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アグノンの冷たき炎 その2 ~サイラーンの砦にて~

 
 いろいろと雑用をこなしながら、サイラーンの砦へと向かっているところだ。
 

 北東へ街道を進むと、ようやく戦慄の島、最北東端サイラーンの砦に辿り着いた。
 ここで、アグノンの炎を入手して、ニュー・シェオスに持ち帰ることが今回の目的だ。
 しかしシェオゴラスのじじいの話では、臣下がじじいの寵愛を得るためにその場所を巡って争っているらしい。
 臣下とは何者か?
 

 砦の内部へ入ると、そこで待っていたのはゴールデン・セイントとダーク・セデューサーだった。そういえばハスキルもそんなこと言っていたね。
 戦慄の島では、マニアとディメンシアは争っているらしい。現在内戦状態とも言えるかも。
 そしてここでもどちらかに与して、アグノンの炎へと辿り着かなければならない。
 俺は、とりあえずマニア派に与することにしている。理由は雰囲気的にマニアの方がマシだし、二人の公爵のうち、シルよ公爵よりもセイドン公爵の方が与しやすいと思ったからだ。
 

 砦の入り口から向かって正面には、かがり火でもあったかのような祭壇になっている。
 しかし現在そこには、何もない。
 
 

 マニア側に与するということで、ここではまずゴールデン・セイントに話しかける。
 
「止まれ。定命の者は聖地サイラーンへの立ち入りを禁ずる」
「シェオゴラスのじじい――いや、使いで来たのだが何か?」
「失礼しました。それではこの鍵を預けましょう。この神殿内を自由に行き来できます」
 
 ここで俺は、チューナと名乗った門番に、アグノンの炎について尋ねてみた。
 しかし彼女は、忌まわしきマズケンから絶望の祭壇を奪還するまでは、炎を灯せないと言ってきた。
 マズケンって何だろう? サンバでも踊っている人かな?
 詳しくは、アーマズル・カナーに聞くと良いと言って、奥へ進むことを許可してくれたのである。
 

「う~ん、ゴールデン・セイント集まっているねー」
「中央の二人が、兜もつけてないし隊長クラスかもよ」
「よし、そいつらに話を聞いてみよう」
 

 珍しいと思ったのが、このミレルという男性である。
 ここまでの旅で、ゴールデン・セイントは女性しか見なかったのだ。
 てっきり女戦士集団かな? と思っていたけど、しっかり男性も居るじゃないか。
 
 ミレルは副官らしいが、早速アグノンの炎について尋ねてみる。
 それは、シェオゴラスの命があった時のみ、神殿の内部にある歓喜と絶望の両祭壇から灯されるのだ。
 そして、絶望の祭壇からマズケンが駆逐されれば、アーマズル・カナーも喜んで協力するだろうということ。
 歓喜の祭壇とは、こちら側ゴールデン・セイント側にある祭壇で、絶望の祭壇は向こう側のもので、マズケンが占拠しているのだという。
 マニア側歓喜の祭壇に、ディメンシア側絶望の祭壇ね。
 諸君、歓喜と絶望、どちらの響きがよいだろうか?
 やはり俺は、マニアの方が性に合っている。絶望なんてやだよ、と。
 
「マズケンとは何か? なぜかサンバが脳裏に浮かぶのだが?」
「マツケンではないぞ。マズケンは悪名高きダーク・セデューサーのことだ」
「だったらそう呼べばいいのに。独特な固有名詞を増やすと、理解が追い付かんぞ」
 
 そんな風にするのなら、チロジャルのことをホクスポクスフィジブスと呼んでやるぞ。
 それは何か? おまじないか?
 違うな、犬の事だよ。
 
 ほら、話が分からなくなるだろ?
 
 犬は犬と呼べ。
 ダーク・セデューサーはダーク・セデューサーと呼べということだ。
 
 長すぎるからか?
 だったら犬は贅沢な名前なので、省略して「イ」と呼んでやる。
 
 あと、カナーは、このサイラーン駐屯軍の司令官らしい。
 この膠着を終わらせるために、援軍としてやってきたのだ。
 
 ちなみにここで、ブレラックという謎の単語が追加されたりする。
 なんてことはない、この戦慄の島における、ゴールデン・セイントの本拠地であり聖域だということだ。
 地名なら仕方ないね。
 
 副官のミレルは、斥候が先ほど発見した、絶望の祭壇への新経路について語ってきた。
 マズケンが待ち構えている通路を中央突破をするよりも、その地下通路から攻撃を仕掛ければ、不意を突けるはずだと言ってきた。
 いかい司令官のカナーは、その策を取り入れてくれないのだと言うのだ。
 なぜ取り入れてくれないのかというと、カナーはその通路が罠だと考えているからだそうだ。マズケンは、この通路からの襲撃を予期しているだろうと。
 しかしミレルは、絶対予期していないと確信している。
 そこで俺に、カナーを説得してきてくれと依頼してきたのだ。
 
 策をこうじる副官に、それを突っぱねる司令官か。
 たぶん君に含むところがあるのだと思うよw
 
 

 そして司令官のカナーが、この人(?)である。
 人に見えるが、定命の者ではなく永命の臣下らしいので、人ではないのだろうな。
 
「司令官閣下! シェオゴラスの使いです。手を貸してください」
「狂神の使いなら、喜んで貴公に従おう」
 
 カナーの話では、アグノンの炎は歓喜と絶望の両祭壇に火を灯すことで炎を供給できる。
 しかし、その火を灯せるのは、シェオゴラスのしもべだけだと言ってきた。
 現在こちら側で押さえているのは歓喜の祭壇のみ。
 マズケンが押さえている絶望の祭壇も押さえなければならないのだ。
 そこで祭壇奪取の手伝いをしてくれたら、喜んでアグノンの炎を灯そうと言ってくれた。
 
「で、奪還作戦はできているのかな?」
「絶望の祭壇に向かう道はただ一つ、二つの祭壇の間にある中心通路だ」
「ミレルの言ってた地下通路は?」
「奇襲作戦など、命令系統を守らない男どもの良い例だ」
「ほーお」
 
 俺も男だ。
 こうなったらミレルに肩入れをして、何が何でも奇襲作戦を実行させてやりたいと思ったりした。
 
「奴はその案の危険性を考慮していない。そのルートでマズケンの待ち伏せを受けたら、わが軍は壊滅してしまうだろう」
「要は待ち伏せが無ければよいのだな。ダーク・セデューサーの配置を偵察してきてやろうか?」
「最高の案だ。狂神の使者なら、マズケンも出入りを拒まれまい」
 
 そういうことだ。
 地下通路で待ち伏せをしていれば中央突破をすればよくて、無ければ奇襲をしてやればいいのだ。
 

「どうするの? また潜入作戦かしら?」
「ディメンシア派に付くと偽って、内部事情を探ってみるつもりだ」
「それもいいけど、一つお願いがあるの」
「伺おう」
「奇襲になっても中央突破になっても、あなたはどちらにも与していない風に振舞って欲しいのよ」
「策だけ確実にして、あとは奴らに任せろと?」
「そうよ」
 
 緑娘が何を企んでいるのかわからんが、戦いは情報である程度勝負がつく可能性もある。
 おそらく己は知っているだろうから、あとは敵を知るだけだ。
 二つに一つ。
 奇襲は無いと情報を流して、地下通路を手薄にするか。
 奇襲が有ると情報を流して、中心通路を手薄にするか。
 どちらかに敵を集中させてから逆を突くように仕向けたら、カナーの策もミレルの策も、どちらを取ってもよいわけだ。
 

「こんにちは! シェオゴラスの使いです!」
「良いところに来た。すぐにも司令官のグラケドリグ・ウルフリと話してほしい。サイラーンから高慢なオーリアルどもを根絶やしにするのだ」
 
 オーリアルね。
 話の流れからして、ゴールデン・セイントのことだろうね。
 
「マズケンだのオーリアルだの単語を増やしてからに、お前らは緑娘とは何の事か知らんだろう」
「ミドリムスメ? 何だそれは」
「俺の連れだ――って、いってぇな!」
 
 緑娘の奴、かかとの針で俺の尻を蹴り突きやがった。
 こいつらに対抗して、一つの物に対する単語を増やしてやろうとしただけなのに、そんなに怒らなくてもええやんか!
 
 

 とまぁ馬鹿なことはやってないで、ダーク・セデューサー側にある絶望の祭壇へと向かい、その内部事情を探ってやるぞ、と。
 
 
 
 
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