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ナミーラ ~汚物と不衛生にまみれる喜びに生きる者~

 
 魔術師ギルドでの生活は、ジ=スカールの言うとおり退屈だ。
 真面目に実験をしているのは錬金術師のセレーナぐらいで、ヴォウラナロとジ=スカールは、ギルド内をうろうろしているかイタズラを考えているかのどっちかだ。
 俺はどうだかって?
 ギルド内に篭ってないで、宿屋に行って雑談したり、道端で住人と雑談したり……、あまり生産的な活動はしていないな。
 
 あれ? デジャヴ?
 
 そんなある日、ギルド内でぼーっとしているところ、マスターのジーンヌに声をかけられた。
 
「ラムリーザさん、ディードラは知ってますよね?」
「たぶん知っている」
 
 たぶん知っているのだろうが思い出せないのと、魔術師なら知っていて当然みたいな口ぶりで聞いてくるので、俺は見栄を張ってやった!
 するとジーンヌは、暇ならナミーラの祭殿に行ってみたらどう? と聞いてくるのだ。
 場所はブルーマのちょっと東。神様なんて俺は信じないが、まぁ暇だし行ってみるか。神様にお祈りすれば、そのご加護で記憶が突然戻るかもしれないからな。


 そこには、白い大きな像が立っている。小悪魔を従えた、なんだろう?
 側に居る人に話しかけたが、みんな「ヨルフロディと話しなさい」としか言わない。その人が司祭かなにかなのだろうか?
 しかし、ヨルフロディと話をしても、「ナミーラの祭殿を訪問するのにふさわしくない!」とか「ナミーラ崇拝者にしては感じが良すぎる!」言って、取り付く島も無い。
 ふさわしい、ふさわしくないって、これは選民思想を持った宗派か?
 しかも感じが良いからふさわしくないって、ヤバい奴ならふさわしいのか?
 とっちにしろ話が進まないので、仕方なく一旦ブルーマに戻ってジーンヌに話を聞くことにした。
 
「マスター、ナミーラの司祭が相手にしてくれません!」
「そうですか、ナミーラの信徒は、汚物と不衛生を好むって言うからねぇ……」
「では、どうすればよいのだ?」
「酒でも飲んで、泥酔でもしていたら仲間に入れてくれるのではないでしょうか?」
「…………」
 
 この地点で、ナミーラ関係は無視しても良いと思ったのだが、なにぶん暇だ。
 俺はオラヴの店で、ありったけの安物のワインを仕入れて、再びナミーラの祭殿へ向かった。
 祭殿の影、ヨルフロディに見つからないように酒をあおり……
 
「ナミーラの祭殿が来たぞ、飲ませろ!」

 じぶんでも何を言っているのかわからないが、こうすればいいとマスターが言うからやったのだ、分かっているのかこのヨルフロディの酔っ払いめ!

「良いだろう、お前にはちょっと近寄ることが出来ないな。他の者たちもお前を不潔で、不愉快だと思うのは間違いない。ナミーラは喜ばれるだろう、祭殿に近づくのだ!」
 
 やっぱりこいつらおかしい!
 不潔で不愉快ならいいのかよ!
 そういえばヨルフロディ、あんたもくっせぇな!

 それでも言われたとおりに祭殿に近づくと、なにやら頭の中に声が響くではないか?!
 ちょっと飲みすぎたか? 幻聴か?

 アンガの闇の地で平和に暮らしていた「忘れられし者たち」が、「アルカイの僧侶たち」によって光をもたらされて迷惑しているとか……
 その僧侶たちに、これから授ける呪文をかけて、忘れられし者にやっつけさせろと。
 
 酔いが覚めた時、俺は「ナミーラの覆い」という魔法を取得していた――
 
 ………
 ……
 …
 
 さて、ここがアンガという闇の地らしい。

 造りがアイレイドの遺跡と似ているが、ここもその一種なのだろうか?

 中の雰囲気も似ている。
 まぁ、遺跡なんてものは、傍から見たら全て闇の地だよな。幽霊とか骨とかそんなのばかり出てくるし。
 とりあえず、アルカイの僧侶たちに見つからないようにしようと思って、闇の中をこっそりと進んでいく。
 しばらく進むと、前方から明かりが見えてきた。誰かがたいまつをもって移動しているらしい。

 あれがアルカイの僧侶か?
 周囲にはみすぼらしい者が数人居るが、みんな光を恐れているようだ。これが忘れられし者たちか?
 こっそりと後をつけ、先ほど授かった「ナミーラの覆い」をアルカイの僧侶にぶち当ててみた。
 これでアルカイの僧侶をぶっ倒すのか――?!

 ――するとたいまつの火が消えた。
 
 ……?(。-`ω´-)?
 
 それだけ? ねえ、それだけ?
 
 
 しかし、実際はそれだけではなかった。

 暗くてよくわからないが、たいまつの光が消えたとたん、忘れられし者たちが一斉に僧侶に飛び掛り、叩きすえてしまったのだ。
 ……?(。-`ω´-)?
 
 

 なんだかよくわからないが、ここでも同じ。
 たいまつが輝いている間は、忘れられし者たちはおどおどしているが――

 ――ナミーラの覆いを当ててたいまつの光を消すと、とたんに元気になって叩きすえる。
 なんだか妙な世界だ。
 祭殿に近づくのにふさわしい身になる方法も妙ならば、その信徒たちの行動も妙だ。
 
 とりあえず、この遺跡内にいるアルカイの僧侶のたいまつを消して周り、その都度忘れられし者たちに叩きすえられる僧侶を見て周ったところ、遺跡内からアルカイの僧侶は一人残らず居なくなってしまった。
 これでいいのかな?
 よくわからんが……。
 いや、そういえば幻聴で聞いたような気がする、「アルカイの僧侶たちを忘れられし者にやっつけさせろ」と。
 
 ………
 ……
 …
 
 アルカイの僧侶たちを片付けて、再びナミーラの祭殿に戻ってきたところ、再び頭の中に声が響き渡った。
 どうやら幻聴ではなかったらしい。神が語りかけているようだ。
 こんな神なら信じられるってものだが、俺が思うに神などは聖職者が都合のいいように作ってきたようなもののはずなのだがなぁ……
 
 ナミーラという神は、信徒――忘れられし者たち――を闇で浄化できたことを喜び、俺には報酬として指輪を与えてくれた。

 結構良い指輪じゃないかな?
 暇つぶしに妙な世界観に付き合ってあげたが、報酬をくれるのなら話は別だ。

 この世界の神様の話を全て聞いて、全ての報酬を頂くとしようか。
 
 
 ディードラクエスト ナミーラ ~完~
 
 
 
 
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