彷徨の学者 ~デイドラの研究?~
「ちょうど良いところに来たな。新しい依頼が入ったぞ」
アンヴィル、戦士ギルドにて。
なんか俺たちの到着を待っていたかのように、アザーンから依頼の話が舞い込んできた。
他にもギルド内をうろうろしているだけの人は居るけど、仕事をするのは俺たちだけのようだ。
なにやらこの国のギルドについて、嫌な予感がしてきたものだ。
めんどくさい仕事は新入りに押し付ける。昇進という名の報酬を与えると、喜んでどんどん雑用をこなしてくれる。最終的には昇進が行き着いて、ギルドの最高峰まで登り詰めるが、相変わらず雑用をしなければならないのはその新入りである。アークメイジの俺が良い例だ。
ギルドの古株はそれを知っているから、仕事に興味が無いフリをしてギルド内をうろうろしているだけ。
ひょっとして、ギルドメンバーは皆アークメイジと戦士ギルドのマスターだけなのではなかろうか?
ギルドを登り詰めて、さらに新入りが入ると仕事から解放される。まだ昇進しきっていない新人だけが、仕事を押し付けられる。
さすがにそれはないか……(。-`ω´-)
さて、アザーンが持ってきた仕事は、どうやら人の護衛らしい。
アリノールのエラント? イランテ? の護衛。なにやらデイドラ信仰の研究に勤しんでいる人らしい。
ブリットルロック洞穴で彼女と合流し、祭壇を探す手助けと護衛が今回の任務だ。
デイドラ、か……(。-`ω´-)
メファーラじゃありませんように、シェオゴラスじゃありませんように、サングインじゃありませんように。
というわけで、ブリットルロック洞穴である。外観が水源洞窟やブランブルポイント洞穴と同じと言ってはいけない。
デイドラ信仰はあまり気が進まないが、これは緑娘テフラの仕事だ。俺には関係ない、ということにしておこう。
洞穴に入ってすぐの所で、一人の女性が待っていた。彼女がアリノールだっけ? エラントだっけ? イランテだっけ? まあいいや。
「戦士ギルドの方ですね。よかった、やっと調査ができます。ここはデイドラにまつわる興味深い遺跡です」
「念のためにお尋ねしますが、デイドラの何の祭壇があるのですか?」
「それを調べに行くのです」
「……(。-`ω´-)」
まあいい。
緑娘、護衛は任せたぞ。
会話が終わると、アリノールはスタスタと洞穴の奥へと一人で進み始めてしまった。
こらこら、せめて俺たちの後ろからついてくるとか――、急ごう。
デイドラに関係がある洞穴ということで、出てくる敵はデイドラの護衛(?)のような奴らだ。
さすがに敵の数が多いのと、エラントの戦力が期待できないので、俺も援護射撃を撃っておく。
見よ、一撃のビームで二匹の敵を同時に仕留めたぞ。
敵を退治すると、イランテは何事も無かったかのように奥へと進んで行く。
護衛されようという気はあるのだろうか?
「ほら急げ、彼女は先に進んで行っているぞ」
「あの人の名前何? アリノール? エラント? イランテ?」
「知らん、アリノールのエラントだかイランテだか、俺にもよく分からないんだ」
「ミドリムスメって何?」
「――髪の毛が緑色の娘のことだ(。-`ω´-)」
「ちょっとそれ!」
もう開き直ることにした。
どうせ言い間違えるのなら、緑娘にも緑娘だということを自覚させてやれ。
名前を秘密にしていた緑娘が悪いのだ。最初から自己紹介してくれていたら――って、俺が知っているはずだったんだよな……
まあいい、急ぐぞ!
今回の敵は、鎧で身を固めた奴と雷のゴーレム。
緑娘は素早く突撃して、魔術師ギルド手製の魔剣で敵をやっつけた。
リリィさんに新しく貰った魔力銃は、残念ながら使い道が無い。緑娘には重すぎるし、俺には霊峰の指がある。
ここが祭壇らしく、アリノールのイランテはこれ以上先には進まないようだ。
「素晴らしいわ、典型的なデイドラよ。ここまでご苦労様でした、私は調査を続けます」
「どういたしまして」
緑娘、当然ながら女性相手だと媚びた口調にならないのな。
これが相手が男性なら、絶対に「どういたしましてぇ」ってなっているはずだ。
祭壇の調査には時間がかかるらしく、俺達はもう帰ってもよいということになった。せめて何のデイドラかは確認しておきたかったがまあいいか。
報酬に「2920 暁星の月(1巻)」という本をもらった。また暇なときに読んでおくよ――ってか、緑娘が読むべきだ。俺の報酬じゃない。
「やれやれ、厄介なデイドラじゃなければよいが」
「あたしも見たペライトとか?」
「いやあれはかなり良心的なデイドラだ。もっと酷いのが居るから気をつけろよな」
「ねぇ、あたしたちも何か信仰の対象を決めてみない?」
「即答は避ける。まずはこの国の神を知るべきだ。デイドラ以外にもなんだっけ? 九大神だっけ? そういうのもあるみたいだから、全部知ってから慎重に決めよう」
俺の知っている範囲で、緑娘っぽい神は……
う~ん、望みや力の実現を司るクラヴィカス・ヴァイルか、破壊、力、革命を司るメエルーンズ・デイゴンか?
この娘、実力や野望値がかなり高いからなぁ。
俺は何かだって?
……ヴァーミルナでいいよ、この世界は全て夢の出来事なんだ。
そして俺の存在も……
――などと言えば、なんかかっこよくないか?
以上、今回の仕事は終わり。
次の仕事はシェイディンハルのバーズからあるらしい。
またシロディール大横断か!
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