アザニ・ブラックハート 中編 ~アルペニア~
翌朝、俺達はコロールからレヤウィンへと旅立った。
ほんと、あっち行ったりこっち行ったりだ。
朝日を正面にして、相変わらず二人乗り。
馬車でも作ろうかのぉ……
「レヤウィンと言えばミーシャね」
「ああ、そういえばそんな娘も居たなぁ」
「ねぇ、ミーシャに会いに行こうよ」
「仕事が終わったらな」
奥に見える小さな島、あそこがミーシャのお気に入りだったっけ?
俺がアリーレさんと会おうとしたら文句ばっかり言うのに、緑娘とミーシャと会うのは認めろというのかね?
レヤウィンの戦士ギルドで、オレインから何の話があるのかと思っていたら、ただ一言「アルペニアを調べる必要があるから行こう」とだけだった。
どうした、カジートの弓兵。じろじろ見ていて、俺の顔に何かついているかい?
「オレインさぁん、アルペニアってどこなのかしら?」
「地図は持っていないのか? 印をつけてやろう」
緑娘は地図を持っていないようなので、代わりに俺の地図を出してやった。
この地図も、いろいろと地名が書き込まれていって分かりやすくなってきたもんだ。
ここか、ノクターナルの祭殿の少し北だな。
ノクターナルは、デイドラの中ではまともな部類だった。失った目を探し出すだけで済んだからな。
どうでもいいが、緑娘のおっぱいは相変わらずやばいな……(。-`ω´-)
レヤウィンの町から出て北へ向かう途中、何故か緑娘は街道を西へ外れて水辺を進んでいく。
その方向にはアメリオンの墓場があるのだが、なぜわざわざ水辺を――
「やっほーっ!」
――これか(。-`ω´-)
小島に向かって手を振る緑娘。
ミーシャも気づいたようだ。相変わらずパンダさんと一緒だねぇ。
「あたしここに残るから、ラムリーザとオレインさんで任務こなしてきてよ」
「そうなると、昇進するのはアークメイジだけになるぞ?」
「あ、それダメ! やっぱり行く」
何がやりたいのやら。
何度も言うが、仕事が終わってからゆっくりしたらよかろうに。
ミーシャも大人の女性なら一緒に旅へ連れて行ってもいいのだが、たぶんミーシャが大人なら緑娘は俺に会わせたくなくなるはずだ。めんどくさい娘だこと。
ってかまたパンダさん取られるかもしれないのに。魔術師ギルドも、護衛の一人ぐらいつけてやればいいのにね。
俺が進言してやるか? ダケイルさんに――やっぱパス……(。-`ω´-)
………
……
…
というわけで、ノクターナルの祭殿を通り過ぎた先にあるアイレイドの遺跡、アルペニアだ。
この遺跡が、ブラックハートの根城らしい。アイレイドの遺跡を根城にするなんて、それだと死霊術師じゃないのかね?
アルペニアの中は、普通にこれまで見てきたようなアイレイドの遺跡だ。
ネズミや泥蟹がやたらと出てくるが、こんなところに人が住んでいるのかね?
ゾンビが出てこないから死霊術師は居ないとしても、ネズミとか駆除されて居ないしなぁ……
明らかに怪しい場所だ。
天井から無数の針が突き出ていて、床には血溜まり。
賭けてもいいぞ、絶対に床がせり上がって串刺しになる。そう、フィスラゲイルのように……
明らかに怪しい場所だ(二度目)
天井から大きな刃がぶら下がっている。
賭けてもいいぞ、急いで通り抜けようとしたら刃が落ちてくる。そう、ギロチンのように……
そうは言っても、他に進むところは無いので刃をかわしつつ進むしかない。
明らかに怪しくない場所だ(意味不明)
奥にあったのは、アイレイドの貯蔵庫。
以上、これだけ。アルペニアには、全く人の気配はありませんでした。
居るのはネズミと泥蟹だけ。山賊や死霊術師すら居ませんでしたとさ。
「何もねぇ! やはりそうか! アザニ・ブラックハートにここにはいねぇ、生死に関わらずな」
「何よ! あなたがここがブラックハートとの根城だって決め付けていただけじゃないのよ!」
「俺も騙されていたんだ、傭兵共め! 戦闘なんてなかった。アザニは、ブラックウッド商会と取り引きしたに違いない。きっと買収されたんだろう」
「どういうことよ!」
「連中はアルゴスの宝剣を手に入れ報酬を受け取る一方で、アザニに依頼主の居場所を教えたんだ。ブラックハートがすぐに宝剣を取り戻しに行けるようにな」
「では、どうするっていうの?」
「ブラックハートを見つけ、宝剣を取り戻す。この任務にケリをつけ、ここで起こったことをシロディール中に知らしめる」
「シロディールってなぁに?」
「…………」
突然騒ぎ出したオレインさんと、相手をする緑娘の会話を聞いていただけだが、そっか、緑娘はまだこの国の名前を覚えておらんのか。
ここはフォローを入れておかんとな。
「オレインさん、ミ――テフラは少々記憶喪失にかかっておりまして、後で俺が教えておきますので話を進めてください」
「何よ! 記憶喪失はあなたじゃないの! あたしとの甘い夜を思い出して!」
「…………(。-`ω´-)」
よけい話がめんどくさくなってしまった。
「と、とにかく! ブラックハートはアイレイド遺跡フェチでな。ここから北にアタタールという別の遺跡がある。奴はきっと、そこに拠点を移したに違いない」
「テフラは羊フェチ――、いやなんでもないです。話を進めてください」
「よし、案内しよう。ついてこい」
そういうわけで、アルペニアの遺跡を後にして、今度はアタタールという遺跡に向かうことになったのである。
続く――
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