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アグノンの冷たき炎 その4 ~総攻撃! 中央突破!~

 
 サイラーンの砦にて――
 
 砦内部を調査して、ダーク・セデューサーの様子を探ってきたところだ。
 敵の司令官ウルフリに会い、ゴールデン・セイント側は地下通路から奇襲攻撃を仕掛けるかもといった話をした。
 するとウルフリは、主力部隊を地下通路に移動させ、中心通路は手薄となったのである。
 

 そこで、セイント側に戻ってきて作戦会議だ。
 
「どうでしたか? 使者殿、敵の様子は?」
「奇襲攻撃を警戒して、地下通路に主力部隊を集めたようだよ」
「ほらみたことかミレル、小賢しいことしてないで、中央突破すべきだったのよ」
「は、はい」
 
 まぁこっちが小賢しいことして、敵の主力部隊を移動させたのだけどね。
 
「行くぞ! マズケンをサイラーンから排除せん!」
 
 セイント側の司令官、カナーは力強く宣言する。
 まぁ中心通路を目指したら、負けることはないだろう。
 
「うーん、面目ない。しかし負けてられないぞ、マズケンの司令官ウルフリを打倒する歌を作ってやったぞ」
「伺いましょう」
 
 自分の考えた作戦が、実行する前から失敗となってしまった副官のミレルは、名誉挽回のためか芸術面で自己表現するようだ。
 芸術と言えばヘイルの村、つまりマニアらしいということで合ってはいる。
 
「それでは、こほん――」
 
 
 ♪乾杯をしよう、未来と過去に。苦難の時は、今終わりを告げる。
 血と鋼の意思で、敵を追い払おう。奪われた絶望の祭壇を取り戻そう。
 ウルフリに死を! マズケンの悪党!
 打ち破った日には飲み歌おう。
 我らは戦う、時が過行く限り。やがて狂神に呼ばれるまで。
 それでもこの地は、我らのもの。今こそ取り戻せ、笑いと狂気を。
 
 
 ん~、まあいいんじゃないかな?
 ウルフリを打倒しようとする意気込みを強く感じる。
 永命の者らしく、時が過ぎゆく限り戦い続けると言うのだろう。
 だが狂神に呼ばれるのと、狂気を取り戻すのは遠慮しておく。
 
 ミレルは一通り歌い終えると、どうやと言わんばかりに俺の顔を見つめてきた。 
 
「いかがでしょう? タイトルは、そうですねぇ……侵略の時代――マズケンによる侵略の時代、とでもしておきましょうか」
「いいと思うよ。ただし、生きて帰られたらな」
「生きて帰ったら、この歌を戦慄の島中に広めてやるんだ」
「三つ問題がある。一つ、その発言は死亡フラグの類というものだ。一つ、帰ってくるということはウルフリを討ち取った後となり、その歌自体が意味をなさなくなる。一つ、これが最重要。パクりじゃないだろうな?」
「パクりではない! もし似ている歌があったとしても、時代的に私が先だ!」
「時代的にという単語に違和感を覚えるが、まあよかろう」
 
 広まるといいね。
 このままだとマズケンの歌だから、アレンジを施されて、各町の吟遊詩人が歌ってくれたらミレルも満足だろう。
 ひょっとしたら、派閥ごとに歌詞の内容を若干変更して歌うかもしれない。
 例えばセデューサー側から見たら、「カナーに死を! オーリアルの悪党!」だろうからな。
 俺からすれば「シェオゴラスに死を! 俺をそそのかした悪党!」だ。
 
 

 ミレルとそんな会話をしている内に攻撃は始まった。
 セデューサー側を守っていた衛兵が、セイント側の攻撃を察知して襲い掛かってきたのだ。
 多数対一人、もちろんセイント側には被害は出ず、圧勝に終わったとさ。
 

 マズケンを打倒せよを合言葉に、次々にサイラーンの砦へと突撃していくセイント軍。
 もちろん中央突破を実行するため、中心通路へと通じる入り口から入っていく。
 
 
 中心通路へと向かう通路には、確か見張りが一人配備されていた。
 しかし、多勢に無勢。大勢のセイントに飛び掛かられて、俺はみんなを追いかけていくので精いっぱいだ。
 

 暗くてよくわからないが、俺が中心通路に到着した時、すでに戦いの真っ最中であった。
 数で圧倒している分、俺は見ているだけ――というより追い付かなくても勝手に退治してくれる。
 うろうろしてみたが、セデューサーもセイントとの戦いで必死なのか、こちらには全然目を向けてこない。
 
 戦いの間をすり抜け、敵の司令官が元々陣取っていた場所で待っていた。
 

 数分後、中心通路を制圧したセイント軍団は、一気に祭壇の間へと雪崩れ込んでいった。
 俺何もしてないのだけどね。
 やったことと言えば、敵の主力を移動させるといった仕事をやっただけ。
 つまり戦いが始まる前から、勝利は約束されていたようなものだ。
 
 俺たちが祭壇の間に入ったとき、中心通路の時と同じように、既に戦いは始まっていた。
 

 祭壇はまだ制圧できていない。
 ただ、奇襲に備えていた敵側の衛兵の一部が、中央突破に気がついて戻ってきたところのようだ。
 

 数では互角になったようだ。
 後はセイントたちの力量次第、俺は手出ししてよいものかどうかわからんので、後方から戦いを見ていてやる。
 司令官カナー、副官ミレル。さしずめ俺は参謀長と言ったところだ。
 参謀長の仕事? 今わの際に、「は、半数は」と言えばよいだけだ、たぶん、知らんけど。
 
「ウルフリ、討ち取ったり!」
 
 祭壇の間に、ミレルの声が響き渡る。
 ん、自分の作戦を実施できなかった分、実戦でがんばっておる。
 

 セデューサー軍の組織的な抵抗はなくなり、祭壇はセイント軍が制圧したのであった。
 ご苦労様。ウルフリを討ち取ったので、自由に飲み歌うがよい。
 
「使者殿」
「何でしょう?」
 

 一通り戦いが終わった後、司令官のカナーは俺に話しかけてきた。
 
「地下通路に敵が残っているかもしれん。私はここを死守するので、地下通路の敵を掃討してきてくれぬだろうか?」
「あ、結局俺も戦うのね」
 
 参謀長の仕事だけかと思ったら、やはり前線で戦わなければならないようだ。
 それに、地下通路に残っているのが本隊なわけで、そっちの方が大変なのではないのか?
 まあいいか、別にセデューサーと言えども、俺の敵ではない。
 
 
「ちょっと待って」
「何ぞ?」
 
 地下通路に入ったところで、緑娘が急に呼び止めてきた。
 なんだ? 最後になるかもしれないから、全て話しておきたいのか?
 
「あなたは全ての支配者となる身。セデューサー側に悪い印象を与えるのはよくないわ」
「では、どうしろと言うのだ?」
「オーダーのクリスタル前で、敵ボスの衣装はぎ取ったでしょ? それに着替えて」
 

 別にどんな衣装でも構わんが、こんな格好をさせてどうしようと言うのだ?
 
「あなたは、オーダーの騎士隊長。いいわね?」
「で、君は?」
「あたしはオーターの騎士を演じるの。これで、マニア側に付いたことにはならないわ。それにしても――」
「それにしても?」
「ウルトラマンみたい」
「なんやそれ?」
 
 ああそうか、俺が衣装変更したから、一応レビューしておくのな。
 
 

 地下通路に残っていたセデューサーは、一名だけだった。
 中心通路からの侵入を察した司令官ウルフリは、見張りを残して急いで全軍を持って引き返したらしい。
 しかし結果的に、中心通路からの奇襲を許した形となり、駆け付けたときには劣勢は覆せず、ウルフリ自身も討ち取られてしまったのだ。
 
「きっ、貴様はオーダーの騎士!」
「はっはっはっ、いかにも私はオーダーの騎士。シェオゴラスの使者ではないので、くれぐれも!」
 

「オーダー軍の襲撃!」
 
 緑娘は、殊更オーダーの騎士であることを強調して、いつものようにセデューサーを蹴り刺した。
 こうしてセデューサー軍は、セイント軍とオーダーの騎士との連合軍によって、サイラーンの砦内から一掃されたのであった。
 この戦いに、シェオゴラスの使者は関与しておりません。
 
 
 以上、正面からの中央突破という奇襲攻撃に始まった戦いは、これにて全て終わり。
 あとは、アグノンの炎を復活させるだけだ。
 
 
 
 
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