home > 投稿 > > アグノンの冷たき炎 その3 ~敵情視察~

アグノンの冷たき炎 その3 ~敵情視察~

 
 サイラーンの砦にて――
 そこでは、オーリアルとマズケンが争っていた。
 
 ん、わからんね。
 ゴールデン・セイントとダーク・セデューサーが争っていた。
 
 マニア側であるゴールデン・セイントに付くと決めた俺は、総攻撃を開始する前に砦の内部と地下通路について調査することにした。
 目的は、ダーク・セデューサーが防衛している絶望の祭壇へ、ゴールデン・セイントの司令官カナーを到着させて、アグノンの炎を灯すことだ。
 そのために、中央突破の正攻法で中心通路へ突入するが良いのか、地下通路を使った奇襲攻撃が良いのか。
 その判断をするために、俺たちは砦の内部へと入っていった。
 

 そこは、青白い炎がかかげられた遺跡だった。
 そして入ってすぐの広間に、見張りが一人。
 一人ぐらいだったら、総攻撃を掛ければすぐに突破できるかな?
 

 しかし、広間に入る扉を開けたところ、すぐに一人の衛兵が語り掛けてきた。
 どうやらステラという名の副官らしい。

「神聖なるサイラーンをうろつく定命の――男とな? 説明してもらおうか?」
「シェオゴラスに頼まれて来たんだが、何か問題あるかね?」
「ならば従おう。司令官のグラケドリグ・ウルフリが奥でお待ちだ」
「ん、よい」
 

 中心通路の広間には、見張りや巡回兵が結構居る。
 やはり正面からの突撃を警戒しているみたいだな。
 

 通路も三人の衛兵でがっちりと守っている。
 
「う~む、正面突破は難しいかもな」
「地下通路から奇襲させるの?」
「ん~、それもよさそうだが、別の手もある」
 

 そして、地下通路の様子を確認しに行こうと思った矢先に、兜をかぶっていないダーク・セデューサーにつかまってしまった。

 
「立ち去れ、定命の者よ。まもなくここはマズケンと敵軍の板挟み、最も危険な場所となる」
「アグノンの炎を灯す必要があるのだが?」
「なるほど、祭壇防衛のために丁度いいタイミングで来たことになる」
 
 この兵士が、司令官のグラケドリグ・ウルフリだった。
 スポーツ刈りの女性か、いわゆる女子プロレスラー最強の男の類かな?
 なんかスマートガンとか、ぶっ放してそう。
 
 こちらも基本的にセイント側と同じで、敵側をせん滅できたら炎を灯そうと言ってきた。
 二つの祭壇に火を灯して、アグノンの炎を再び取り戻すのだ。
 これはどっちについても同じような流れとなっていたのだろう。
 しかしマニア側に付くと決めてしまったのだ。
 ここは当初の予定通り、砦内部の情報を探った後、その情報を基に作戦を再構築してゴールデンと共に突入しよう。
 
 本当は、こいつら仲良くして、それぞれがそれぞれの炎を灯してくれるのがベストなのだけどね。
 
「こちらの予測では、オーリアルの攻撃は近いと見た。歓喜の祭壇からこの中心通路を通って、絶望の祭壇へと向かうだろう」
「それはどうかな? セイントは奇襲攻撃をするとか言っていたぞ?」
「何? あの地下通路から攻め込むと言うのか。それなら部隊を移動させるまでだ。奇襲を仕掛ける無謀さを教えてやる!」
 

 司令官ウルフリの合図で、セデューサーたちが慌ただしく動き出した。
 中心通路には一部の見張りを残して、巡回していた衛兵はすべて引き払って、地下通路へと主力を移動させてしまったのだ。
 

 数分後、中心通路はがらーんとしたのであった。
 
「奇襲攻撃をバラしてどうするのよ」
「ふっふっふ、甘いな明智君。これで当初の予定通り正面突破を仕掛けたらどうなる?」
「あっ……、ってアケチって誰よ!」
「あけちばばうね、復活の呪文だ」
「何それ意味わかんない」
 
 元々ミレルの奇襲攻撃を支持してやりたかったが、司令官のやりたいようにする方が手っ取り早いだろう。
 どうも司令官カナーは、部下には進言よりも、服従を求めるタイプみたいな感じが見受けられた。
 それなら、司令官のやりたいように下準備しておく方が楽だという物だ。
 
 例えば敵の二倍数を誇る三つの部隊で敵を包囲殲滅しようとする場合、部下は敵の各個撃破をしてくる可能性を司令官に進言しても、「こちらの数は敵の二倍だ、今更なぜ負けない算段をせねばならぬ」と突っぱねられるのがオチだ。
 この場合ベストな選択は、敵側に潜入して「予定の場所に留まって、防御に徹するべきだ」と進言してそうさせるのが良いと言える。
 なんだか無茶な気がするが、実際今回の様に敵の本拠地に潜入して、さらに進言して防衛隊を他所に移すことに成功したわけだ。
 司令官の予定通り、中央突破が可能となったわけだ。
 
 

 さて、中心通路から進んだ場所にも、ちょっとした広間があった。
 目の前にあるのは正面に続く道と、少し高台になった場所だ。
 司令官ウルフリはこの方向へ駆けていったので、この通路の先が地下通路なのだろう。
 

 高台の上には、一体の石像と複数の壺が置いてある石テーブルがあった。
 
「何があった?」
「灰が入っていたわ」
「うむ、貴重な宝だ」
「どこがよ!」
 
 名前付きの灰なら珍品博物館行きだが、ただの灰はただの灰だ。
 灰からの蘇生に失敗したら、永遠に喪失してしまうから気を付けようね。
 

 テーブルの反対側、高台の突き出た場所は、たぶんかがり火の痕跡。
 ここが絶望の祭壇で、ここに火を灯すのが作戦の目的だ。
 
 
 さて、司令官ウルフリの向かった地下通路を確認しておこう。
 すでに守備隊を移動させた後だからもう変えられないが、もしも正面突破に気がついて引き返してくるとなると、どのくらい時間がかかるかわかっていた方が作戦を立てやすい。
 
 その地下通路だが、結構通路は長くて、中心通路の二倍以上はあるのではないだろうかと思われる場所だった。
 この分だと、本隊が引き返してくるのに結構時間がかかりそうだ。
 

 そして司令官ウルフリは、地下通路にある広間を守備していた。
 
「どうだ、地下通路で配置に付くよう部下に命じておいたぞ。そちらの任務は、オーリアルを罠まで誘い出すことだ」
「微力を尽くしましょう」
 
 いろいろと嘘だけどね。
 なんだか諜報戦、謀略をやっている気分だ。
 神算鬼謀とは、こういったものを言うのだろう。
 
「マムシラムリーザ」
「は?」
「なんでもないわ」
 

 地下通路の入り口付近から、振り返ってみる。
 巡回兵や見張りは、ほとんどこちらに移ってしまったようだ。
 これで中心通路は、一部の見張りを残して手薄になったわけだね。
 
 

 地下通路から出ると、そこはゴールデン・セイント側の駐屯地だった。
 なーんだ、砦の中をぐるりと回るだけの構造になっいてたみたいだね。
 
 
 さて、作戦会議だ。
 如何にして、絶望の祭壇を奪取するか――?
 
 
 
 
Sponsored Links



 
 
 前の話へ目次に戻る次の話へ

return to page top

©発行年-2021 らむのゲーム日記