古代のダム 最終話 ~新たなダムの維持者~
さて、いよいよダムについて全てを知ることができたので、クリムゾン・ブレード賊や死霊術師とは縁を切ることにした。
再びセリアヴレーレイスの遺跡へ戻る前に、緑娘テフラの様子を見ておくことにしたのだが――
なんか一人で長々と待たせていたことに対してご立腹のようで。
「敵と戦うのならあたしも行く!」
「潜入して一人ずつ暗殺するのが楽っぽいけどなー」
「じゃあ何? またあたし一人でこんな寂しい場所でぼーっと待っていろって言うの?!」
「だから釣りとか――」
「こんなところで釣って、どう調理しろって言うの?」
「そのままかぶりつく――、いやなんでもない。しょうがない、一緒に行こう。どうなっても知らんぞ」
ますます視線が険しくなるので、折れてあげることにした。
まあいい、関係ない人を装っていれば、敵は全て緑娘が引き付けてくれるだろう。
その隙に俺はダムの維持とやらを進めたらいいのだ。
というわけで、セリアヴレーレイスの遺跡へ出発。
俺はまだ潜入しているつもりだからな。だから、遺跡の見張りにもフレンドリーに接する。
「見張りご苦労さんっ」
「おうっ、任せとけ。ってお前は誰だ!」
やっぱりこうなった、思ったとおりだ。
山賊の見張りは俺には目もくれずに緑娘に襲い掛かっていった。
つまり潜入作戦をしていなければ、こうなっていたわけだ。
「うるさいわね、山賊風情が! しかもただの見張り! あたしは戦士ギルドの見習いよ!」
まあこの緑娘は、戦闘能力はそれなりだから心配するようなものではない。
見張りと見習いとどっちが偉いのかは、俺にはわからんが……
遺跡に入ってからも、山賊は緑娘に襲い掛かってきまくるが、そのつど蹴り刺していく緑娘。
一人で放置されてよっぽどうっぷんが溜まっていたのか、最初からどんどん遠慮なく奥の手にしたはずの蹴り技を連発している。
まぁ殲滅目的だから、さっさと片付けたほうがいいか。
そうした格闘を尻目に、俺は死霊術師のベルナイスの所へと向かった。
一応話だけはしてみるか。
「ガイアス・セスタスって知っていますか?」
「えーと、ガイアスって名は知らないけど、昔セスタスという名前の一家の所有する家なら知っているわ」
「たぶんそのセスタスが、ガイアスですよ。その家で何がありました?」
「私が知る限り、セスタス一家の人は全て亡くなったわ。その家で墓荒らしをする計画でもしているの?」
「ふっふっふっ、残念ながら彼はお前達を全員葬るために俺を送り込んだのだ!(`・ω・´)」
「そう来たか、裏切り者め!」
「最初から手を組んだ覚えは無い、くたばれ死霊術師!」
「あ……(。-`ω´-)」
なんか知らんけど割り込まれた。
おしゃべりが長すぎたか? 緑娘は山賊を始末して追いついてきたようだ。
「まわりくどいことやってないで、一気に殲滅したらどうなの?」
「なんとなくそんな気がしてきた。賊は全部任せるから、俺は死霊術師をやる」
そういうわけで、クリムゾン・ブレード賊ごっこはおしまい。
ここから先は、襲い掛かってくる者は全て退治して進んでいく。
………
……
…
さて、問題の結界だ。
ここでセスタスの手を使えばいいらしいが、この骨を差し出せばいいのかな?
骨を使うと結界は消え去り、奥へ進めるようになった。
さて、この先には何が待ち構えているのか?
スイッチ一つ?
制御メカニズムをアクティベートうんにゃらかんにゃらはスイッチ一つで管理できるの?
そりゃあいかんね、こんなに簡単ならなおさら山賊を立ち入らせるわけにはいかないね。
後で魔術師ギルドに報告するときに、何名か正規のギルドメンバーを派遣させたほうがいいかもしれないな。
スイッチを押すと奥の岩戸が開き、溜まっていた水が流れていくのだった。
これだけかい! 単純だな! 簡単すぎて山賊でも扱えるよ!
以上をもってダムは再び管理され、決壊する危険はなくなったのであった。
溜まりすぎた水を定期的に放出しなければならんのだな。
外に出ると、新たな滝が出現していた。
これが放出された水だろうか?
丸太をくりぬいた水路とか使っているし、ただの放水じゃなくて景観も兼ね備えているのな。
さて、俺が見聞きしたことを全て緑娘に伝えて、報告書を纏めないとな。
セスタスに報告も必要かなというわけで、山頂へ向かう道すがら、遺跡での出来事を語ってやったとさ。
セスタスは都市を恐ろしい運命から救ったと賞賛してくれた。
すでに廃墟だから、ダムが決壊して流れたところであまり影響はない気もするが、まあそういうことにしておこう。
以上、ファイルナンバー39、アイレイドのダムについての報告終わり。
ダムを使って何ができるのかはわからんが、これにて終了。
あ、キャンプの賊も殲滅しておくべきかな?
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