目指せ東部連峰 ~辺境の道~
スキングラード南東の森の中にある一軒家、そこにマジッククリエイターリリィが住んでいる。
何かと物知り、特に古代の遺物の情報に詳しく、タスラの地下などから神々の力という遺物を手に入れたりしてきた。
今回は遺物ではなく、合法的に盗める良い方法は無いかという、極めてブラックに近いグレーな事を聞きに行くことにした。
グレイ・フォックスに近づくために盗賊ギルドに潜入しているのだが、重要な任務に取り掛かるには小さな盗みを繰り返してギルドに貢献しなければダメだというのだ。
大きな悪を隠すには小さな悪を広めろというわけではないが、市民のためを思って盗賊ギルドを潰すために潜入した以上、できるだけ市民に迷惑はかけたくない。
そこで所有者が死んだり失踪したりで、持ち主の居ない物を盗むことで被害が出ないようにしていたのだが、そろそろ限界に近くなってしまった。
グラアシアの家も、アルノアの家も既に空っぽ。
そろそろ新しい盗み場所を模索しなければならないのだが――
しかしいつもの家に行くと、家の前がなんだか妙なことになっていた。
ゴブリン?
「リリィさん、これはいったい?」
「あらアークメイジ、いらっしゃい」
「なんでゴブリンの山が?」
「近くに住み着いたみたいだったので、巣を見つけて退治してやったら、残党が襲ってきたので返り討ちにしたのよ」
「さすがですね……(。-`ω´-)」
ハルムズ・フォリーではゴブリンの襲撃で妻を殺されたとか言っていたが、さすがリリィさんは壊滅させてしまったか。
いいじゃないか、魔術師ギルドにも有能な人材が居る。
ゴブリンと死霊術師とでは実力が違うから何とも言えないけどね。
「ところでアークメイジ、フローミルの氷杖はご存知ですか?」
「フロスキーの杖なら知ってますよ」
「何でしょうか? 教えてください」
「……ごめん、知りません(。-`ω´-)」
リリィの話では、フローミルの氷杖という古代の遺物が、東部連峰の地に隠されているという話だった。
それを探し出せば、ギルドにとって大きな力になるのだとか。
そんな杖があったとは知らなかったぞ?
まぁ魔術師ギルドの連中は、個人で勝手に研究しているからなぁ。
全てのギルドメンバーが何をしているか、アークメイジの俺ですら把握できていなかったりする。
「フローミルの氷杖も古代の遺物の一つ、獲得しておくべきだと思うのよ」
「リリィさんは取りに行かないのですか?」
「私はここで研究を続けます。アークメイジも気分転換に行ってみたらどうかしら? そろそろ盗み場所に困っていることでしょう?」
「よく分かっているなぁ」
「他にも失われた寺院等、調べておいたらよい場所があるのよ。ついでに僻地で盗みをすれば、誰にも見つからないよ」
「変な理屈ですが、いろいろと行き詰っていたのも事実、東部連峰に向かってみましょう」
そんなわけで、気分転換がてら、東部連峰に向かうことになったのである。
東部連峰――
そこは数千年にわたってシロディール、モローウィンド、ブラックマーシュに居住した人々により大規模に使用された巨大な地域である。
場所はシロディールの東のはずれ、東の隣国モローウィンドとの国境付近に広がっている。
「東部連峰へ行く道は、クロップスフォードからレヤウィンに向かう南の道の途中にあります。東に向かう道が見つかるはずです」
リリィから聞いた話から判断するに、東部連峰へ行く道はここのはずだ。
丁度東側から来た場合、石畳の道に入ってすぐの場所に立て札があり、インペリアルシティとレヤウィンへの行き道がわかるようになっている。
場所を地図で示すとこの辺り。
ここから東へ向かうと、インペリアルブリッジの宿屋へ向かったときに使った川の上流に向かうことになるね。
シロディールとモローウィンドの間を繋げる東部連峰の経路は、3つの砦が建てられたそうな。
それが東部経路防衛システムとして知られているものである。
一つは禁断の修道院近くに、そして他の二つはバルクウォード砦の北西近くに建てられているらしい。
その中の一つである追憶砦は、防衛システムからもっとも近い砦であり、もっとも損なわれていないというのだ。
見張りが一人いる砦に到着。
これは三つの砦の一つだろうか?
しかしこの砦は割りと新しい感じであった。
リリィの話では、三砦はもっと古い感じであり、ここはただの軍の前哨地であるようだ。
砦の中もなかなか小奇麗である。
ここから物を盗めばいいのだろうか?
とまぁ単独での窃盗は後で考えるとして、東へ進んでいくことにした。
東への道をしばらく進んでいくと、左側に砦、正面に橋がかかっている場所にたどり着いた。
恐らくここが、インペリアルブリッジの宿屋に面している川の上流なのだろう。
橋を過ぎると山道へと差し掛かり、周囲はほとんど人気が無くなってしまった。
行く手には、アイレイドの遺跡でお馴染みの大理石が見え始めている。
その遺跡の傍には立て札が立てられていて、インペリアルシティ行きとモローウィンド行きになっていた。
確か東部連峰はシロディールとモローウィンドの間にあると聞いていたので、このモローウィンドという所を目指しているとたどり着くのだろう。
ここにあるアイレイドの遺跡、周囲の水辺が奇麗だったりするね。
遺跡の中はゾンビか幽霊か死霊術師だけど。
遺跡からさらに東へ進むと、なにやら人工の壁が現れたりしていた。
そろそろ居住区が近く、東部連峰に近づいたのかな?
えーと、ナーシス? ストームホールド? モローウィンド・ボーダー・チェックポイント?
境界検問所ってところかな?
まぁモローウィンドを目指そう。
しかし目の前にあるのは廃墟だった。
建物の手前には、隕石のようなものが落ちていたりする。メテオの魔法でも使ったか?
ひとまず調査は後回しにして、さらに東を目指す。
その先には、再び砦と岩で潰された建物。
この砦が三砦の一つ――
いや、死霊術師の巣窟だな……(。-`ω´-)
そして近くには、馬が倒れていたりする。
商隊が襲われた感じか? 周囲に品物が飛び散っている。
盗品には――ならない。お椀やコップは売っても値がつかないのだ……
気分転換がてらのつもりで来てみたが、この地にもいろいろと問題が発生していそうですな。
なんだっけ目的は?
確か古代の遺物、フローミルの氷杖を探し出すということだったかな?
そしてようやく、集落らしき場所にたどり着いたのであった。
ひとまずはこの農場かな? で一休みすることにしようか。
前の話へ/目次に戻る/次の話へ