ロリクステッドのエリク

 
♪現在の英雄ドラゴンボーン、ロリクステッドに脚で駆けやってきたー
 
 ロリクステッドすぐ傍だったのか!
 そんなんだったらあんな死体と一晩明かさずに、もうちょっと頑張ってここまできたらよかったじゃないか!ヽ(`Д´)ノウワァァン!!
 
 

 のどかー
 
 ここはロリクステッド。
 村の名前の由来は、ここらの土地を所有している地主さんのような、ロリクさんからきたものだそうだ。
 同志がアルドメリ自治領に対抗する帝国に手を貸して、南で戦っている間に購入したものだと。
 当時は、この地で何も育たず価値がなかったが、今では重労働と神の祝福で、農園として栄えているのだ。
 

 アルドメリ自治領――
 

 また痛い固有名詞が出てきたな(。-`ω´-)
 人生の歯車がすこしズレていたら、今頃俺はサルモールとして粛清の嵐を引き起こしていたかもしれない。
 そうなっていれば、隣にいるのはリセッテではなくてエレン姉……((((;゚Д゚))))
 護衛をしているのは「わんわんお」ではなくオンドル……((((;゚Д゚))))
 
 
 ま、まあよい。
 
 
 のどかな村だ、のんびりしていこうじゃないか。
 
 なんか追いかけ越している娘たちや、畑を耕しているおっさんを尻目に村の中を散策していたら、一人の若者が話しかけてきた。
 
???「君は旅の者か?」
ラムリーザ「いかにも」
???「たっぷり冒険をしてきたのでしょうね、うらやましい」

「わんわんお」、キャベツ噛じるなよ

エリク「僕の名前はエリク。実は、あなたなら僕を助けられるかも知れないんです」
ラムリーザ「なんぞ?」
 
 エリクと名乗った若者は、冒険者になりたいと思っているそうだ。
 しかし父親は反対で、農場で働くことを望んでいるそうだ。
 
 エリクよ、反対しているのは叔父で、本当の父親はフォースの暗黒面に囚われているのじゃないか?
 
 冒険者になりたいってのはどこにでも居るもんだな。
 アルドゥインの驚異が去ったのを良いことに、冒険者志望が増えているのかもしれないな。
 
 ただひとつ。
 エリクは冒険者になるには鎧が必要だというが、俺を見ろ。
 鎧など、帝国軍のミッションで仕方なく着た時以外は、鎧など着たことないぞ。
 
 
 冒険に必要なのは――
・敵がどこにいるかすぐに感知する鋭い洞察力。
・どれだけ離れた敵にも命中させることができる高精度な弓術。
・やばい時にはとにかく逃げる身のこなし。
 
 ――この三つがあれば問題ないんだよ。
 
 アルドゥインを退治してきた俺が言うのだから間違いない!
 ……とは言うものの、父親が反対しているなら駆け落ちすればいいのに……って話がどっかであったが
 
 
 まあよい。
 
 
 元冒険者の俺がなんとかしましょう。
 今は冒険者ではなく、リセッテの護衛だからなっ。
 
 エリクの父親は、村で宿屋を経営しているらしい。
 というわけで、宿屋に直行だ。

ラムリーザ「息子の件について話がしたい」
ムラルキ「息子?エリクがどうした?」
ラムリーザ「冒険者になりたいと望むなら、そうさせてやるべきだと思うがねぇ」
ムラルキ「しかし、この世界は危険に満ちている。エリクにはそれが分かっていないんだ」
ラムリーザ「危険に満ちているねぇ……」
リセッテ「こほん、じゃあこうしましょう」
 
 話に割って入ってきたリセッテの提案というと
 
リセッテ「エリクさんが冒険者として慣れるまでは、私達が面倒を見ます。これでどう?」
ムラルキ「しかし見ず知らずのあんたらにいきなり……」
リセッテ「この人はね、信じられないかもしれないけど『ドラゴンボーン』なのよ」

 ……(。-`ω´-)
 
 俺頼みかよ。
 
ムラルキ「ドラゴンボーンだって?! それなら申し分ない!」
リセッテ「ほんと?」
ムラルキ「エリクに気が変わったと伝えてくれ、ホワイトランで何とか防具代を工面してみよう」
 
 というわけで、エリクの夢は叶うことになったのであった。
 しかしこの流れだと、またメンバーが増えるのかね?
 
ラムリーザ「しかしえらいエリクに肩入れするな、ひょっとしてあいつに惚れたとか?」
リセッテ「バカ!」
 

リセッテ「彼の気持ちも分かるのよ、私もずっと冒険に出たかったわけだし。それに――」
ラムリーザ「それに?」
リセッテ「危ないところはあなたが片付けてくれるでしょ?」
ラムリーザ「…………」
 

 全部俺にのしかかってきやがる……(。-`ω´-)
 

 おいミーコ、「わんわんお」よ。
 お前が俺の護衛だから、これまで以上にしっかりやれよ。
 
ミーコ「わんっ」
 
 わかっているのやらどうなのやら……
 
 
 
 さて、エリクの旅支度が整うまで、ロリクステッドに滞在することになった。
 たまにはマターリするのもよかろう。
 

 うむ、のどかーだ。
 
リセッテ「また変なところに登る!」
 
 
 
 ただ一つ引っかかる言葉を聞いた。
 村で働いていたレルディスって女性から聞いたのだが、ここの人たちはみんな正直で働き者。
 物乞いも泥棒も居ないそうな。
 
 昔の自慢ばかりして威張り散らすだけのラグナルや、馬泥棒のロキールはここの人じゃないのかねぇ?
 
 
 
 




 
 
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Posted by ラムリーザ