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中毒はなはだし 前編 ~反転の杯とは? フェルデューとは?~

 
 ディメンシア公爵シルの依頼を済ませたので、今度はマニア公爵セイドンの依頼を聞く番だ。
 マニア屋敷を訪れ、謁見の間には誰もいないので奥の庭へと向かう。
 また踊っているのかなぁ?
 

 ややっ、絵を描いているぞ?!
 しかもまともだ! オレインさんより上手だ!
 
「セイドン公爵! お呼びにより参上仕る!」
 
 郷に入っては郷に従え。
 ディメンシアの雰囲気もあれば、マニアの雰囲気もある。
 俺は、できるだけ陽気に朗らかに語り掛けるのであった。
 
「ほー、やっと来たか! どれだけ待ったか想像もできんだろう。実際にどれだけ待ったか想像してくれ、ひょっとしたら間違っているのは自分かもしれん」
「これっぽっちも待ってないよ。そんなことよりも、今日も可愛いねっ!」
「待ってなかったのか。それよりも私は可愛いのか?」
「たぶん……」
「まあいい、長くても短くても結果はゴミ。ゴミと涙だ。うん、面白い!」
 
 えっと、セイドンもマニアの住民らしく、なんだかよくわからないことをべらべら述べ立てる。
 時間について考えていると、長い道もさらに長くなる。しかし長い言葉だと、あまり変わらないらしい。
 
「それよりも、シェオゴラスからあなたが困っていると聞きましたが?」
「面白くない!」
「は?」
「反転の杯が無いことが非常に面白くない! その為、民の願いを聞く気にもなれない。つまらんつまらん、この気持ちがわかるか?」
「あなたがシェオゴラスと根本的に同じだということがわかりました……(。-`ω´-)」
 
 とりあえずつまらんと嘆く前につまれ。
 しかし、新しい単語が出てきたのは事実だ。
 つまり、セイドン公爵は反転の杯なるものを所望していると。
 
「反転の杯って何ですか?」
「んお? 知っているのか?」
「聞いたことすらありません!」
「聞いたこともないのに名前は知っているのか? 変な奴だな君は」
「あなたがさっき言ったから――って、これだと聞いたことがあることになるな……(。-`ω´-)」
 
 めんどくさっ!
 
 反転の杯とは、セイドン公爵お気に入りのオモチャの一つらしい。
 なんでも、他の効能を助けるすごい効果があるというのだ。
 賢い昆虫、エリトラのアレと関係があるようだが……
 しかし、無くしてしまったためにフェルデューを口にできないと言ってきた。
 
「本当にヤバい、馬鹿女め!」
「誰の話ですか? ってかフェルデューって何ですか?」
「こっそり会って、つかの間の時を堪能し合ったのさ。彼女も十分に楽しんでいたよ」
「何の話ですか? いや、聞かなくてもわかるような気がするが」
「愛だよ、愛。禁断の愛、ディメンシアの屋敷でな。ああ、この秘密が知れたら、どんな噂が立つだろうか? わくわくしないかい?」
「シル公爵との逢瀬ですね?」
「さて、君が賢明な者ならば、心に何も貯め込まないことだ」
「貯め込まんも何も、俺には選択肢は無い……(。-`ω´-)」
 
 いや、別に緑娘に不満を持っているわけではないぞ。
 問題は、男だろうが女だろうが、他の人と二人きりで会おうとすると、全部如何わしい方向に持っていかれることだ。
 どうせこいつとシル公爵も、毎晩どこかにしけこんでしっぽりしているんだろ?
 
 んでもってセイドン公爵は、愛憎が隔離されると同様、聖杯が隔離されたことに不満があるそうだ。
 
「自分で取り戻す気はないけど、取り戻せたら君も得すると思うよ」
「要するに、反転の杯を探し出して持ち帰れってことですね」
 
 お話が長いよー。
 シル公爵は多くは語らなかったが、セイドン公爵はしゃべるしゃべる。
 本題に入るまで、どれだけ雑談に付き合わされたことか。
 
 結局、反転の杯がどこにあるのかという情報もなく、フェルデューも一言出てきただけで何も語らなかった。
 シル公爵との仲を自慢したかっただけだろう?
 
 

 結局聞き込み作業となった。
 ただ、今回は陰謀などではなく、物探しだから気を病む必要は無かろう。
 
「えっと、セイドン公爵についてですが」
「セイドン公爵ですって? 彼のためなら何でもするわ、何でもね。もう自分の子供だって食べるわ!」
「カニバリズムやめてください……(。-`ω´-)」
 
 マニアは本気で狂人ばかりで困る。
 執事のアルゴニアン、ワイド=アイは、とんでもないことを言ってのけるのであった。
 
「でも彼は出かけていっては……、どの女か分かったら、八つ裂きにしてやるんだから!」
「ナイスボートやめてください……(。-`ω´-)」
 
 ヤバいね、すでに三角関係が成立しているよ。
 こいつがシル公爵暗殺の話を聞いていたら――あ……
 ひょっとしてミューリーンも、そういうことだったのか?
 
「反転の杯について聞きたいのですが……」
 
 俺はもう既に疲れ果てていたが、なんとか情報を聞き出そうとするのであった。
 ディメンシアでは目的自体が疲れるが、マニアでは会話の地点で疲れてしまう厄介なところだと今頃分かった。
 
「聖杯ですか、その在り処は焦がれ根の巣、つまりダンルート窟です。そこにあなたは向かうべきです」
「焦がれ根の巣に、聖杯があるのですか?」
「そう。そこに、聖杯、フェルデュー、エリトラが揃っています。一つでも欠ければ、毒になりますよ」
「フェルデューって何ですか?」
「エリトラから採取できるものです。それを口にしないと、焦がれ根の巣には入れません」
「昆虫の体液ですか……(。-`ω´-)」
 
 他人が他人を殺す陰謀を張り巡らし、その首謀者は処刑されるストーリー。
 公爵が無くしたものを俺が探し出し、そのために昆虫の体液を吸うストーリー。
 
 果たしてどちらが幸福なストーリーに近いと言えるだろうか……?
 
「あと、その巣はニュー・シェオスの北東にありますよ。地図に印をつけてあげましょう」
 

 場所はここ、緑娘と初夜を迎えたキャンプの近くだね。
 いや、お互いにとって本当に初夜なのは疑問が残るが、俺の記憶と緑娘の肉体についてだけを考えると、初夜であると言える。
 
「エリトラからフェルデューを手に入れて摂取すれば、旅が始まるでしょう」
「で、フェルデューを飲むとどうなるのですか?」
「知らないのですか? フェルデューは麻薬なのよ。最初は心地いいけど、それも薄れていって、服用を伸ばせば次に来るのは苦しみよ」
「嫌な仕事だなぁ……」
 
 なんかさ、他人が処刑される方が、俺が廃人になるよりずっと幸福だよ!
 
 
 後半に続く――
 
 
 
 
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©発行年-2021 らむのゲーム日記