?」
「鎧脱いだのかよ。そしてこれから調査するところだよ!」
「それよりも聞いてくれ。あんたがグレイ・プリンスと戦うのを見たよ! オークが倒されると思った者など居なかったのに、あんたはそれを皆に見せ付けてやったんだ! ハハハハ!」
「情報が古いわ!」
というわけで、女王様から聞き込み。
しかし残念ながら、行方不明の子供は知らないとのことだった。
まぁ末端の事件までは流石に知らないか。
「それよりも聞いてくれ。あんたがグレイ・プリンスと――」
「しっ、失礼します!」
なんだ?
ここは帝都から離れた地方だから、数週間遅れで放送でもされたのか?
数週間前のグレイ・プリンスとの死闘を、昨日見たかのように騒いでいる。
前回この町に来たときには、そのような話は一切していなかったのにね……
しかし町をぶらぶらしているひとに聞いても、知らないと答えるだけであった。
これはまさか――
「何者かの力が働いて、俺を行方不明の息子に会わせないようにしているのだ」
「ナウシスの妄想に出てくる息子のことかしら?」
「そうだ、実は息子など存在しないのだ。ですよね、先輩?」
「ジ=スカールは、その息子はオークレストの市場にいると思う」
「それニラーシャ」
というわけで、ニラーシャの情報が手に入ったのと同じ宿屋に行ってみた。
ジンクスみたいなものが存在するのも確かなのだ。
今回は、ロブリン・テラーノというダークエルフが宿で休んでいた。
そして情報では、「ヒトの子供なら、街道で見つけたな。たぶん君が言っていた子供だろう」とのことだった。
監視塔を西へ行った所にある滝で遊んでいたというのだ。
「まさかあの追い剥ぎ?」
「追い剥ぎはカジートだったけど、ナウシスはインペリアルじゃないの」
「世の中にはチェンジリングというものがあってだな、人間の両親からカジートが生まれることも無いわけではない?」
「あなたとあたしの間には何が生まれるのかしら?」
「人類を超越した存在、スターチャイルドが生まれるのだ……(。-`ω´-)」
「何よそれ?!」
とにかく情報が手に入ったので、西にある滝へと目指してみることにした。
というわけで、西の滝である。
この橋の向こう側に滝つぼがある。
「自殺滝の宝、8G」
「うるさいよ」
緑娘はしょうもないことを覚えている。
この分だと、老後まで鉄のダガーについてウダウダ言われそうな気がするなぁ……
滝つぼを覗いてみるが、自殺滝を経験済みなのでこんなの大した事無い。
俺からしたら、こんなのは滑り台みたいなものだ。
「誰かが倒れているわ」
「嫌な予感がしまくりで困ったな……(。-`ω´-)」
「やれやれ、このことをどう報告したら良いんだよ……」
「何か形見のものを持ち帰って報告するしかないわね」
「息子が滝つぼに落ちて死んだなんて言い出し難いな、君が代わりに言ってくれよ」
「いいえ、それはラムリーザ、あなたの仕事よ。自分の口で言わなかったら、言った時より後悔するわよ」
「何か前もそんなこと言わなかったか?!」
これはあれだな。
衛兵はこの息子が滝つぼに落ちて死んでいるのを知っていた。
だから、ナウシスの依頼を断り続けていたのだ。
そこに事情をしらない旅人がやってきた。ナウシスは、何も知らない旅人に依頼を取り付けることができたのだ。
汚いな、さすが衛兵きたない。
………
……
…
「息子は見つかったのか?!」
「このアミュレットは、息子さんのものですか?」
「ああ、そうだが……、いったいどこで見つけてきたんだ?」
「滝つぼに落ちて、お星様になっていました……(。-`ω´-)」
「なんだって?! そんな、嘘だろう? 心から愛していた息子が……、最悪の予感が当たるだなんて……」
「なぜ衛兵に頼まなかったのかな?」
「だれも手伝ってくれなくて、衛兵など私の顔を悲しそうな目で見つめるだけだったし……」
「俺は衛兵を信頼せずに、自分の力で物事を解決すると、心に決めた瞬間であった!」
「な、なんだ急に?! とにかくありがとう、これで亡骸は取り戻せるし、きちんと眠りにも付かせてやれる」
「グレイ・フォックスは、レックス隊長に頼ることなく、自分自身の力で蹴りをつけてやるんだ!」
俺はここに来て、新たな使命に目覚めるのであった。
衛兵が役に立たないのなら、俺が何とかするしかない。
俺には魔術師ギルドも戦士ギルドもある。
二つのギルドが力を合わせれば、盗賊ギルド一つなどに負けるわけがない。
待ってろよグレイ・フォックス!
オークが倒されると思った者など居なかったのに、俺はそれを皆に見せ付けてやったんだ! ハッハハハ!
――って、それはグレイ・プリンスだった(。-`ω´-)
この時、ラムリーザの運命の歯車が狂い始めたことに気が付くものは、自分自身を含めて誰も居なかったので、ある――
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