ヴィルヴェリンにて ~潜む死霊術師~
さて、レヤウィンでやることは終わったので、コロールへ戻ってモドリンに報告だ。
移動はユニコーンで一気に行ってしまうことにする。
どうも戦士ギルドの仕事は国中を駆け巡らなければならないようなので、ちんたら徒歩で行ったり来たりしていたら大変だ。
緑娘テフラも、ユニコーンに二人乗りなら乗ってもいいとか言っている。
非処女と男を乗せるこいつがユニコーンなのかどうか怪しくなってきたけどな。
コロールの戦士ギルド本部では食事中の模様。ご一緒して報告も食事をしながら行ったりする。
「問題の理由は、仕事をブラックウツド商会ってところに取られて仕事が無いから自棄酒しているって感じだったわぁん」
わぁんとはなんだわぁんとは。普通にしゃべれ。
「そうか、ブラックウッド商会はレヤウィンにかなりの地盤を築いているようだな、くそ!」
「食事中にくそとは何ですか、お行儀の悪い」
ギルドマスターのドントンに怒られるモドリン。
「よし、今回の貢献により、お前はギルドの剣士、ソードマンのランクに昇格だ」
「やったぁラムリーザ、あたしソードマンになったよ!」
「ソードガールではないのな。まんだけにマンかね? こほん……(。-`ω´-)」
「次の仕事は、アザーンかバーズに聞くといい。もう少し慣れてきたら、ここでの大きな仕事を回してやろう」
またシェイディンハルとアンヴィルか、国内で北東と南西に位置する街だから、また行ったり来たりだ。
「こうして一歩ずつ登り詰めていくのね」
「魔術師ギルドでは死霊術師の問題を全部俺に丸投げされて、それをこなしていったら昇進したけどな」
「この国の人はみんなのんびりしすぎていると思う」
「俺たちものんびりやろうぜ」
「さぁ、シェイディンハルに行きましょう!」
ちっとものんびりさせてくれねぇ。
シェイディンハルはもう推薦状出してもらっているから、戦士ギルドの仕事だけだな。
………
……
…
東への旅の途中、俺は少し面白いことを思いついた。
「ちょっと実験、馬に水上歩行の魔法をかけてみる」
「あの魔法ねぇ、水面歩きにくいからなぁ」
「自分が使うときは、裸足になったほうがいいかもね。衣服や靴には魔法がかからないみたいだし」
というわけで、ユニコーンに水上歩行の魔法をかけてみる。
所持している首飾りでもいいのだが、ユニコーンの首には小さすぎる。
「うーわ、なんだか不思議な感じ」
「ジャボジャボうるさいなこれは」
「ねぇ、あの遺跡はなぁに?」
「あれもアイレイドの遺跡だな」
「入ってみましょうよ。ほら、またあの緑色の石集め」
「ウェルキンド・ストーンな、行ってみるか。死霊術師が住んでいるか、山賊が住んでいるか」
山賊の住処でした。
遺跡に入ってすぐの所に大広間があり、そこには山賊がたくさん。
親分なども退治したが、残念ながらこの遺跡のウェルキンド・ストーンは持ち去られた後らしい。
「もっと奥に進めばまだ宝が残っているかもしれないかな」
「なんかあたしたち、こうしているとトレジャーハンターだね」
「トレジャーハンター? ちっちっち、泥棒と呼んでくれ!」
「いや、それ逆にしないと犯罪者みたい」
「こほん……(。-`ω´-)」
大広間の奥にあった小部屋は、親分の部屋になっていたらしい。
せっせと集めたらしいウェルキンド・ストーンが並べられていた。ご苦労なこった。
「机の上に、親分の日誌みたいなのがあるよ」
「どれどれ?」
「なんかカジートが行方不明になったみたいだな」
「別に山賊が行方不明になったところで、あたしたちの知ったことじゃないけどね」
「正論だな。遺跡の中で迷子にでもなったのだろう。さて、奥へと進むぞ」
なんか魔剣を投げつけて、山賊を退治している緑娘。
「カジート居るじゃないの」
「上にも居たし、どのカジートかわからん。たぶんここに鎧を着たジ=スカール先輩が居ても、気づかずに退治してしまうかもしれん」
カジートとアルゴニアンって、あんまり見分けがつかないよね?
アルゴニアンはトサカの有り無しで雄雌、いや男女の区別がつきそうだけど、カジートに至ってはなぁ。
そういうわけで、遺跡の奥深くを探索。
とくに何も変哲も無い遺跡だと思っていたけど、ある場所で床に仕掛けられていたスイッチを踏んでしまった。
すると、傍の壁が開いていくではないか。
「隠し部屋よ、きっとこの先にお宝が残っているわ」
「待て、床に血痕が残っている。なんかやばいぞ?」
「結婚? ようやく思い出してその気になってくれたのね?!」
「いや、なんかケッコン違いだと思う。そもそもこの国での結婚式はあるのか? 普通に夫婦は居るみたいだが、マグリールとか」
血痕が残されている秘密の通路を進んでいく。
山賊がこの先も見つけているのかそうでないかで進む価値が大きく変わるというものだが――
…………(。-`ω´-)
「こいつが行方不明になった山賊のカジートだろうな……(。-`ω´-)」
「えーっ? なんだか儀式をしていた跡みたいだよ?」
「死霊術師が居るかもしれないな、気をつけよう」
この感じは、かつて魔術師ギルドでいろいろと任務をこなしてきたときに感じたものと同じだ。
黒魂石がまた落ちているのだろうか? まぁ全部リリィさんに押し付けるけどねw
ここから先は山賊は現れなくなり、代わりにゾンビが出没するようになってきた。
間違いなく死霊術師の隠れ家だね。
一応魔術師ギルドの長として示しをつけるために、死霊術師の残党も始末しておこうか。
俺的には奥に篭って研究をしている分には問題ないのだが、体裁というものがあるからね。アークメイジになってしまったんだ、悪く思うなよ。
しかし、その分山賊たちに荒らされていないので、ウェルキンド・ストーンは手付かずのまま残っていたりする。
「正面の穴、ちと嫌な予感がするので避けていこう」
「穴から針が覗いているわ」
「たぶん乗ったら沈んで、針に刺さるという寸法だろう」
ひとまず端っこの部分は罠が作動しないようだ。
ウェルキンド・ストーンを回収しつつ先へ進んでいくと、突然背後からガシャーンと甲高い音が響いた。
「なんぞ?」
「扉が閉まったわ」
「先に進むしかないわけか……(。-`ω´-)」
その奥は少し広がった場所になっていて、中央には積み重なったスイッチが置かれている。
「押すしかないね」
「どれを押してみる?」
「全部同時に押してみましょうよ、あたしこっちやるからあなたはそっち」
どうやらこのスイッチは、この広間にある壁に隠された小部屋を開くものらしい。
壁が開いてその中から――
骨が現れた! コマンド?! 霊峰の指!
「けっこうハイテクな遺跡なのね」
「聞く話では、昔この地に住んでいたアイレイドというエルフは、今よりも進んだ文化を持っていたらしい」
「それが何故滅びたの?」
「さあね、自然淘汰じゃね?」
「文明人が自然淘汰するの?」
「少子化ってさ、自然淘汰の流れじゃないのかな」
「何の話?」
「なんだろうねぇ」
スイッチを押して開いた隠し扉の一つは、奥へと続く通路が隠されていた。
その先に、初めて見る遺物が置かれていたりする。
「なんだろう、アイレイドの彫像かな?」
「なんだかよくわかんない。あまりかっこいい彫像にはみえないわ」
「折角だから頂いて帰ろう。ニルンルートみたいに、こんなわけわからん彫像も欲しがっている奴が居るかもしれない」
「また人助け、このお人よし」
「お人よしが出世しやすい国なのさ、この国はね」
「……納得」
そして通路を進んだ先、また広間になっていてそこに待ち構えていたものは?!
やっぱり居たか、死霊術師!
恨みは無い――とも言い切れないが、俺はハンニバルの意思を継ぐものとして成敗しておかんといかんのだよ。
アークメイジになってしまったんだ、許してくれ!
…………(。-`ω´-)
まあいいか、緑娘も魔術師ギルドの準会員。ギルド規約には従うべし。
死霊術師を見かけ次第殲滅せよといった規約があったかどうかしらんが、ご愁傷様でした。
「山賊が行方不明になったり、儀式の跡みたいなのがあったのはこいつのせいみたいだね」
「これが死霊術師かぁ、ダムにも居たわね」
「一応魔術師ギルドの敵ということになっているから、よっぽどの理由が無い場合は殲滅してよし」
「アークメイジが言ってるから徹底しなくちゃね」
「俺は先代の意思を継いでいるだけだけどな」
傍のテーブルの上には、この死霊術師が残していたであろう手紙が残っていた。
シャルバードという死霊術師か。
研究のための死体とか書いているから、やっぱりこいつが山賊誘拐犯だったのな。
まぁ山賊と死霊術師がお互い潰しあってくれるのは歓迎だが、これでこの遺跡には何も居なくなってしまったことになる。
死霊術師を退治してさらに奥へ進むと、入り口付近に繋がっていた。
これでこの遺跡の探索は終了。
戦利品は、よくわからない「アイレイドの彫像」ですかね。
さて、シェイディンハルへ急ぐか。
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