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ブライサール ~どろぼうさん問題~

 
 陰気なディメンシア、クルーシブル地区。
 今回の舞台は、ある店にふりかかった悲劇と、それを助ける冒険者の物語である。


 ここはイアリルの秘術という。
 なんだか聞き覚えがある名前だなと思ったら、先日に終末説きのイングヴァーと話した時に出てきた名前であった。
 
 

~~~
 

 
「ところで、イアリルがブライサールのおふざけにうんざりしているらしいぞ。なんとかしてやってくれ」
「誰やそいつら、知らんぞ」
「イアリルなら『イアリルの秘術』という魔法屋をやっている。彼に直接聞いてみるがいい」
「ん、よくわからんけど会ったら聞いてみる」
 
~~~
 
 
 

 そこは、一人のハイエルフが運営している店であった。
 
「引き締まった腕に、たくましい背。ふむ! ナイスですねぇ~」
「おまっ、俺はそっちの気は無いぞ!」
 
 店主イアリルは、危ない奴だった……(。-`ω´-)
 ひょっとして、ウッドエルフに限らず、エルフってのはおかしな奴が多いのか?
 ってか、こいつの雰囲気はマニック派っぽいけどな。
 
「――しかし残念……、時が弱らせ……、滅ぼします。みんな一緒です、いつかは滅びるのです」
 
 前言撤回、こいつも暗い奴だった。
 
「時からの解放、そして滅びの美学! どうです?! 自分自身を展示したいと思ったことはありませんか?!」
「なんやそれ?」
「魔力を使い、心拍を遅くします。呼吸、動作、そして思考の必要は無くなりますよ。完全に保存されましょう! 永遠の美、人類保管計画です! あなたをコレクションに加えさせてください!」
「いやじゃ……(。-`ω´-)」
 
 こいつ、暗いのか激しいのかわからん。
 躁鬱ってやつか?
 こういうのって、躁の反動で鬱状態が酷くなってヤバいと聞くが……
 あと、人類を補完すると言えば存在を消すことだが、こいつの場合は保管計画だそうだ。
 なんというか、蝋人形の館というか……
 
「そんなヤバい計画より、あんたとブライサールがどうのこうのって聞いたのだが?」
「ブライサールですか……。悩みの種でございます……」
 
 また暗くなった。
 
「心臓を皿に乗せてやりたい! ぐぬぬ!」
 
 こいつのテンション、わかんねーよ……(。-`ω´-)
 
 
 えーと、イアリルの話では、ブライサールに商品を盗まれて困っているのだとか。
 このクルーシブルの商店では、先月だけでも12回の盗難に遭っているらしいのだ。
 要するに、どろぼうさん問題であった。
 
 グレイ・フォックスは伝説と化したのに、コソ泥はいつの世も無くならないものである。
 
「どうにかしてください……。このままでは、奴が止める前に老死してしまう……」
 
 また暗くなった。
 病弱に続いて、今度は老死か。
 もっと明るい未来をだな――って、そんな奴らはマニック派の地方に移住するか。
 

「わかった、なんとかしてやる。ところで、こいつを見ても、何とも思わないのな」
「ウシュナールの犬ですね。可愛いじゃないですか」
「可愛い、だと――?!」
 
 わからんわー
 ディメンテッド派の価値観はわからんわー
 
 いや、マニック派もわかりにくいが……
 
 
 そんなわけで、ブライサールという者を探すこととなったのである。
 

 外には居ないようなので、ブライサールの家を当たってみる。
 鍵がかかっていないので、外出中ではなかったのだろう。
 

 この小柄さは、グラアシア族だった……(。-`ω´-)
 トラブルがあれば必ず顔を突っ込み、なければ自分でトラブルの種をまくグラアシア族、何かと問題の多いウッドエルフ族だ。
 
「いやぁ、こんにちは。こんな所であなたのような身なりの方に会えるとは幸運です」
「今更常識人ぶっても騙されないぞ。イアリルから聞いた、お前どろぼうさんだろ」
「ふんっ、自分の評判ぐらい知ってるぜ。単なる馬鹿じゃねーよ!」
 
 あっさりと本性現したな。
 グラアシアも最初は常識人ぶって頼みごとをしてきたが、最終的には殺人を依頼してきたからな。
 
「俺はただ集めたいだけだよ。いろんなもの、光る物、値打ち物をな」
「カラスみたいなやつだな。いいか? グレイ・フォックスは伝説になった、もう居ないんだ。どろぼうさんなんて、もう時代遅れだぞ」
「そんなに止めてほしいか? あとは上質の真珠5つでコレクションが完成するんだ。邪魔すんじゃねーよ」
「ほーお」
 
 どろぼうさんなんか、この場で斬り捨ててやっても問題なかろう。
 しかし真珠程度で盗みを止めて改心するというのなら、その協力をしてやってもいいわけだ。
 どうせこの世界の宝石って、一個で一晩の宿代ぐらいにしかならないからな。
 山賊狩りをして、その装備を売った方が、その10倍から100倍は儲かるんだ。
 

「ほらよっ、これを見てみな」
「おおっ! 真珠だ! 傷一つない! これをくれるのか?!」
「さあどうだか」
「そんな態度で良いのか?! ずうずうしいぞ!」
「ずうずうしいのはお前の方だ」
 
 これが所謂、「盗人猛々しい」ってやつですな。
 どろぼうさんのくせに、俺が真珠を恵んでやっているのにこの態度だ。
 まぁこんなのに喧嘩売っててもしゃーないので、真珠ぐらいさっさと与えることにする。
 ウッドエルフに真珠という格言でも広めてやろうかね?
 どうせなら真珠爆弾でも食わせてやってもいいのだがな。
 
「やるよ、もってけ」
「おおっ、どうも! ついにコレクションが完成した! 泥棒はもうやめてやるぜ!」
「俺に言ってもしゃーないけどな。イアリルとか町の人に謝っとけよ」
「なんでじゃ! お前がみんなに伝えとけ、もう迷惑はかけないと!」
「…………(。-`ω´-)」
 
 まぁいいや。
 イアリルの人類保管計画のコレクションに比べたら、こいつの宝石コレクションはまだまともだと言えるからな。
 こいつは強欲で傲慢なだけで、ひょっとしたらイアリルよりは普通なのかもしれない。
 
 

「おおー、ワンちゃんと一緒だったか! かーわいいなっ!」
「…………(。-`ω´-)」
 
 前言撤回。
 こいつもグラアシア族である前に、ディメンテッド族だった。
 この価値観だけは、意味不明だ。
 
 

「人は、追いつめられた時に、その人の真価を発揮する」
「それがどうかしたのかしら?」
「いや、なんとなく」
 
 ブライサールが本当にどろぼうさんを止めたのか確認するために付け回してたが、町の中をうろうろするだけで、商店に忍び込むことはなかったりする。
 まぁ盗みに入るとしたら白昼堂々とではなく、シャドウハイチュウなのだろうがな。
 
 
 あとはイアリルにブライサールが改心したことを伝え、お礼に450G頂きましたとさ。
 
 
 おしまい。
 
 
 
 
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