神々が苦しめる者 ~取り憑くスキャンプの群れ~

 
「予言じゃ、予言が下った!」
「またぁ? もう、飽き飽き」
「臭っ! 臭いぞ! この町に臭き者が居る!」
「俺の顔を見ながら言うな!」
「おぬしも臭くなる未来が見えるぞよ!」
「大きなお世話だ!」
 
 ダケイルの予言、いや話では、レヤウィンに住むロゼンティア・ガレイナスが最近臭いそうだ。
 そんなこと俺の知ったことか、この町は周囲が水辺で囲まれているのだから、水浴びでもすれば済む話じゃないのか?
 そう言い返したが、そういう臭さではないらしい。
 では、何なのだ? というと、家の中から奇妙な鳴き声までしてくるというのだそうだ。
 臭い生き物でも飼っているんじゃないですかね? スカンクとか……
 それで町の人はなんとかしろと言っているみたい、というのが予言の内容。
 
 ただの依頼じゃないのですかねぇ?
 そもそもなんで俺が動かなくちゃいけないのかねぇ?
 えっと、ギルドメンバーは研究や勉強で忙しいので、こういった仕事は準会員の仕事なのだそうだ。
 今回みたいなケースは、衛兵の仕事だと思うんだけどねぇ……
 

 などと、納得がいかないままロゼンティアの屋敷へと向かった。
 いい家に住んでるな!
 でも、確かに臭うな……
 

 さっそく中に入って尋ねてみる。
 ロゼンティアの話では、デイドラの杖を買ったものの、それ以来スキャンプに取り憑かれて困っているそうだ。
 この臭いはスキャンプのもので、ずっとロゼンティアに付き纏っているのだとか。
 
「杖を捨てればええやん」
「捨てようとしたけど、なぜか自分自身が抵抗して捨てられないのです!」
「なんやそれ……」
 
 要するに、呪われた杖ですかな?
 それなら教会にでも行ってお祈りでもしてもらいますか?
 だがロゼンティアは、魔術師ギルドのアルヴェスならなんとかできるかもしれないと言ってきた。
 ん、それだったら最初からアルヴェスに依頼すればいいのになんで俺に言ってくるのだ。
 ってかロゼンティアも自分で依頼に行け!
 
「スキャンプ達もついてきてしまうから、出歩きたくない」
 
 なるほどね、しょうがないな!
 

 というわけで、再び魔術師ギルドに戻ってきてアルヴェスに話を聞いた。
 
「ロゼンティアが困ってて、あんたならなんとかできるって言ってるよ」
「いやぁ、このことに私が関わっていると他の魔術師達に知られたら……」
「知られたら?」
「私はギルドから追い出されてしまいます!」
「…………(。-`ω´-)」
 
 俺は思いっきり関わっているけど、俺はギルドから追放されないのかね? 大丈夫かね?
 そもそもマスターの依頼で動いているのだけど、いいのかね?
 
 しょうがないので、対処法だけ聞いて、俺がなんとかしてあげることにした。
 なんなんだよもうこのギルドは!
 次の予言が下る前に、この町を立ち去った方がよさそうだ。
 というわけで、対処法は他の誰かが進んで杖を受け取ること。他の方法では捨てられない、呪いを引き継がなければならないというわけだ。
 
 …………(。-`ω´-)
 
 ダケイルの俺が臭くなるという予言はそういうことか……
 
「つまり、俺が臭くなればいいのですね?(´・ω・`)」
「いえ、杖を本来あるべき場所である、ダークファザムの洞穴へ返せば、杖の呪いは終わります」
 
 つまり、俺がそこに持っていけばいいってことね。
 というわけで、再びロゼンティアの家に向かい、杖を譲り受けることになった。

 するとやってきたやってきた。
 小悪魔ってのか? これがスキャンプというものらしい。
 
 このスキャンプは、家から外に出てもついてきた。うむ、確かに取り憑かれておる。

「臭っ! 臭いぞ!」
「わかっとるわこの獣族がーっ」
 
 早速悪態をつかれる。ロゼンティアが家から出たくないのもよくわかる。
 

 だるまさんが――

 ――ころんだ!
 
 確かにこいつらはついてくるだけで何も悪さはしない。
 ただ、ついてくること自体がやっかいなわけで、これが可愛い犬とかだったら全く問題ないんだろうなぁ。
 
 そういえば、アルヴェスはこのスキャンプを殺しても無駄だと言っていたけど、本当にそうなのだろうか?

 霊峰の指を使えば、4匹のスキャンプは一撃でくたばってしまった。

 これで問題解決? と思っていたら――

 ――復活しやがった。ダメだこりゃ。
 
 というわけで、道行く人に臭い臭い言われながらレヤウィンを出て、そのままダークファザムの洞穴へと向かっていった。

 こうしてみると、悪魔を引き連れた魔導師にも見えんでもないが、臭いのがいかん。
 すれ違う人々が、口々に臭い臭いとうるさい。まあ事実だからしかたないけど……
 うーん、杖を改造して、せめて狼とかにできんものかねぇ。
 
 洞穴の中に住み着いている悪魔を蹴散らしながら、奥へと進んでいく。

 その先には、大きな石像が置かれた祭壇が待ち構えていた。
 アルヴェスの言っていた、なんだっけ、シェオゴラスだったっけ?

 これまでのデイドラは悪魔っぽかったが、このデイドラは気のいいじいさんみたいではないか。
 しかし、こんな変な杖を作るぐらいだから、やっぱり怪しい奴なんだろう。
 今までに関わってきた中で一番怪しい神様は、死ぬことを強要するモラグ・バル。次点は騒乱罪を強要するサングイン。一番まともなのはメリディアですかね?

 祭壇に杖を置くと、スキャンプは俺に付き纏うのをやめて、その場をうろうろし始めた。
 この場を立ち去りながら振り返ったが、スキャンプが付いてくることは無かった――
 
 
 ロゼンティアからお礼として「エイドロンの刃の指輪」を頂いて、この事件はこれにて一件落着。
 さて、次の予言が下る前に、この町を立ち去りますか。
 預言者ダケイルに、これ以上付き合ってらんね~
 
 
 
 




 
 
 前の話へ目次に戻る次の話へ

Posted by ラムリーザ