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フリンジ奪還 その1 ~パスウォールの攻防~

 
 グレイマーチに飲み込まれたフリンジを奪還すべく、旅のスタート地点へと戻ってきた。
 狂気の門をくぐったその先に待ち構えていたものとは――
 

「こ、これがグレイマーチか……」
「殺風景ね……」
 
 元々は木々の生えた空間であったが、それに取って代わってオベリスクが立ち並んでいる。
 かつてゲートキーパーと戦った場所、そこはすっかり変わってしまっていた。
 

「あんまりよろしくない傾向ですな」
「オーダー軍に寝返るのは無しね。ここはシェオゴラスに付いていた方がいいわ」
「同感だ」
 
 こうなることがグレイマーチであるのならば、それは阻止すべきことだろう。
 こんな世界を支配するのは嫌だ。
 狂気の世界などと言われているが、それでも元々は緑豊かな場所だったのだ。
 今こそオーダー軍からフリンジを取り戻す時だ。
 

 パスウォールの村に到着してみたが、そこも周囲はオベリスクで覆われていた。
 そして、ダーク・セデューサー、マズケンがオーダーの騎士と戦っているのだ。
 なるほど、ディメンシア側に付いたから、俺の部下はマズケンたちというわけだ。
 
 しかし、村の人は無事だろうか?
 村長のシェルデン、宿屋のドレドウェン、死霊術師みたいなレルミナはどうでもいいけどね。
 そして、この村に滞在しているであろう、マシューとその母親はどうなってしまったのか?
 
 手出ししようにも、こんな乱戦になってしまっては手の下しようがない。
 ここはマズケンに頑張ってもらうしかない。
 それに、オーダーの騎士と互角に戦ってくれないことには、率いる意味が無いからね。
 
 

 というわけで、俺の力を借りる前にオーダーの騎士を全て始末したマスゲン隊、その隊長らしき人がこちらにやってきた。
 ウルフリみたいだね。
 
「公爵どの、厳しい状況です。パスウォールは襲撃下にあり、数の上でもこちらは劣勢です」
「――で、味方は何人残っている?」
「隊長の私、グラケンド・ウディコ以下、戦士8人を残すのみです」
「そうか……」
「自殺はいけません。公爵閣下、自殺の丘に行ってしまいますよ」
「なんでそうなる?!」
 
 戦況確認のために残存兵力を聞いただけで、なぜ俺が自殺するのかわからん。
 これがディメンシア的な考え方なのか?
 やだねー、やだやだ。
 こんなところから改めて行かねばな。
 
 隊長のグラケンドの話では、昨晩日没とともに、村の中心部の尖塔が起動したという。
 たちまち周囲は、オベリスク化してしまったと。
 最初に村に来た時から、中央の塔には意味があると思っていたが、まさかオーダー軍と繋がっていたとはね。
 そしてオベリスク化したとたん、すぐにオーダーの騎士が襲い掛かってきたのだ。
 
 マズケンは最初は一個小隊程率いて偵察に来たのだが、この一晩の争いで9名まで撃ち減らされてしまったのだ。
 なんでもオーダーの騎士は、次々と現れてきりがないのだと。
 そうだよ、どこかに動力があるので、そこにオーダーの心臓を捧げないとダメなのだよ。
 そしてこの場合、そのキーポイントとなるのが、村の中央の尖塔ということらしい。
 
「で、君はどうしようと思っているのかな? グラケンドどの」
 
 ちょっと偉そうに振舞っているかもしれないが、公爵だからこんな雰囲気の方が合っているだろう。
 公爵が「あっ、あのっ、どうしようと、思っていますかっ?」などと言っていたのでは、みんな不安になってしまうだろうよ。
 
 少女だったら萌える?
 
 そんな内気な少女を公爵に据えなければならない程人材が枯渇したのなら、すでに負けているのだよ。
 少年少女が軍を指揮するのがかっこいい?
 やだよそんなポルポトみたいな――って何だよそれは。
 
「奴らを止める方法に心当たりはあります。しかし、まずはこの場を生き延びることが先決です」
「9人に俺と緑娘、犬は――まあいいや、11人に増えたから、少しは対応できるだろう」
「あっ、ミドリムスメって言った!」
「文句は後で聞く……(。-`ω´-)」
 
 まだパスウォールにオーダー軍の残党が残っているらしい。
 まずは、そいつらを全部始末してから、次の作戦に移ろうというわけだ。
 ん、それでよいだろう。
 
「マズケンは次々と撃破され、残ったのは男のみです」
「そっちにも男居るのね。――って隊長、君も男なのか?」
「もし負ければ、狂気の門は陥落してしまいます!」
「誤魔化したな。まぁそこはデリケートな部分だから、触れないでおいてやろう」
「兵を指揮するのは、ディメンシア公爵たる貴公の権利となります。ご命令を、それとも私にお任せしますか?」
「よい、下がっておれ」
「はっ」
 
 指揮を取らせてもらえるなら楽だ。
 俺の戦いやすいように、兵を動かそう――と言っても9人か。
 多いのか少ないのか、分隊程度しか残っていないじゃないか……
 
 

 遠くに見えるあれが、オーダーの拠点となっているらしき尖塔だ。
 あれの動きを止めないと、オーダーの騎士はいくらでも湧いてきてしまう。
 オブリビオンゲートを閉じないと、デイドラがどんどん湧くのと同じだ。
 

「というわけで戦士よ、俺が君たちを指揮する公爵だよ」
「なんなりとお命じください」
「よし。防御を固めて、オーダー軍を突破させないようにすべし」
「はっ! 壊れぬ壁となりましょう!」
 

 こんな感じだ。
 狂気の門を突破されたら負けっぽいので、こいつらには守りを固めてもらう。
 突撃するのは俺だ。
 最前線に立って、可能な限りオーダーの騎士を打ち滅ぼす。
 こいつらは、俺の猛攻を突破してきた奴をに、とどめを刺すだけで良い。
 一緒に突っ込まれたら邪魔だし、弓矢で尻を射抜かれるのもごめんというわけだ。
 

「ほら、戦士の配備は終わったぞ。隊長も防御指揮を頼む」
「了解です! 次の襲撃はまもなくやってきますよ!」
「まあ見ておれだ」
 
 そんなわけで、マズケンの分隊は防御に徹してもらう。
 俺は防御ラインから前に出て、オーダーの襲撃を待つのだ。
 

「出てきたな。よし、一か所に固めるように押し込むんだ」
 
 チロジャルに命令しても理解してくれないと思うが、いつも通り足止め頼むぞ。
 

 緑娘とチロジャルが押さえている隙間から、必殺の一撃を放つ。
 こんな陣形だと戦いやすいが、乱戦になると出だしをやりにくいのが俺の欠点か?
 

「ま、ざっとこんなもんよ」
「やったねっ」
「わんっ」
 
 オーダーの騎士は、全部で9体襲い掛かってきた。
 2体ほど俺の脇を突破したが、背後には9名の壁がある。
 約5倍の兵力差で勝ってくれなければ、俺はマズケンの戦力を信用しないこことにする。
 もっとも必勝の戦略では、少なくとも敵の6倍の兵力を必要とするらしいけどな……。
 
 そこに、隊長のグラケンドがやってくる。
 

「やりました! ひとまずは我々の勝利です!」
「勝ってもらわねば困る。俺の栄達のためにな」
「次の作戦に移行します。尖塔は明らかに敵の力の源です。あれを塞ぐ手が見つかるまで、戦いは続くでしょう」
「オーダーの心臓を――と言っても、ちと高さがあるな。起動したオベリスクとはわけが違う。それでは、どうしろというのだ?」
「パスウォールの地下には、ゼデフェンという遺跡が広がっています。入り口は町の南にありますが、何世紀もの間封印されていました」
「では、封印を解いてくればよいのかな?」
「いえ、斥候の報告によると、最近遺跡の封印が解けたということです」
「では、次の攻撃目標は、そのゼデフェンとやら遺跡かな?」
「そのー、誠にー、申し上げにくいのですが……」
「なんや?」
「よろしければ、公爵閣下に遺跡を攻略して頂ければ……」
「いいよ」
「ありがとうございます! こちらで敵の注意を引き付けておきますので!」
 
 まぁそれでいいよ。
 こいつらオーダーの騎士を止める方法知らないみたいだから、俺が止めてやるほうが手っ取り早い。
 それに、9名で遺跡攻略――ぐらいやってもらわねばならんが、俺の命じた通り、狂気の門を死守させておくのでよいだろう。
 オーダー軍を、フリンジから出しさえしなければ、戦況に大きな変化は生まれないはずだ。
 
 それにしても、マニアの民にはかがり火を灯してくれたと褒め称えられ、ディメンシアの民には公爵閣下と崇められる。
 バランスが取れていて、実に良い傾向だ。
 俺はマニアの統治者でもディメンシアの統治者ではなく、戦慄の島の統治者を目指す者だからな。
 
 

 南に向かう途中、パスウォールの南部へ立ち寄る。
 ここは思い出深い場所、俺と緑娘が再会した場所だ。
 今の冒険は、ここから始まったのだからね。
 

「よっしゃ! ゼデフェン遺跡を攻略して、パスウォールを取り戻すぞ!」
 
 こうして、戦慄の島の覇権を賭けて、オーダー軍との全面戦争が始まったのである。
 
 
 続く――
 
 
 
 
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